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アナリストの視点(ファンド)

10年で4.5倍に急増した年1回決算型の純資産総額、顔ぶれに変化は?

2019-05-10

 2019年3月末の国内ファンド(※1)の純資産総額は62兆7,505億円となり、2018年3月末との比較では1,266億円の減少となったものの、概ね同水準の規模を保っている。一方、10年前である2009年3月末の純資産総額は36兆3,363億円と、2008年3月末の52兆2,341億円から30.4%も急減した。2008年9月の「リーマン・ブラザーズ」の経営破綻に端を発し、世界的な金融危機に陥ったリーマンショックの影響を受け、投資家のリスク回避姿勢が鮮明になった時期を経ていることが背景にあるためだ。2009年3月末は過去10年間の中でも最も純資産総額が低水準の時期であったが、2019年3月末には約1.7倍にまで増加している。

※1 国内ファンド=国内公募追加型株式投信(確定拠出年金及びファンドラップ専用含む、ETF除く)

 2019年と2009年の各3月末の純資産総額を決算回数別に比較していくと、急増しているのは年1回決算型と年2回決算型、減少しているのは隔月決算型と四半期決算型となり、毎月決算型は概ね同水準となった(図表1参照)。

図表1:決算回数別純資産総額の比較

図表1:決算回数別純資産総額の比較

出所:モーニングスター作成

 最も純資産総額が増加した年1回決算型は2009年の約4.5倍となっており、長期投資をする上でメリットとなる複利効果を活かす資産運用に投資家がシフトしていると言える。投資家がいつでも購入できる一般的なファンドを対象に、2019年3月末時点の年1回決算型の純資産総額ランキングを見ると、つみたてNISAの対象ファンドとなっている「ひふみプラス」が6,038億円で第1位に輝いている。純資産総額上位10ファンドは、全てアクティブファンドである点も特徴と言え、2015年以降に設定された「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)」や「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド 愛称:The 5G」といったテーマ型ファンドが入ったほか、「野村 インド株投資」など運用実績が10年以上あるファンドも3ファンドがランクインしている(図表2参照)。なお、2018年3月末の純資産総額上位10ファンドと比較すると、8本が同一ファンドであり、上位3ファンドの顔ぶれも変わらなかった。

図表2:2019年3月末時点の年1回決算型純資産総額上位10ファンド

順位 ファンド名 アクティブ/パッシブ 設定年月 純資産総額(億円)
第1位 ひふみプラス アクティブ 2012年5月 6,038
第2位 野村 インド株投資 アクティブ 2005年6月 4,476
第3位 グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型) アクティブ 2015年8月 4,163
第4位 グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) 愛称:未来の世界 アクティブ 2016年9月 3,939
第5位 フィデリティ・日本成長株・ファンド アクティブ 1998年4月 3,626
第6位 さわかみファンド アクティブ 1999年8月 2,943
第7位 次世代通信関連 世界株式戦略ファンド 愛称:The 5G アクティブ 2017年12月 2,643
第8位 グローバルAIファンド アクティブ 2016年9月 2,569
第9位 GS グローバル・ビッグデータ投資戦略Bコース(為替ヘッジなし) アクティブ 2017年2月 2,344
第10位 新興国ハイクオリティ成長株式ファンド 愛称:未来の世界(新興国) アクティブ 2017年12月 2,297

※ 黄色の色付けは2009年3月末時点でも純資産総額上位10ファンドにランクインしたファンド
出所:モーニングスター作成

 では、2009年3月末との比較ではどのような特徴が見えるだろうか。2009年3月末時点での純資産総額上位10ファンドのうち、4本がパッシブファンドで全て日経225連動型、かつ10年超の運用実績を有するファンドであった。2008年3月末時点の純資産総額上位10ファンドには、パッシブファンドが日経225連動型の2本しか入っておらず、リーマンショックを経験した投資家がアクティブファンドよりもパッシブファンドに投資の軸を移したと考えられる。一方、アクティブファンドでは「シュローダー・ラテンアメリカ株投資」、「野村 新中国株投資」(※2)、「イーストスプリング・インド株式オープン」といったリーマンショック後に投資家の脚光を浴びた新興国株式ファンドが入った(図表3参照)。2019年3月末と純資産総額上位ファンドの顔ぶれが大きく異なる中で、「フィデリティ・日本成長株・ファンド」、「さわかみファンド」は2009年、2019年3月末の両方にランクインしており、日本株アクティブファンドについては長期の実績を有するファンドが注目されている点に着目したい。

※2「野村 新中国株投資」は2018年10月に償還している

図表3:2009年3月末時点の年1回決算型純資産総額上位10ファンド

順位 ファンド名 アクティブ/パッシブ 設定年月 純資産総額(億円)
第1位 GW7つの卵 アクティブ 2003年2月 2,455
第2位 フィデリティ・日本成長株・ファンド アクティブ 1998年4月 2,186
第3位 インデックスファンド225 パッシブ 1988年6月 1,748
第4位 さわかみファンド アクティブ 1999年8月 1,690
第5位 MHAM 株式インデックスファンド225 パッシブ 1985年10月 1,116
第6位 三菱UFJ インデックス225オープン パッシブ 1998年11月 923
第7位 日経225ノーロードオープン パッシブ 1998年8月 830
第8位 シュローダー・ラテンアメリカ株投資 アクティブ 2007年9月 620
第9位 野村 新中国株投資 アクティブ 2009年3月 620
第10位 イーストスプリング・インド株式オープン アクティブ 2004年9月 606

※ 黄色の色付けは2019年3月末時点でも純資産総額上位10ファンドにランクインしたファンド
出所:モーニングスター作成

(平井 綾香)

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