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アナリストの視点(ファンド)

バランス型と国際株式型の意外な相関

2019-04-26

 国内籍のファンド(※1)にはこの20年間で合計94兆円の資金が集まったが、そのうち約15%を占める14兆円以上がバランス型のファンドへ流入した。これは、モーニングスター大分類(※2)では3位の資金流入超過額である。今回は、バランス型ファンドの変遷と、選択する際に考慮すべき内容について考察してみたい。

※1:国内公募追加型株式投資信託(ETF除く)
※2:国内株式型、国内債券型、国内REIT型、国際株式型、国際債券型、国際REIT型、バランス型、商品指数連動型、オルタナティブ型、特殊運用型の10種類

2度の転換

 バランス型はこの20年間継続して資金を集め続けてきたのであろうか?純資金流出入額について20年間の推移を見てみよう(図表1参照)。1999年4月〜2007年12月は、流入超が目立ち安定して資金を集めていた一方で、2008年1月〜2014年4月は一転して崖から転げ落ちるように流出超傾向に陥った。そして再び2014年5月以降は流入超傾向が続いている。

図表1:バランス型の純資金流出入額の推移

図表1:バランス型の純資金流出入額の推移

※ 国内公募追加型株式投資信託(ETF除く)のうち、モーニングスター大分類「バランス型」に属するファンドが対象
※ 1999年4月〜2019年3月(月次)
出所:モーニングスター

 この2度の転換はなぜ起きたのだろうか?別の大分類の動きと関連があるのだろうか?それを明らかにするために、過去20年間の大分類別の資金流出入額推移の相関係数を調べてみる(図表2参照)。相関係数とは、2種類のデータの関係を示す指標であり、−1(正反対の動き)から1(全く同じ動き)の値をとる。0.4以上で正の相関、0.7以上で強い正の相関、−0.4以下で負の相関、−0.7以下で強い負の相関を表す。これを基にすると、国際株式型との間で強い正の相関があることが分かる。

 分散投資は、値動きの異なる複数の資産クラスを組み合わせることでリスク分散を図るため、長期的な資産形成に有効であり、株式市況の良し悪しにかかわらず資金流入が進むように思われる。ところが、実際の資金流出入の推移は、国際株式と連動性が高い。国際株式型に資金が集まりやすいのは世界景気や海外の株式市場に対する上昇期待が存在するタイミングであるが、そのタイミングでバランス型にも資金が集まることが多い。これはバランス型がアセットアロケーションもプロにお任せできるため、初心者向きとされており、投資環境が良好な状況において購入されやすいことが一つの理由として考えられる。2014年以降の世界経済の回復局面が好例である。一方で、2018年のリーマンショックのような経済事象が発生し世界中の株式市場が大打撃を受けた場合や利益確定売りが進んだ場合には、両者とも流出超に転じる。

 以上の要因が、国際株式型とバランス型の資金流出入の相関をもたらしており、それが2度の転換に影響したと考える。本来は、株安等のリスク回避局面においてこそバランス型の分散投資効果が発揮され資金が集まりそうだが、実際の投資家の売買動向としては反対に、リスク選好局面で買われ、リスク回避局面で手放す傾向を示している。

図表2:バランス型と他分類の純資金流出入額の相関係数

図表2:バランス型と他分類の純資金流出入額の相関係数

※ 国内公募追加型株式投資信託(ETF除く)が対象
※ 1999年4月〜2019年3月(月次)
出所:モーニングスター

バランス型ファンドを選ぶ視点

 近年、金融庁による、顧客本位の業務運営におけるKPI(共通成果指標)公表などを契機に、「リスクやコストに見合ったリターンを獲得できているか」という観点が重要視されている。そこで、ファンドを選択する上で、重要な指標となる「運用効率」と、「コスト比率」について分類ごとに比較してみたい。

 バランス型ファンドは、リスク資産である株式・REITの組入比率の高い順に「成長」「バランス」「安定成長」「安定」と4種類のモーニングスターカテゴリーに分類されるが、リスク資産の組入比率が高いほど、リスク・リターンともに高くなる傾向がみてとれる(図表3参照)。よって、この4カテゴリーでどれを選択すべきかは個々人のリスク許容度によるところが大きい。一方で、運用方法により、ベンチマークに連動する成果を目指すパッシブ(インデックス)運用と、ベンチマークや参考指数を上回る成果を目指すアクティブ運用に分類されるが、この2つの運用方法による比較では大きな差が出た。

 分布図は、縦軸にトータルリターン(5年・年率)、横軸に標準偏差(5年・年率)をとるため、左上方ほど運用効率が高く、右下方ほど運用効率が低いことを示している。4カテゴリー全てにおいて、それぞれアクティブと比較しパッシブは左上方に位置しているため、相対的に運用効率の面で優位にあり、よりリスクに見合ったリターンを獲得できていることが分かる(図表3参照)。

図表3:アクティブとパッシブのリターン・リスク分析

図表3:アクティブとパッシブのリターン・リスク分析

※ 2019年3月末時点
※ モーニングスターカテゴリー「安定」「安定成長」「バランス」「成長」に属するファンド(ETF除く)の平均
※ (P)=パッシブ (A)=アクティブ
出所:モーニングスター

 次に、リターンに占めるコストの比率(※3)について比較してみると、全てのカテゴリーでパッシブが低くなっており、アクティブファンドよりコストを抑えながら高いリターンを獲得できている(図表4参照)。このことから、上述したパッシブファンドの中期的な視点でみた良好なパフォーマンスには、パッシブファンドの特徴である幅広い分散に加え、コストの低さが寄与している可能性が高い。

※3:信託報酬等(税込)の平均÷トータルリターン(5年・年率)の平均で算出

図表4:アクティブとパッシブのコスト比率比較

図表4:アクティブとパッシブのコスト比率比較

※ 2019年3月末時点
※ モーニングスターカテゴリー「安定」「安定成長」「バランス」「成長」に属するファンド(ETF除く)が対象
※ トータルリターン(5年・年率)の平均に占める信託報酬等(税込)の平均の比率を算出
出所:モーニングスター

 バランス型は長期投資に適格とされるが、長期投資するからこそ、カテゴリーや運用方法等によるパフォーマンスやコストの差異にも着目することがファンド選択には必要である。投資信託全体で低コスト意識が進む中、今後バランス型の中ではどのようなファンドに資金が集まるかについても注目していきたい。

(大森 崇史)

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