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アナリストの視点(ファンド)

米国の利下げ局面入りは投資家のポートフォリオ見直しの契機に

2019-06-27

 6月に入り米国株が上昇している。その一因として、FRB(米連邦準備制度理事会)が年内利下げに踏み切るとの見方が強まったからだ。利下げが行われると、設備投資や住宅投資が活発化し、企業部門から家計部門へと好影響が波及することから、先行き景気が回復し、企業業績が良くなる可能性が出てくるため、株価の上昇要因とされている。しかし、利下げに対する過度な株高期待には注意する必要がある。2000年以降では2001年1月〜2003年6月(以下、利下げ局面(1))、2007年9月〜2008年12月(以下、利下げ局面(2))で利下げが行われたが、いずれの期間でもNYダウは当初は利下げを好感して上昇するも、その後は反落し、結局、利下げ局面(1)では▲17.9%、利下げ局面(2)では▲36.8%となった(図表1)。

図表1:FF金利とNYダウの推移

図表1:FF金利とNYダウの推移

期間:1990年1月〜2019年5月(月次)
出所:モーニングスター作成

 実際、円ベースでのファンドの騰落率下位をみると、利下げ局面(1)では「国際株式・欧州(為替ヘッジあり)」が▲48.55%、「国際株式・北米(為替ヘッジあり)」が▲44.53%となった。利下げ局面(2)では「国際株式・ロシア(為替ヘッジなし)」が▲71.72%、「国際株式・ブラジル(為替ヘッジなし)」が▲65.83%など過去2回の利下げ局面で、いずれも下位5カテゴリーのうち株式型が3カテゴリー以上となり、利下げ局面での株式下落傾向が確認できる(図表2)。

 一方で、利下げ局面(1)での騰落率上位をみると、第1位が「国際債券・欧州(為替ヘッジなし)」の47.03%、第2位が「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」の34.79%となり上位の大半は債券型となった。利下げ局面(2)でも、第1位が「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」の2.00%、第2位が「国際債券・オセアニア(為替ヘッジあり)」の0.86%など上位5カテゴリー全てが債券型となっている。

 過去の2回の利下げ局面においての大きな違いは為替の方向感にある。利下げ局面(1)では2.8%の小幅な円安だった。しかし、利下げ局面(2)で、リーマンショックのような金融危機が起こった場合は、投資家も企業もリスクを回避しようとするため、安全資産とされる円が買われやすくなり、21.1%の大幅な円高につながったとみている。

図表2:過去の利下げ局面での騰落率上位・下位5カテゴリー

上位 利下げ局面(1) 騰落率 利下げ局面(2) 騰落率
第1位 国際債券・欧州(為替ヘッジなし) 47.03% 国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり) 2.00%
第2位 国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし) 34.79% 国際債券・オセアニア(為替ヘッジあり) 0.86%
第3位 国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジあり) 32.51% 国内債券・中長期債 0.61%
第4位 国内小型バリュー 31.29% 国際債券・物価連動債(為替ヘッジあり) -0.63%
第5位 国際債券・エマージング・複数国(為替ヘッジなし) 28.58% 国際債券・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり) -1.97%
下位 利下げ局面(1) 騰落率 利下げ局面(2) 騰落率
第1位 国際株式・欧州(為替ヘッジあり) -48.55% 国際株式・ロシア(為替ヘッジなし) -71.72%
第2位 国際株式・北米(為替ヘッジあり) -44.53% 国際株式・ブラジル(為替ヘッジなし) -65.83%
第3位 国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり) -39.60% 国際REIT・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし) -63.65%
第4位 国内大型グロース -38.04% 国際REIT・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし) -63.41%
第5位 国際株式・欧州(為替ヘッジなし) -36.94% 国際株式・中国(為替ヘッジなし) -63.28%

※ カテゴリーはモーニングスターインデックス(単純)に基づく
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用ファンド、ファンドラップ専用ファンド、ETF等除く)のうちブルベア型を除く
※ 期間=1回目:2001年1月〜2003年6月、2回目:2007年9月〜2008年12月
出所:モーニングスター作成

 過去の利下げ時のような局面が来るとすれば、株式型へのウェイトを極端に高めている投資家は債券型へのウェイトを高める必要があるだろう。そこで、注目したい1つが「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)」だ。急激な円高が進行した利下げ局面(2)において2.00%のプラスとなっただけでなく、円安が進行した利下げ局面(1)においても9.62%とプラスリターンを獲得している。2019年5月末時点で同カテゴリーに属する純資産額10億円以上、かつ3ツ星以上のファンドには、世界各国の公益企業・公社が発行する債券に投資を行う「DWSグローバル公益債券ファンド(毎月分配型)Aコース(為替ヘッジあり)」や主に先進国通貨建の国際機関債に投資を行う「国際機関債オープン(為替ヘッジあり)」がある(図表3)。また、利下げ局面(1)と(2)のいずれにおいてもリターンがプラスとなった「国内債券・中長期債」に属するファンドを同様の2条件で抽出すると、「ダイワ 日本国債ファンド(毎月分配型)」や「三井住友・日本債券インデックス・ファンド」などがある。

 足元では、利下げを好材料として米国株は堅調に推移しているものの、利下げに動くのは景気後退局面であり、株安のサインだろう。早ければFRBは7月に利下げに踏み切る可能性もあるため、今から債券型を中心とした値動きの小さい、かつ為替リスクを減らした資産を多く組み入れたポートフォリオ構築の準備をしたい。 

図表3:国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)及び国内債券・中長期債に属する主なファンド

<国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり)>

銘柄名 運用会社 純資産額
(百万円)
モーニングスター
レーティング
DWSグローバル公益債券ファンド(毎月分配型)Aコース(為替ヘッジあり) ドイチェ 70,179 ★★★
国際機関債オープン(為替ヘッジあり) 三菱UFJ国際 11,117 ★★★★
DWSグローバル公益債券ファンド(年1回決算型)Cコース(為替ヘッジあり) ドイチェ 6,225 ★★★
日本金融ハイブリッド証券オープン(毎月分配型)円ヘッジありコース 損保ジャパン 5,197 ★★★★
東京海上 Roggeニッポン海外債券ファンド(為替ヘッジあり) 東京海上 4,816 ★★★

<国内債券・中長期債>

銘柄名 運用会社 純資産額
(百万円)
モーニングスター
レーティング
ダイワ 日本国債ファンド(毎月分配型) 大和 213,229 ★★★
三井住友・日本債券インデックス・ファンド 三井住友DS 72,819 ★★★★
ニッセイ 日本インカムオープン ニッセイ 66,091 ★★★
DLIBJ 公社債オープン(中期コース) アセマネOne 50,931 ★★★★
東京海上・円建て投資適格債券ファンド(毎月決算型) 東京海上 41,834 ★★★

※ 2019年5月末時点
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用ファンド、ファンドラップ専用ファンド、ETF等除く)を対象
※ 各カテゴリーのモーニングスターレーティングが3ツ星以上かつ純資産額が10億円以上のファンドのうち、純資産額の上位5本
出所:モーニングスター作成

(兵頭 優一)

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