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アナリストの視点(ファンド)

長期勝ち組ファンドの実態、“常勝”実は少数派

2018-12-20

 優れたアクティブファンドと聞いて常に良好なパフォーマンスを継続するファンドをイメージする人も多いかもしれないが、このほど米モーニングスターが公表した調査によると必ずしもそうではないようだ。米国のアクティブファンドを対象に、2018年11月末までの過去10年におけるリターンの%ランクが25%以内となったファンド1,188本について、各年(11月末時点)のリターンの%ランクを調べたところ、3年連続で%ランク25%以内を達成したファンドは486本と、全体の4割程度にとどまった。ちなみに、%ランクはカテゴリーの中で、上位からどの程度の位置にいるか(ランク)を%で表示したもので、100ファンド中25位であれば、%ランクは25%になる。数値が低いほど相対的に良好であることを示す。

国内でも、過半数が3年連続25%以内を達成できず

 日本のファンドについても、長期でトップクラスの運用成績を達成していたとしても、各年で見ると上位に居続けるファンドはそれほど多くないというのは同様だ。実際に、国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF等除く)のアクティブファンドうち、過去10年間のトータルリターンの%ランクが25%以内のファンド270本(以下、長期勝ち組ファンド)について、1年毎(11月末時点)の1年トータルリターンの%ランクの推移を確認し、各ファンドが3年連続25%以内を達成した回数を集計した。

 イメージしやすいように例として、カテゴリー「国内債券・中長期債」に属する「エス・ビー・日本債券ファンド」を挙げると、同ファンドは2009年〜2011年に3年連続25%以内を1回達成、次に2013年〜2015年に2回目、2014年〜2016年に3回目とその後も数を増やし、計5回達成したことになる(図表1参照)。

図表1:「エス・ビー・日本債券ファンド」の%ランク推移

図表1:「エス・ビー・日本債券ファンド」の%ランク推移

※ 各年の11月末時点における1年トータルリターンの%ランクに基づく
出所:モーニングスター作成

 実は長期勝ち組ファンドの中でも、同ファンドのような“常勝”はまれなケースだ。集計結果を見ると対象とした長期勝ち組ファンド270本のうち、3年連続25%以内を一度も達成していないファンドは191本、全体の70.74%と過半数を占める(図表2参照)。残りの79ファンドについても、達成が1回にとどまるのが45本(全体の16.67%)と最も多く、2回以上の達成は34本(同12.59%)と全体の1割超しかないのが実態だ。

図表2:長期勝ち組ファンドのうち3年連続%ランク25%以内の達成回数別分布

図表2:長期勝ち組ファンドのうち3年連続%ランク25%以内の達成回数別分布

出所:モーニングスター作成

低迷から挽回のパターンも、見限るのは慎重に

 この結果はアクティブファンドが良好なパフォーマンスを達成し続けることの難しさを示すとともに、長期で優秀なファンドは一度低迷した局面があったとしてもその後に大きく挽回するケースも多いことも意味している。例として挙げられるのが、10年トータルリターンの%ランクが5%とトップクラスの運用成績を上げている「年金積立インターナショナル・グロースF」だ。

 同ファンドは「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」に属するが、各年(11月末時点)の1年トータルリターンの%ランクを見ると(図表3参照)、3年連続25%以内を一度も達成しておらず、2011年、2016年には%ランクが80%台と大きく落ち込んでいる時期もある。しかし、低迷期の翌年となる2012年、2017年には%ランクがそれぞれ2%、4%まで急回復しており、その後も継続的に優位となっている。

図表3:「年金積立インターナショナル・グロースF」の%ランク推移

図表3:「年金積立インターナショナル・グロースF」の%ランク推移

※ 各年の11月末時点における1年トータルリターンの%ランクに基づく
出所:モーニングスター作成

 投資家が2011年や2016年の成績悪化でファンドを手放していた場合はその後の高パフォーマンスの恩恵を受けることはできなかったことになる。一時的な落ち込みで見限るのではなく、ファンドを購入したときの理由に立ち返るなど、保有を継続するかは慎重に判断するようにしたい。なお、モーニングスターのサイトでは個別ファンドの「リターン」のページにおいて、「累積収益」では暦年で、「期間収益」では半年や1年など期間を指定して%ランクを確認することができる。過去のパフォーマンスを振り返るのも一考だ。

(坂本 浩明)

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