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アナリストの視点(ファンド)

新興国株式への過度な警戒は不要!? PERは2013年以降で下限に

2018-12-06

 米国の長期金利上昇を受けた資金流出懸念に見舞われてきた新興国株式市場。2018年夏場にはトルコショック(トルコの通貨であるリラの急落)を受けて警戒感が最高潮に達しましたが、各国中央銀行による相次ぐ利上げのほか、米国金利について先行きの利上げ打ち止め観測が広がっていることもあり、足元では通貨下落と株安に一服感が見られます。

新興国株式のPER推移、2013年以降で下限水準

 新興国の株式を対象とする代表的な株価指数である「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」について、株価の割安、割高感をはかる指標であるPER(株価収益率)の推移から、新興国株式の株価水準を見ました。世界の株式市場を揺さぶった米国のいわゆる「財政の崖」問題が回避された2013年1月以降を対象にPERの推移を見ると、バーナンキショックに揺れた2013年半ばとチャイナショックに揺れた2015年半ばに下限の11倍前後まで低下しています。2018年は年初から低下基調にありましたが、11月は11.68倍と下限が近づく中で、小幅に上昇しました(図表1参照)。

図表1:MSCIエマージング・マーケット・インデックスのPERの推移

図表1:MSCIエマージング・マーケット・インデックスのPERの推移

※ 期間:2013年1月〜2018年11月
出所:モーニングスター作成

 次に、日本を含む先進国の株式の代表的な指数である「MSCIワールド・インデックス」について、同様に2013年1月以降のPERの推移を見ると、以下となりました(図表2参照)。

図表2:MSCIワールド・インデックスのPERの推移

図表2:MSCIワールド・インデックスのPERの推移

※ 期間:2013年1月〜2018年11月
出所:モーニングスター作成

 2018年11月は16.25倍まで低下しており、2015年9月につけた16.78倍と2016年2月の16.71倍を割り込んでいます。2013年1月につけた下限の14倍台までには依然として差があることから、今後も低下余地があると見られます。

中国など世界経済の減速懸念には留意

 「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」のPERが小幅に上昇したのは2018年11月単月のみの結果であり、12月以降の推移を注視する必要があります。また、新興国株式市場の先行きについては、世界経済の減速の影響が及ぶとの見方があり、楽観はできません。「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」に占めるシェアが30%(2018年10月末時点)と、新興国株式市場に占める影響の大きな中国が、対米貿易摩擦を抱えている点も懸念材料です。ただ、「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」と「MSCIワールド・インデックス」の足元での推移の比較から、新興国株式は調整一巡感が見られる水準にあり、過度な警戒は不要であると思われます。

(武石 謙作)

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