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アナリストの視点(ファンド)

2018年の新規設定動向―毎月分配型ファンドの減少、背景に顧客本位の業務運営

2018-12-27

 2018年は、株式市場では、米国発の世界同時株安や米中貿易摩擦などに揺れ、日経平均株価は7年ぶりに下落して幕を閉じようとしている。投信市場では、国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)は年初から11月末までに353本設定され、2017年の同期間に設定された428本から減少した。2017年は、パッシブファンドの低コスト化が特徴としてみられたが、2018年に新規設定されたファンドにはどのような特徴があるのかをみていきたい。

新規設定は全体では減少も国際株式型は微増

 まずは、モーニングスター大分類別(全10分類)に設定状況をみてみよう。2018年11月末までは、第1位が「国際株式型」の132本、第2位は「バランス型」の93本、第3位は「国際債券型」の50本の順であった。2017年の同期間に設定されたファンドと比較をすると「バランス型」、「国際債券型」などの減少が目立ち、「国際株式型」は増加したものの、わずか3本の微増だった(図表1)。また、「国際株式型」と「国内株式型」の合計本数では、2017年の174本と変わらなかったものの、割合としては40%から49%まで上昇した。

図表1:モーニングスター大分類別の新設ファンド本数(2018年の上位5分類)

図表1:モーニングスター大分類別の新設ファンド本数(2018年の上位5分類)

※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)が対象
※ モーニングスター大分類に基づく
出所:モーニングスター作成

新設ファンドの毎月分配型ファンドの件数は減少、2018年は5%未満に

 株式型のファンドの割合が高かったこと以外に、2018年の新設ファンドの特徴の1つに、毎月分配型ファンドの割合が減少したことがある。まず、新設ファンドを対象に決算回数別の割合をみると、2015年には18.4%(549本中101本)が毎月分配型ファンドだったが、2018年では4.2%(353本中15本)となっている(図表2)。 次に、新設ファンドと既存ファンド全体を対象に純資産額ベースで決算回数別の割合をみる。なお、日銀の大規模なETF買入れの影響を除くため、ここではETFを対象外とする。毎月分配型ファンドは2015年の59.5%から2018年の38.4%と約20%減少している。一方で、年1回決算型ファンドは2015年の26.5%から2018年の42.9%と約16%上昇し、毎月分配型ファンドの割合を逆転した(図表3)。

図表2:新設ファンドの決算回数別割合

図表2:新設ファンドの決算回数別割合

※ 2018年は11月末まで
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)が対象
出所:モーニングスター作成

図表3:純資産額ベースの決算回数別割合

図表3:純資産額ベースの決算回数別割合

※ 2018年は11月末まで
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用含む、ETF除く)が対象
出所:モーニングスター作成

顧客本位の業務運営が広がり、毎月分配型ファンド離れが進む

 毎月分配型ファンド離れが進んだ背景には、金融庁が金融機関に「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」を求めてきたことがあり、投資家の長期の資産形成に資するファンドとして、福利効果が活かしやすい分配頻度の少ないファンドがより多く設定されている。ちなみに、2018年の新設ファンドの多かった運用会社上位3社は、三菱UFJ国際投信(38本)、大和証券投資信託委託(37本)、野村アセットマネジメント(29本)だった。2017年と2018年の毎月分配型ファンドの設定本数を比較すると、大和証券投資信託委託は1本で変わらなかったが、三菱UFJ国際投信は2017年の4本から2018年は0本、野村アセットマネジメントは2017年の7本から2018年は3本とそれぞれ減少している(図表4)。

図表4:新設ファンドの多かった運用会社上位3社の決算回数別本数

  年1回 年2回 年4回 年6回 年12回 合計
三菱UFJ国際投信 25 9 1 3 0 38
大和証券投資信託委託 23 9 0 4 1 37
野村アセットマネジメント 17 7 1 1 3 29

※ 2018年は11月末まで
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF含む)が対象
出所:モーニングスター作成

 毎月分配型ファンドで元本を取り崩して分配をしているファンドが少なくないことは、インターネットや書籍でも知る機会は増えたが、その他にも投信を保有するには知識や情報は欠かせない。例えば、受益者には販売会社から運用報告書が交付される。文字数や専門用語も多く、読むことに尻込みしてしまうかもしれないが、その中に分配原資の内訳という項目がある。ここでは、支払われた分配金が当期の収益か、それ以外から出ているのかが確認でき、実力に見合った分配金が支払われているかがわかる。また、モーニングスターのサイトでもレーティングを始め、リターンやリスク(標準偏差)など様々なデータを確認できるので、こういった情報やデータを投資家の皆様には是非とも活用して、2019年も投信運用を行っていただきたい。

(兵頭 優一)

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