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アナリストの視点(ファンド)

バランス型で強まる安定志向、リスク抑制“実力”をチェック

2018-05-17

 世界の株式・債券市場の不透明感が根強い中、投資家の「安定」志向が高まっている。国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)のうちバランス型ファンドの2018年4月の純資金流出入額をカテゴリー別に集計したところ、「安定」が389億円の流入超となり、4つのカテゴリーの中で最大となった(図表1参照)。モーニングスターではバランス型ファンドをリスク資産(株式・REIT)の組入比率に応じて分類している。基準は、リスクが低い順に「安定」(株式・REIT比率25%未満)、「安定成長」(同25%以上50%未満)、「バランス」(同50%以上75%未満)、「成長」(同75%以上)となる。4月の純資金流出入額を見ると、リスク資産の比率が低いカテゴリーほど資金が流入している。

図表1:バランス型ファンドのカテゴリー別純資金流出入額(2018年4月)

図表1:バランス型ファンドのカテゴリー別純資金流出入額(2018年4月)

出所:モーニングスター作成

 また、市場規模で見ると、バランス型ファンドの純資産額は2018年4月末時点で「安定」が約1.9兆円となっており、「安定成長」の3.4兆円、「バランス」の2.5兆円に次いで第3位にとどまる。もっとも、バランス型ファンド内での純資産額シェアの推移を見ると、「安定」は5年前の2013年4月末時点の9%から2018年4月末時点で23%へ倍以上に拡大しており、4つのカテゴリーでは最もシェアを伸ばしている(図表2参照)。ちなみに、ファンド1本当たりの純資産額では「安定」が147億円と、4つのカテゴリー内で最大であり、存在感が高まっている。

図表2:バランス型ファンドのカテゴリー別純資産額シェアの推移

図表2:バランス型ファンドのカテゴリー別純資産額シェアの推移

出所:モーニングスター作成

「安定」の中でも、リスク抑制型が人気

 「安定」に属するファンドの中で資金を集めているのは、株式やREITの比率を低く維持している以外にも、リスク抑制の仕組みに工夫をしたファンドが多い。4月の「安定」の純資金流入額上位を見ると、純資金流入額125億円で第1位となった「スマート・ファイブ(毎月決算型)」は、金(ゴールド)を含めた、異なる値動きをする傾向がある国内外5資産に分散投資するほか、各資産が基準価額に与える影響度合いが概ね均等となるように資産を配分する、いわゆる「リスク・パリティ」戦略を用いる。また、純資金流入額110億円で第2位となった「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)」は投資対象を円資産に限定することで為替変動リスクを排除しているほか、資産配分を機動的に変更することでリスクを年率3%程度に抑制することを目指す点が特徴だ。

 実際に、投資家が「安定」のファンドを選ぶ際に注意したいのは、過去の運用実績、特に下落局面でのパフォーマンスだ。判断の基準の一つとして、「安定」のカテゴリー平均と比べて下落を抑制できているかをみておきたい。モーニングスターのサイト上では、個別ファンドで「リターン」の情報を掲載したページにある「期間収益」を参照していただきたい。例として、「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)」の期間収益を見たのが図表3だ。直近の株式の下落局面(2018年2〜4月)でカテゴリー平均が▲1.66%となる中、当ファンドは0.31%とプラスのリターンを維持しており、その他の主な株式の下落局面でもカテゴリー平均より下落を抑制していることが分かる。

図表3:東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)の期間収益

図表3:東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)の期間収益

出所:モーニングスター作成

 バランス型ファンドの中には、リスク抑制を特徴としながらも、実際には株安局面に適切に対応できていないファンドも見られる。ファンドの“実力”をチェックするためにも、いくつかの相場変動を経ているファンドを選ぶようにすると良いだろう。

(坂本 浩明)

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