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アナリストの視点(ファンド)

資産選別が進む米国籍ETF ―市況が影を落とす米国株式―

2018-05-02

過去最高を記録する資金流入額と純資産額

 2017年の米国籍ETF(上場投資信託)の純資金流入額は、4,652億ドル(約52兆円※1)と、集計可能な1993年以降では過去最高を記録し、前年との比較では、約1.6倍もの資金が流入した(図表1参照)。また、2017年の米国籍パッシブファンド(ETF除く)の純資金流入額が2,462億ドル(約28兆円※1)であり、米国籍ETFが米国籍パッシブファンドの約1.8倍もの資金を集めている点から見ても、投資家の注目度は高かったと言えるだろう。

※1 2017年12月末時点の為替で円換算

図表1:暦年の米国籍ETFの純資金流入額推移

図表1:暦年の米国籍ETFの純資金流入額推移

期間:1998年から2017年まで
出所:モーニングスター作成

 2018年に入っても、3月末までに660億ドル(約7兆円※2)の流入超過と、引き続き、米国籍ETFへの旺盛な純資金流入が続く。その結果、米国籍ETFの2018年3月末時点の純資産総額が3兆4,513億ドル(約366兆円※2)と、集計可能な1998年以降では過去最高となった。純資産総額は、2017年に初めて3兆ドルを突破したのだが、その勢いはとどまらず、さらに記録を伸ばしている。

※2 2018年3月末時点の為替で円換算

様変わりする資金流入状況、避ける米国株式

 旺盛な資金流入が続く米国ETF市場だが、資金を集める資産は変わりつつあるようだ。2018年1−3月期と前年同期の純資金流入額を見ると、全ての投資対象資産(※3)で流入超過となっているが、順位は様変わりしている(図表2参照)。2017年1−3月期に最も資金を集めた「米国株式」は449億ドルから、2018年1−3月期には13億ドルと大幅に流入額が減額しており、前年同期から順位を落とした。米国株式市場は、2018年2月に1月の米雇用統計が市場予想を上回り、米長期金利が上昇したことで、個人消費を抑制し米景気の足かせになるとの警戒感が広がり、NYダウは最大の下落幅を記録したことが影響し、2018年3月末までの年初来リターンは2.49%の下落となったことも、影を落としているのだろう。

※3 投資対象資産は、米国モーニングスターのUSカテゴリーに基づく

図表2:投資対象資産別2017年及び2018年の1−3月期純資金流入額ランキング

図表2:投資対象資産別2017年及び2018年の1−3月期純資金流入額ランキング

※ 投資対象資産は、米国モーニングスターのUSカテゴリーに基づく
出所:モーニングスター作成

 順位を上げたのは、「外国株式」、「セクター株式」、「オルタナティブ」、「コモディティ」の4資産であった。それぞれの純資金流入額上位ファンドを見ていくと、「オルタナティブ」はブル型のETFが、「コモディティ」は金を主要投資対象とするETFが並び、「セクター株式」では、金、ロボ・IT関連、金融など幅広いETFが上位にランクインしていた。

 最も順位を上げて第1位に輝いた「外国株式」は、前年同期比で純資金流入額は劣るものの、2018年1−3月期の中では唯一300億ドルを超えた。「外国株式」に属する米国籍ETFの純資金流入額上位ファンドを見ていくと、10本中4本のETFが米国株式を除く外国大型株式(投資スタイルはブレンド)に投資していた。米国株式を除く外国大型株式に資金が集まった理由は、前述した米国株式市場の動向が影響しているのだろう。しかし、米国の投資家は米国株式を避ける一方で、新興国株式へ投資を行うETFに資金を投入しており、リスクオンの姿勢は崩していないようだ。米国籍ETFの資金流入動向はどうなるのか、今後も注目していきたい。

図表3:「外国株式」に属する米国籍ETFの純資金流入額上位

図表3:「外国株式」に属する米国籍ETFの純資金流入額上位

※ 純資金流入額は2018年1−3月期の合計値
出所:モーニングスター作成

(平井 綾香)

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