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アナリストの視点(ファンド)

10月の世界株安、“震源地”米国より下げた国・地域は?

2018-11-08

 2018年10月は米長期金利の上昇をきっかけに世界の株式市場が大幅な調整に見舞われたが、パフォーマンスを見ると、“震源地”である米国株式よりも大きく下げた国・地域があったことが分かる。同月の国内投信のモーニングスターカテゴリー別リターン(図1参照)によると、最も下落が大きかったのは「国際株式・中国(為替ヘッジあり)」で▲15.10%、次いで「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」で▲12.25%、「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジあり)」で▲12.10%となっており、新興国の下落が相対的に大きい。

図表1:2018年10月のカテゴリー別リターン(下位20)

カテゴリー リターン
国際株式・中国(為替ヘッジあり) -15.10%
国際株式・中国(為替ヘッジなし) -12.25%
国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジあり) -12.10%
国内中型グロース -11.93%
国内小型グロース -11.91%
国際株式・欧州(為替ヘッジなし) -10.82%
国内大型グロース -10.43%
国内小型ブレンド -10.36%
国内大型ブレンド -9.67%
国内中型ブレンド -9.47%
国内小型バリュー -9.45%
国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし) -9.43%
国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジなし) -9.15%
国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし) -8.75%
国内中型バリュー -8.64%
国際株式・北米(為替ヘッジあり) -8.58%
国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし) -8.45%
国際株式・北米(為替ヘッジなし) -8.43%
国内大型バリュー -8.39%
国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり) -8.10%

※ ブル・ベア型は除く
※ リターンはモーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

 それ以外にも「国内中型グロース」が▲11.93%となるなど国内株式もグロース(成長株)を中心に軒並み低迷したほか、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」も▲10.82%と落ち込んでいる。一方で、米国株式が該当する「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」は▲8.43%にとどまっており、むしろ新興国株式や国内株式、欧州株式の方が大きく下ブレしている。米国以外に幅広く分散したとしても影響は避けられなかったことになり、実際に、日本を含む先進国株式に投資するカテゴリーの「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」も同月に▲8.75%と、「国際株式・北米(替ヘッジなし)」よりも低いリターンとなった。

10月の株安以前から始まっていた新興国株式の調整

 世界の株式市場は米大統領選挙があった2016年11月以降に株高が加速したが、上昇ピッチには国・地域別で差が見られる。カテゴリー別に2016年10月末から2018年10月末までの累積リターン(図2参照)を見ると、最も良好なのは「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」で28.13%、次いで「国内大型ブレンド」が24.20%、「国際株式・欧州(為替ヘッジなし)」が19.85%となっており、最も低いのが「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」で10.60%にとどまる。

図表2:北米株式、国内株式、欧州株式、新興国株式の累積リターン

図表2:北米株式、国内株式、欧州株式、新興国株式の累積リターン

※ 期間:2016年10月末〜2018年10月末
※ 累積リターンはモーニングスターインデックス(単純)に基づく。2016年10月末を10,000として指数化
出所:モーニングスター作成

 これら4つのカテゴリーの中でも低いリターンとなっている新興国株式について、2018年10月の株安以前からパフォーマンスの低迷が始まっていた点は注目される。米国の保護主義的な政策や米長期金利上昇の影響に加え、中国の経済指標の悪化やトルコリラの急落など個別要因も重なり、下落基調が強まっている格好だ。

 実際、2016年10月末からパフォーマンスがピークを付けた2018年1月末までの累積リターンは「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」が37.02%と、「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」の31.58%を大きく上回っていたが、ピークの2018年1月末から直近の2018年10月末までのリターンは一転して、「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」が▲2.63%と小幅なマイナスリターンとなる中、「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」は▲19.28%と急速に悪化している。

資産分散がいっそう重要に

 2018年10月に起こった米国発の株安がむしろ米国以外の国・地域の株式でより大きな調整を招いており、特に新興国株式が下落基調を強めていることを考えると、今後も同様の展開となれば先進国だけでなく新興国の株式に幅広く投資していたとしても十分な分散効果が得られない可能性が高い。

 10月は主要資産が軒並みマイナスのリターンとなる中、カテゴリー別では「国内債券・中長期債」が0.14%、「コモディティ」が0.19%といずれもプラスのリターンを確保するなど、一部の安全資産、オルタナティブ資産への投資は有効となっており、今後も幅広い資産への分散がいっそう重要と言えるだろう。

(坂本 浩明)

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