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アナリストの視点(ファンド)

運用会社別のレーティングに注目、投資家の人気の高さと一致する傾向

2019-04-11

運用会社別のモーニングスターレーティング平均を算出

 国内公募追加型株式投資信託(確定拠出年金向け、ファンドラップ向け、ETF等除く)のうち、2019年3月末時点で国内株式型に属するアクティブファンドを大型株、中小型株に分け、同月末時点における運用会社ごとのモーニングスターレーティング平均(以下、レーティング平均)をそれぞれ純資産額加重で算出した。設定から3年が経過したファンドのうち、運用成績が優れたファンドには高レーティングが付与されることから、レーティング平均が高い=運用に強みを持つとも言えよう。なお、総合力を測るために、ファンド数が3本未満の運用会社、個別ファンドでは通貨選択型のファンドを除外した。

大型株はスパークスやしんきんが上位、特定のスタイルへの集中運用が奏功

 まず、大型株のランキングをみると、集計対象となった20社中第1位はスパークス・アセット・マネジメント(以下、スパークス)となった(図表1)。スパークスは1989年に創業した独立系の投信投資顧問会社であり、対象となる4本全てが5ツ星を獲得しており、4本のうち3本は2019年3月末時点の組入上位10銘柄が同じという特徴がみられた。第2位はしんきんアセットマネジメント投信(以下、しんきん)で、「しんきん 好配当利回り株ファンド」を含む対象3本全てで4ツ星以上を獲得した。第3位には損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント(以下、損保ジャパン)がランクインした。5ツ星を獲得したのは「損保ジャパン・エコ・オープン(配当利回り重視型)」の1本のみにとどまったが、集計対象となる9本全てが3ツ星以上と平均的に高い運用成績となっている。また、純資産残高で1,000億円を超えている運用会社は20社中8社あったが、その中でトップ3にランクインしたのはスパークスだけで、第5位まで拡大しても野村アセットマネジメントがランクインするにとどまった。

 国内の大型株のアクティブ運用といった場合、運用・調査体制が充実している国内の大手証券会社のグループの運用会社や、グローバルな情報収集や投資判断のスピード感などで勝る外資系の運用会社の方が運用成績でも優れているのではとイメージする投資家もいるかもしれないが、今回のランキングでは特徴のある国内系がトップ3を独占し、かつ純資産残高の大きさとも一致しなかった。むしろ、対象ファンドのモーニングスターカテゴリーは、スパークスは「国内大型グロース」、しんきんは「国内大型ブレンド」、損保ジャパンは「国内大型バリュー」で全て占めており、特定のスタイルに集中して運用を行っていることが好成績に結びついている。

図表1:モーニングスターレーティング平均上位5社(大型株)

運用会社名 モーニングスター
レーティング平均
★★★★★
(本)
★★★★
(本)
★★★
(本)
★★以下
(本)
純資産額合計
(百万円)
スパークス 5.00 4 0 0 0 135,269
しんきん 4.08 1 2 0 0 13,946
損保ジャパン 3.96 1 5 3 0 58,562
JPモルガン 3.92 0 3 1 2 35,879
野村 3.79 1 8 6 3 182,307

※1 国内公募追加型株式投信(確定拠出向け、ファンドラップ向け、ETF等除く)
※2 モーニングスターカテゴリーの「国内大型バリュー」、「国内大型ブレンド」、「国内大型グロース」に属するファンドを対象
※3 2019年3月末時点のモーニングスターレーティングを純資産額加重平均
※4 ファンド数が3本未満の運用会社、通貨選択型のファンドは除外
出所:モーニングスター作成

中小型株はスパークスや三井住友DSが上位、5位まで全てが国内系運用会社

 次に、中小型株のランキングをみると、集計対象となった15社中第1位は大型株と同じくスパークスだった(図表2)。対象5本のうち5ツ星と4ツ星は1本ずつにとどまったが、両ファンドの純資産額はいずれも100億円を超えていることが寄与し、レーティング平均は4.09となった。第2位には、三井住友DSアセットマネジメント(以下、三井住友DS)がランクインした。三井住友DSは2019年4月に三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問が合併したため両社の合算値となっているが、対象の12本中10本が4ツ星以上、12本全てが3ツ星以上を獲得している。また、第3位の日興アセットマネジメントも対象の8本中全てで3ツ星以上を獲得した。

 集計対象となった15社の中には外資系が4社含まれるが、第4位と第5位も国内系がランクインしており、中小型株でも国内系優位の結果となった。一方で、純資産残高で1,000億円を超えている運用会社は5社あったが、第2位の三井住友DSも含めて、第5位までに3社がランクインした。中小型株の運用で純資産残高が大きくなりすぎると、投資銘柄や比率などに制限がかかることで運用成績が悪化する傾向がみられる場合があるが、現状ではそのような傾向は必ずしもみられなかった。

図表2:モーニングスターレーティング平均上位5社(中小型株)

運用会社名 モーニングスター
レーティング平均
★★★★★
(本)
★★★★
(本)
★★★
(本)
★★以下
(本)
純資産額合計(百万円)
スパークス 4.09 1 1 2 1 40,138
三井住友DS 4.00 2 8 2 0 135,779
日興 3.96 1 5 2 0 72,377
アセマネOne 3.88 3 6 5 1 214,022
明治安田 3.75 0 1 2 0 119,576

※1 国内公募追加型株式投信(確定拠出向け、ファンドラップ向け、ETF等除く)
※2 モーニングスターカテゴリーの「国内中型バリュー」、「国内中型ブレンド」、「国内中型グロース」、「国内小型バリュー」、「国内小型ブレンド」、「国内小型グロース」に属するファンドを対象
※3 2019年3月末時点のモーニングスターレーティングを純資産額加重平均
※4 ファンド数が3本未満の運用会社、通貨選択型のファンドは除外
出所:モーニングスター作成

レーティングの高さと投資家の人気が一致、今後も継続されるかに注目

 最後にレーティング平均と過去3年間の純資金流入額の関係をみると、集計対象となった大型株全体では1兆円以上の流出超過となる中、損保ジャパンも188億円の流出超過となったものの、スパークスは150億円、しんきんは9億円のいずれも流入超過となっており、3社の合計では29億円の流出超過にとどまった。レーティング平均下位3社は合計で855億円の流出超過となったのとは対照的だ。また、集計対象となった中小型株全体では8,000億円以上の流入超過となる中、日興は146億円の流出超過となったものの、スパークスは137億円、三井住友DSは1,144億円のいずれも流入超過となっており、3社の合計は1,135億円の流入超過と、レーティング平均下位3社の合計887億円の流出超過とは大きな差が開いた。レーティング平均の高さと投資家の人気の高さが一致するという傾向が今後も続くのか、注目される。

(兵頭 優一)

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