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アナリストの視点(ファンド)

「ご当地ファンド」に人気復活の兆し、10年リターンでは上位10%内のファンドも多数

2018-10-11

2017年に10年の低迷から脱出、新規設定が人気集める

 「ご当地ファンド」に再び資金が流れる兆しが見えている。暦年の純資金流出入額では、2007年以降は10年連続での流出超過となっていたものの、2017年は117億円の流入超過となり、2018年も8月末までで45億円の流入超過に転じている(図表1参照)。同月末までの過去2年間の純資金流出入額ランキングをみると、2017年以降に新たに設定された5本がいずれも5位内と人気復活の立役者となっていた。例えば、過去2年間の流入超過額が107億円で第1位となった「あいちファンド(為替モメンタム戦略型)」は2017年10月の設定から3ヵ月で111億円の流入超過を記録していた。58億円の流入超過で第2位となった「四国アライアンス地域創生ファンド(年1回決算型)」も同年7月の設定から3ヵ月で64億円を集めていた。第4位の「くまもと未来応援ファンド」や第5位の「きらぼし・東京圏応援株式ファンド」は設定がいずれも2018年で、設定から2ヵ月で20億円前後の流入超過と、順調に資金を集めている。

図表1:ご当地ファンドの暦年の純資金流出入額

図表1:ご当地ファンドの暦年の純資金流出入額

※ 期間:2013年〜2018年
※ 2018年は8月末までの合計値
出所:モーニングスター作成

意外に多いバランス型、10年トータルリターンは平均で上位36%

 2017年から2018年にかけて新規設定された5本も含めて、2018年8月末時点ではETFを含めて29本のご当地ファンドがある。地域別では東海地域が8本と最も多く、次いで近畿と関東・甲信が5本ずつなどである。運用実績は、2002年4月設定の「静岡ベンチマーク・ファンド」が最も長い。同ファンドを含めて15年以上が6本、10年以上15年未満は13本と、長期の運用実績を有するファンドが目立つ。また、ご当地ファンドを「特定地域に本社を置くなどで事業展開をしている企業、またはその地域の経済発展によって恩恵を受けると考えられる企業を主要投資対象とするファンド」と定義した場合、投資対象資産として国内株式をイメージしやすい。ただし、モーニングスターの類似ファンド分類別では「安定成長」の9本、「バランス」の3本などを含めて29本中13本がバランス型ファンドとなっており、海外債券やリートなど他の資産も組み入れるファンドも多い。例えば、「四国アライアンス地域創生ファンド(年1回決算型)」は海外債券に50%、「くまもと未来応援ファンド」では日系外債に50%、国内リートにも25%投資しており、自分の思い描いていたイメージと実際の商品内容が一致しているか、事前によく確認しておきたい。

図表2:ご当地ファンドの類似ファンド分類内%ランクの平均

図表2:ご当地ファンドの類似ファンド分類内%ランクの平均

※ 2018年8月末時点
※ %ランクは数値が低いほど類似ファンド分類内で上位に位置
出所:モーニングスター作成

 それでは実際の運用成績はどうだろうか。2018年8月末時点の過去1年間のトータルリターンについて、各ファンドの類似ファンド分類内の%ランク(数値が低いほど上位に位置)をみると、最も上位でも「京都応援バランスファンド(隔月分配型)」の上位29%にとどまり、平均では上位65%(下位35%)と不調の傾向がみられる(図表2参照)。一方、過去10年間(年率)では、運用成績のある19本中7本が上位10%内、平均では上位36%となり、長期の運用成績は優れているファンドが目立つ。特に、デンソーやトヨタ自動車など愛知県に本社を置く大手企業を中心に投資を行う「東海3県ファンド」が上位5%となったほか、7本中5本が「国内大型ブレンド」に属しており、長期的には国内株式ファンドの好調が目立つ。

コストの低さと分かりやすさに特徴、残高と償還期限には留意

 長期に優れた運用実績の一因となっているのが、ご当地ファンドの低めに設定されたコストだ。2018年8月末時点では24本がモーニングスターのフィーレベル・カテゴリーの5段階分類で「安い」もしくは「平均より安い」となっている。株式型では、特定の大手企業への投資比率が高く、自分の出身地の企業や好みの大手企業を中心に投資を行える分かりやすさも魅力だ。実際に同月末時点で愛知県に投資する5本の組入上位10銘柄において(直近の月報基準)、トヨタ関連企業が占める比率は平均12.9%と比較的高い。「京都・滋賀インデックスファンド」では任天堂が21.5%、「瀬戸内4県ファンド」の場合は山口県に本社を置くファーストリテイリングが21.8%を占める。

 但し、2018年8月末時点の純資産額は最も多いファンドでも「あいちファンド(為替モメンタム戦略型)」の約108億円となっており、純資産額が30億円以上のファンドとなると9本にとどまる(図表3参照)。資産規模が小さいファンドが目立つ中、2018年9月には既に「紀陽地域株式・外債バランスファンド(隔月)」が償還となり、今後も「YM・ジャパン・イノベーション・オープン」など6本が3年内に償還期限を迎える。また、2017年以降に新規設定され資金を集めている5本のうち、無期限なのは「くまもと未来応援ファンド」のみとなっている。2018年8月末までには62本のご当地ファンドが設定されたが、同月までに償還されたファンドは33本と、かなりの確率で償還されている点には注意が必要だ。

図表3:ご当地ファンドの一覧(純資産額30億円以上のみ)

No. ファンド名 モーニングスター
類似ファンド分類
投資地域区分 モーニングスター
レーティング
償還期限 純資産額
(億円)
1 あいちファンド(為替モメンタム戦略型) 国内大型ブレンド 東海 - 2022/8/2 108
2 東海3県ファンド 国内大型ブレンド 東海 ★★★★ - 85
3 京都・滋賀インデックスファンド 国内大型グロース 近畿 ★★★ 2020/10/26 71
4 四国アライアンス地域創生ファンド(年1回決算型) 安定成長 四国 - 2027/4/9 60
5 MAXIS S&P東海上場投信 国内大型ブレンド 東海 ★★★★ - 48
6 北海道未来の夢創生ファンド 国内中型ブレンド 北陸・北海道 - 2021/3/24 48
7 茨城ファンド 国内大型ブレンド 関東・甲信 ★★★ - 42
8 中部経済圏株式ファンド 国内中型グロース 東海 ★★★★ - 39
9 関西応援ファンド 国内中型ブレンド 近畿 - 2025/9/22 30

※ 2018年8月末時点
出所:モーニングスター作成

 今回はご当地ファンドについて特徴や運用成績などを確認した。「富岡製糸場・絹産業遺産群保護活動応援F」の場合は信託報酬の一部を富岡製糸場・絹産業遺産群保護活動に寄附するなど、リターン以外にも投資する意義を見出せるファンドも含まれている。メリットや留意点を確認しつつ、今後の動向も注視したい。

(高智恩)

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