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アナリストの視点(ファンド)

「万能」ではない戦術的資産配分、米国での実績は?

2018-05-31

 5月17日付のアナリストの視点「バランス型で強まる安定志向、リスク抑制“実力”をチェック」で、国内の投信市場においてリスク抑制型のバランス型ファンドが人気を集めていることを説明したが、米国においても、相場変動に備えたバランス型ファンドに安定的に資金が流入している。

 バランス型ファンドは大きく分けると、資産配分の比率を固定して運用するタイプと、経済環境や市場動向などに応じて機動的に変更するタイプの2つがあるが、米モーニングスターでは後者のファンドを「戦術的資産配分」というカテゴリーで分類している。

 米国籍バランス型ファンドのカテゴリー別純資金流出入額(過去1年間)を見ると、2018年4月末までの過去1年間では同カテゴリーが33億ドル(約3,600億円)の純資金流入となり、他の主要なバランス型ファンドのカテゴリーが小幅なプラスまたはマイナスとなる中で高い支持を集めている(図表1)。

図表1:米国籍バランス型ファンドのカテゴリー別純資金流出入額(過去1年間)

図表1:米国籍バランス型ファンドのカテゴリー別純資金流出入額(過去1年間)

※米国籍オープンエンドファンドが対象(MMF、ETF、ファンド・オブ・ファンズ等による重複除く)
※ 戦術的資産配分以外のカテゴリーは、株式への投資比率によって分類している
※ 期間:2017年5月〜2018年4月の累計(米モーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成

リーマン・ショックや欧州危機などでは健闘も…

 近年、戦術的資産配分が注目されたのは、リーマン・ショック以降の相場変動に対して固定資産配分では十分に対応できないとの認識が高まったことが大きい。もっとも、戦術的資産配分とは言えあらゆる市場環境において「万能」ではなく、むしろ株高局面が継続する場面ではパフォーマンスが低迷する傾向が見られる。

 実際、過去10年間の米国籍バランス型ファンドのカテゴリー別累積リターン(ドルベース)を見ると、「戦術的資産配分」は36%と、6つの主要なバランス型ファンドのカテゴリーの中で最も低くなっている(図表2)。

図表2:米国籍バランス型ファンドのカテゴリー別累積リターン(過去10年間)

図表2:米国籍バランス型ファンドのカテゴリー別累積リターン(過去10年間)

※ ドルベース
※ 期間:2008年4月末〜2018年4月末
出所:モーニングスター作成

 過去10年間を前半と後半に区切ると、前半5年間の「戦術的資産配分」の累積リターンは16%と、6つのカテゴリー内で最も低いものの、2008年のリーマン・ショックや2011年の欧州危機などで下落を抑制した効果が表れ、同期間に最も良好であったカテゴリーである「株式比率30〜50%」のリターン26%に比べてもまだ大きな差は開いていなかった。

 しかし後半5年間の「戦術的資産配分」の累積リターンは17%と、株高基調が強まる中でも値上がりが抑制されており、同期間に最も良好であったカテゴリーである「株式比率85%超」のリターン53%に比べても3分の1程度にとどまっている。

 戦術的資産配分は資産の割安・割高などに対するファンドマネジャーの“目利き”によってパフォーマンスが大きく左右されるが、特に過去5年間の株高局面においては見通しを誤ったファンドが多かったことが示唆されている。戦術的資産配分を行うファンドについては、過去のパフォーマンスを確認することがより重要となるだろう。

(坂本 浩明)

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