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アナリストの視点(ファンド)

米中間選挙目前、“ねじれ”が発生した2010年中間選挙後の動きを見る

2018-11-01

 11月6日の米中間選挙が目前に迫ってきました。米中間選挙は、上下両院や州知事を対象とした選挙で、大統領の任期4年の中間に当たる年の11月に実施されます。大統領に対する信任投票とも言われ、残りの任期の政権運営に影響を及ぼす可能性があることから、世界の注目を集めています。特に今回は、大方の予想を覆して大統領選に勝利したトランプ大統領にとって初めての中間選挙であり、かつ大統領と上下両院(もしくはどちらか)の多数派が異なる“ねじれ”の発生が予想されていることから、注目度には一際高いものがあります。

“ねじれ”発生時の米国株式は一時的に調整に見舞われることも

 過去の推移を見ると、中間選挙後の米国株価には上昇する傾向があると言えます。選挙を通過したことで、それまでの様子見スタンスが後退するためと見られます。ただ、“ねじれ”発生時には注意が必要です。予算や政策を巡る議論が膠着するなど国政の停滞が予想され、先行き懸念が高まるためです。現在の米国では、大統領及び上下両院の多数派のいずれも共和党が占めていますが、今回の中間選挙により民主党が下院の多数派を奪回すると見込まれています。

 2000年以降の中間選挙を見ると、2006年と2010年に、大統領及び上下両院の多数派を同一政党が占めていた状況が崩れる“ねじれ”が発生し、いずれも翌年にかけて、NYダウが一時的に調整する場面に見舞われました(図表1参照)。中間選挙後1年間のNYダウの騰落率を見ると、2006年の中間選挙後が9.40%、2010年の中間選挙後が5.79%と、いずれも売り一巡後の買い戻しもあってプラスとなりましたが、2010年には急落して約5%下落する場面もありました。2006年の中間選挙後については、翌年にサブプライム・ローン問題が発生しており、特殊な状況であったと言えます。一方、2010年の中間選挙後については、民主党のオバマ大統領(当時)と下院の多数派を占めた共和党が米連邦債務上限問題を巡って対立し、米国債のデフォルト懸念が高まり、最終的に大手格付け会社による米国債の格下げを受けてNYダウが急落しました。NYダウの急落は中間選挙の結果とも言えます。

図表1:米中間選挙後のNYダウの推移(2006年、2010年選挙後)

図表1:米中間選挙後のNYダウの推移(2006年、2010年選挙後)

※ 選挙当日を100とし、250日後(営業日ベース)までのNYダウの動きを指数化
出所:モーニングスター作成

2010年米中間選挙後には国内小型株に投資するカテゴリーが好パフォーマンス

 今回の中間選挙で民主党が下院の多数派を奪回した場合、米国株式市場は来年にかけて下落リスクを抱えた展開になると予想されます。議会での予算審議が難航すると見られるほか、いわゆるロシア問題を巡って大統領を追及する動きが強まる恐れもあります。政策面では追加減税観測が後退すると見られます。

 では、2010年の中間選挙後の国内ファンドの動きはどうだったのでしょうか。2011年10月末時点におけるモーニングスターカテゴリー別の過去1年間のトータルリターン上位5カテゴリーを見ると、国内小型株に投資する3つのカテゴリーが並びました(図表2参照)。いずれも2010年10月末までの過去1年間のリターンはマイナスであり、リターンの改善ぶりが際立ちます。米中間選挙当日から1年間の騰落率をみると、日経平均株価が5.7%下落したのに対し、日経ジャスダック平均は2.0%、東証マザーズ指数は14.2%上昇しており、全体相場の影響を受けづらい小型株に物色が向かったことが窺えます。なお、米国株式に投資する「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」「国際株式・北米(為替ヘッジあり)」は1.7%、6.7%といずれもプラスのリターンを獲得しました。選挙後1年間のNYダウの騰落率が最終的にプラスとなったためでもありますが、選挙前1年間のリターンと比べると、プラス幅が為替ヘッジなしで微増、為替ヘッジありで大幅に縮小しました。

図表2:2010年米中間選挙後1年間のリターン上位5カテゴリー

図表2:2010年米中間選挙後1年間のリターン上位5カテゴリー

※ 選挙前1年間のリターン=2010年10月末時点の過去1年間のトータルリターン、選挙後1年間のリターン=2011年10月末時点の過去1年間のトータルリターン
※ カテゴリーはモーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

国内小型株に投資する3カテゴリーは資金流出入も改善

 次に、資金流出入の状況を見てみましょう。2010年の中間選挙後1年間の純資金流入額の上位5カテゴリーは以下の通りとなりました(図表3参照)。「国際債券・ハイイールド債(為替ヘッジなし)」が選挙前1年間に続いてトップとなりましたが、流入額は2,461億円減少しました。注目されるのは、「国際REIT・特定地域(為替ヘッジなし)」で流入額は選挙前1年間に対して1兆573億円増加しました。背景には米国REIT市場が低水準の国債利回りを背景に堅調に推移していたことがあります。なお、現時点においては米国金利が上昇基調にあるため、米国REITの先行きは慎重に見ておいた方が良いでしょう。

図表3:2010年米中間選挙後1年間の純資金流入額上位5カテゴリー

図表3:2010年米中間選挙後1年間の純資金流入額上位5カテゴリー

※ 選挙前1年間=2009年11月〜2010年10月、選挙後1年間=2010年11月〜2011年10月
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金及びファンドラップ専用含む、ETF除く)
出所:モーニングスター作成

 なお、好パフォーマンスであった国内小型株に投資するカテゴリーについては、国内小型グロースが選挙前1年間の184億円の流出超過から30億円の流入超過に転じたほか、国内小型ブレンドは流出額が84億円から54億円に、国内小型バリューは流出額が286億円から96億円に減少しました。2018年9月末時点の過去1年間のリターンで見ても、国内小型株に投資する3カテゴリーはいずれもプラスのリターンを獲得し、74カテゴリーの中でも上位となっています。米中間選挙後にも良好なパフォーマンスが継続するか注目されます。

(武石 謙作)

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