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アナリストの視点(ファンド)

国際債券型では主流?ファンド・オブ・ファンズ方式の運用成果をチェック

2018-04-26

投資形態の両大山脈:「ファンド・オブ・ファンズ方式」と「ファミリーファンド方式」

 ファンドの投資形態としてよく耳にするのが、ファミリーファンド方式とファンド・オブ・ファンズ方式の2つである。

 まず、ファミリーファンド方式では、複数のベビー(子)ファンドから集まった資金を、マザー(母)ファンドを通じて株式や債券などに投資する構造となっている。原則として、ベビーファンドとマザーファンドの運用会社は同じなので、マザーファンドに対する投資家のコスト負担はない。ベビーファンドでは分配金や為替ヘッジ、現金の管理などを主に担当している。

 一方、ファンド・オブ・ファンズ方式では、ファンドを通じて他のファンド(以下、投資先ファンド)に投資する構造となっている。ファンド・オブ・ファンズ方式では、他の運用会社のファンドを含む複数のファンドに投資できるため、分散投資が行いやすく、投資先ファンドを変更することも可能である。ただし、一般的にファンド・オブ・ファンズ方式では、投資先ファンドに投資する際に費用が発生するため、投資家としては、コスト負担が高くなる傾向がある(図表1参照)。

図表1:投資形態別の一般的な投資の流れ

図表1:投資形態別の一般的な投資の流れ

出所:モーニングスター作成

国際債券型カテゴリーでは約6割がファンド・オブ・ファンズ方式

 では、実際のファンドの運用ではどちらの方式が多く利用されているのだろうか?2018年3月末時点で、国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)5,483本のファンドのうち、ファンド・オブ・ファンズ方式は2,015本(36.7%)あり(図表2参照)、ファミリーファンド方式は2,922本(53.3%)、その他の方式が546本(10.0%)ある。アクティブファンドだけでみると、4,581本中1,976本(43.1%)がファンド・オブ・ファンズ方式となっており、ファミリーファンド方式(48.7%)と大きな差はみられなかった。

図表2:投資形態別の構成比率

図表2:投資形態別の構成比率

※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF等を含む)
※ 2018年3月末時点
出所:モーニングスター作成

 さらに、モーニングスターが投資対象ごとに分けているカテゴリー(2018年3月末時点で74カテゴリーに属するファンドがある)別でみると、各カテゴリーに属するファンドのうち、ファンド・オブ・ファンズ方式の比率が高い上位10カテゴリーは、いずれも国際債券型カテゴリーとなり(図表3参照)、国際株式や海外REITなど他の海外資産に投資するカテゴリーに比べてファンド・オブ・ファンズ方式の存在感が大きい点は興味深い。第1位となった「国際債券・短期債(為替ヘッジあり)」には2018年3月末時点で12本のファンドが属するなか、いずれもファンド・オブ・ファンズ方式となっており、同一の運用会社が運用を行っている。第2位の「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」では269本中236本(87.7%)が、第9位の「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」でも180本中119本(66.1%)がファンド・オブ・ファンズ方式となっており、ハイイールド債や新興国債を投資対象とするカテゴリーが複数ランクインしている。

図表3:ファンド・オブ・ファンズの比率が高い上位10カテゴリー

図表3:ファンド・オブ・ファンズの比率が高い上位10カテゴリー

※ (H)=為替ヘッジあり、(F)=為替ヘッジなし
※ 2018年3月末時点
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF等を含む)
出所:モーニングスター作成

コストに見合う運用成績を出しているカテゴリーは?

 それでは、国際債券型におけるファンド・オブ・ファンズ方式の運用成果はどうだろうか。上記のファンド・オブ・ファンズ方式の比率が高い上位10カテゴリーのうち、「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」、「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」、「国際債券・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」の3カテゴリーをピックアップし比較してみた。一般的に、ファンド・オブ・ファンズ方式では、投資先ファンドで発生する費用も負担するので、コストは割高になりやすいが、実際に、2018年3月末時点における同3カテゴリーの信託報酬等(税込)をみると、「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」では、ファンド・オブ・ファンズ方式が1.69%とファミリーファンド方式を0.46%上回るなど、いずれもファンド・オブ・ファンズ方式がファミリーファンド方式を上回っているため(図表4参照)、ファンド・オブ・ファンズ方式が優位性を発揮するためにはコストに見合ったより高い収益が求められる。

図表4:国際債券型3カテゴリーの投資形態別信託報酬等(税込)

図表4:国際債券型3カテゴリーの投資形態別信託報酬等(税込)

※ 2018年3月末時点でカテゴリー名に「国際債券」が入る21カテゴリーのうち、ファンド・オブ・ファンズ方式の比率が高い3カテゴリーをピックアップ
※ (H)=為替ヘッジあり、(F)=為替ヘッジなし
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF等を含む)
出所:モーニングスター作成

 そのなか、過去5年間のトータルリターン(年率)を比較すると、「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」では、ファンド・オブ・ファンズ方式が3.81%とファミリーファンド方式を2.31%下回っているものの(図表5参照)、「国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」と「国際債券・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」では、ファンド・オブ・ファンズ方式が優位となった。ハイイールド債は米国がメインとなっているため分散投資が行いにくく、コスト負担をまかなえないことも理由として考えられる。一方、エマージング債はインドやブラジルなど、複数に分散投資されており、コスト負担に見合う運用成果を出していると言える。

図表5:国際債券型3カテゴリーにおける過去5年間のトータルリターン(年率)

図表5:国際債券型3カテゴリーにおける過去5年間のトータルリターン(年率)

※ 2018年3月末時点でカテゴリー名に「国際債券」が入る21カテゴリーのうち、ファンド・オブ・ファンズ方式の比率が高い3カテゴリーをピックアップ
※ (H)=為替ヘッジあり、(F)=為替ヘッジなし
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF等を含む)
出所:モーニングスター作成

 ただし、同3カテゴリーにおけるファンド・オブ・ファンズ方式の中には、通貨選択型ファンドが含まれている点には注意が必要である。特に「国際債券・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属するファンド・オブ・ファンズ方式のファンドのなかには、2018年3月末時点で45本の通貨選択型ファンドが含まれており、通貨選択型ファンドを除くと、ファンド・オブ・ファンズ方式の過去5年間のトータルリターン(年率)は1.52%となり、ファミリーファンド方式を0.79%下回る。一般的に通貨選択型は、基準価額に影響を与える要素が、原資産の変動以外に追加されるため、変動の理由がわかりにくく、リスク(基準価額の変動率)も高くなりやすいため注意が必要である。

 このように、国際債券型カテゴリーの中でファンド・オブ・ファンズ方式への存在感が高まるなか、投資形態別の特性と動きについては今後も注目していきたい。

(高智恩)

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