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アナリストの視点(ファンド)

下落は一時的な調整か、経済成長続くインド株式ファンドに注目

2018-10-04

 インドは高い経済成長が続いている。その裏付けとして、インド統計局が8月末に発表した2018年4−6月期の実質GDP成長率は前年同期比+8.2%と、市場予想の同+7.6%を0.6%上回った。インドの代表的な株価指数であるSENSEXと日本のTOPIXを比較すると、8月まではTOPIXに対し、SENSEXは堅調に推移していた。(図表1)。8月は中国やブラジル、ロシアといった新興国の株価が軒並み下落する中上昇し、9月には6%超の下落となったが、調整は一時的にとどまる可能性がある。今回はそのようなインド株式へ投資するファンドに注目してみたい。

図表1:TOPIXとSENSEXの推移

図表1:TOPIXとSENSEXの推移

※ 期間:2017年9月末〜2018年9月末(日次)
※ TOPIXとインドSENSEXはいずれも配当無しの現地通貨ベース
出所:モーニングスター作成

為替の影響を受けてパフォーマンスは伸び悩む

 まずは、国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用含む、ETF除く)のうち、モーニングスターカテゴリー「国際株式型・インド(為替ヘッジなし)」に属するファンドのパフォーマンスをみてみたい。2018年8月末時点における1年トータルリターン平均は2.49%と、68カテゴリー中第32位だった(図表2)。また、全ファンド平均の2.72%を0.23%下回っており、同期間のSENSEX指数の騰落率が21.79%の上昇であったことと比較しても、ファンドのパフォーマンスは伸び悩んでいる。その理由として、為替の影響が考えられる。2018年8月末までの過去1カ月で約4%、過去1年間で約9%の円高・ルピー安が進んだ。今後も円高・ルピー安が続くようであれば、日本の投資家にとってはパフォーマンスの足かせになりかねない。

 また、8月末時点で当カテゴリーには1年以上の運用実績があるファンドは29本ある。1年トータルリターンでは、▲15.28%となった「HSBC インド・インフラ株式オープン」を含めて下位5本の内、4本がインフラ関連株を主要投資対象とするものであり、これらがカテゴリー平均を低下させた要因のひとつでもある。

図表2:カテゴリー別のトータルリターン平均(1年)のランキング

図表2:カテゴリー別のトータルリターン平均(1年)のランキング

※ カテゴリーはモーニングスターカテゴリーインデックス(単純)に基づく
※ ブル型・ベア型投信は除く
※ 基準日は8月末
出所:モーニングスター作成

人気ファンドへの資金流入に陰り

 次に、同カテゴリーの純資金流出入額(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF等は除く)をみてみると、2017年ごろから急激に流入額は増加してきたが、足元では鈍化している。2017年8月は651億円の資金流入超過だったが、同年12月の873億円の資金流入超過をピークに、その後は資金流入額の減少が続き、2018年8月は▲115億円の資金流出となっている。

 2017年は「野村 インド株投資」が、2018年は新規設定された「高成長インド・中型株式ファンド(年1回決算型)」(2017年11月設定)や、「ダイワ/ミレーアセット・インド株式ファンド −インドの匠−」(2017年12月設定)といったファンドが人気を集めていたが、それらへの資金流入に陰りが見えてきた影響があろう(図表3)。

図表3:インド株式ファンドの純資金流出入額の推移

図表3:インド株式ファンドの純資金流出入額の推移

※ 期間は2017年1月〜2018年8月
※ 3ファンド=野村 インド株投資、高成長インド・中型株式ファンド(年1回決算型)、ダイワ/ミレーアセット・インド株式ファンド の合計値
その他ファンド=各月末時点でモーニングスターカテゴリー「国際株式型・インド(為替ヘッジなし)」に属するファンドのうち、上記3ファンドを除いた合計値
出所:モーニングスター作成

インドの内需がファンドのパフォーマンス向上のカギに

 インド株式のファンドにパフォーマンスの低下、純資金の流出が確認できたが、光明もある。先に記述した実質GDP成長率の内訳をみると、個人消費が前年同期比+8.6%と前期(同+6.7%)から加速したほか、設備投資やインフラ投資などの総固定資本形成が同+10.0%と高水準を保っている点から、内需がインド経済の成長をけん引していることがわかる。市場では米国の保護主義的な通商政策への警戒感がくすぶるものの、内需中心のインドは貿易摩擦による悪影響が相対的に小さく、投資資金の逃避先として先行される可能性もある。今後も堅調な内需が確認できるかどうかがファンドのパフォーマンス向上のカギになるだろう。

 当カテゴリーの2018年8月末時点での過去10年間のトータルリターン(年率)では、第1位の「イーストS・インド消費関連ファンド」が10.63%、第2位の「新生・UTIインドファンド」が9.37%、第3位の「野村 インド株投資」が6.57%となった。第1位の「イーストS・インド消費関連ファンド」 のポートフォリオをみると、業種別組入上位には銀行や自動車とともに食品・飲料・タバコや家庭用品が入った。また、第3位の「野村 インド株投資」をみても、組入上位には家庭用品が入っている。こういった食品・飲料・タバコや家庭用品など内需関連株を組み入れたことが好パフォーマンスとなった一因なのかもしれない。

(兵頭 優一)

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