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アナリストの視点(ファンド)

山椒は小粒でもぴりりと辛い?「国内小型バリュー」の実力は?

2019-07-12

 2019年6月末時点で、国内株式型ファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)の純資産残高は約7.8兆円となっており、15年前(2004年6月末時点)の6.3兆円と比較すると規模が拡大している。その中での残高シェアは、国内大型株に投資するファンドが▲16.10%と大幅に縮小したのに対し、国内中小型株に投資するファンドはその分拡大している(図表1参照)。

図表1:国内株式型内での大型株ファンドと中小型株ファンドの純資産残高シェアの推移

図表1:国内株式型内での大型株ファンドと中小型株ファンドの純資産残高シェアの推移

※期間:2004年6月末〜2019年6月末(月次)
※国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)のうち、国内株式型が対象
※大型株、中小型株ファンドの区分は以下のモーニングスターカテゴリーに基づく。大型株ファンド=「国内大型バリュー・ブレンド・グロース」の合計、中小型株ファンド=「国内中型バリュー・ブレンド・グロース」および「国内小型バリュー・ブレンド・グロース」の合計
出所:モーニングスター作成

大型株は下落局面に強く、中小型株は上昇局面に強い?

 大型株・中小型株の過去の動向を株価指数の推移から比較してみたい(図表2参照)。一般的には、大型株と比較して中小型株は時価総額(株価×発行済株式数)が小さく流動性が低いため、値動きが上にも下にも大きく、市場平均以上の騰落を通じてリスクとともにリターンも高くなる傾向があると言われている。実際、この15年間の累積リターンでは大型株の71.05%に対し中小型株は88.01%となっており、長期でみたリターンでは中小型株が優位となっている。詳細に2012年〜2017年の暦年リターンをみると、日本株の上昇局面では、概ね中小型株の優位性がみてとれるが、下落局面においては必ずしも中小型株が大きく劣後しているとは言い難い。具体的な局面をいくつかみてみたい。

 (1)2005年では、当時の小泉首相が郵政をはじめとした日本の構造改革に着手したことなどが好感され、大型株が44.50%と大幅に上昇したのをさらに上回り、中小型株は50.63%上昇した。(2)2008年では、世界的な金融危機であるリーマン・ショックの影響を受けて、大型株が▲42.33%と大幅に下落したのに対し中小型株は▲37.72%と、相対的に下落幅を抑えた。(3)2011年では、欧州債務危機が波及し、大型株が▲18.57%となったのに対し、中小型株は▲12.81%と相対的に良好となった。(4)アベノミクスによる日本株の上昇局面であった2012年〜2017年では、初期の2012年〜2013年には大型株が上回ったものの、その後は出遅れ感があった中小型株へと投資家の資金が向かい2012年〜2017年の暦年リターン合計では大型株の117.54%を上回り、中小型株は125.94%となった。

 なお、米中貿易摩擦を中心とした世界経済の減速懸念が高まった2018年に関しては、(4)により高騰した中小型株が利食われたこともあり大型株以上に下落した。このような例外もあるものの、概して下落局面、とりわけ海外要因による下落局面では輸出への影響から、外需銘柄の多い大型株より内需銘柄の多い中小型株の下げ幅が小さくなる傾向が強い。

図表2:株式規模別の暦年リターンの推移

図表2:株式規模別の暦年リターンの推移

※期間:2004年6月末〜2019年6月末
※2004年は2004年6月末〜12月末、2019年は2018年12月末〜2019年6月末
※大型株=Russell/Nomura Large Cap Index(配当込)、中小型株=Russell/Nomura Mid−Small Cap Index(配当込)
出所:モーニングスター作成

カテゴリーでは小型バリューに軍配

 このように、過去15年間では相対的に優れた実績を残した中小型株に投資するファンドを、モーニングスターでは、投資対象銘柄の規模(中型・小型)およびスタイル(バリュー・ブレンド・グロース)によって6種類のカテゴリーに分類している。バリュー(割安株)は、業績や財務内容などからみたその企業の価値に比べて現在の株価が低くなっている銘柄へ投資を行うスタイルで PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)の低い銘柄を中心にポートフォリオを構築する。一方、グロース(成長株)は、将来の成長が期待できる銘柄へ投資を行い、PERやPBRの高い銘柄を組み入れるスタイルであり、ブレンドは市場の平均に近い運用スタイルである。

 6種類のカテゴリーの運用実績を比較してみよう(図表3、4参照)。この中でも「国内小型バリュー」は、2004年6月末からの累積リターンが164.44%とトップになっているだけでなく、15年の年率リターン÷リスクでみた運用効率も0.40と最も高い。この理由として、同カテゴリーは、割安性を重視し下げ余地が少ないと判断した銘柄選択を行っていることから、下落局面においてはグロースと比較して下げ幅を抑えられている傾向があることが挙げられ、2008年と2011年のリターンは6種類のカテゴリーの中でいずれもトップとなっている。長期の運用効率で優位にある同カテゴリーに属するファンドに着目したい。

図表3:国内株式型カテゴリーのうち中小型6種類の累積リターン推移

図表3:国内株式型カテゴリーのうち中小型6種類の累積リターン推移

※期間:2004年6月末〜2019年6月末(月次)
※各モーニングスターインデックス(単純)に基づく
出所:モーニングスター作成

図表4:国内株式型カテゴリーのうち中小型6種類の運用成績・ファンド数

カテゴリー 15年リターン
(年率)
15年リスク
(年率)
15年リターン÷
15年リスク
ファンド数
国内小型バリュー 6.70% 16.63% 0.40 8
国内小型ブレンド 5.16% 18.06% 0.29 14
国内小型グロース 5.74% 20.38% 0.28 63
国内中型ブレンド 4.22% 16.43% 0.26 56
国内中型バリュー 3.88% 16.84% 0.23 16
国内中型グロース 3.90% 17.95% 0.22 67

※2019年6月末時点
※15年リターンおよび15年リスクは各モーニングスターインデックス(単純)に基づく
※ファンド数は国内公募株式投資信託(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETFを除く)を対象に集計
出所:モーニングスター作成

 2019年6月末時点で「国内小型バリュー」に属するファンドは8本ある。この中で、2019年6月末時点における過去10年間のトータルリターン・シャープレシオともに最も高いのが、「大和住銀 日本小型株ファンド」(図表5参照)。当ファンドの10年間のトータルリターンは19.39%と、705本ある国内株式型全体(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETFを除く)のファンドの中でも第6位となっており、他のカテゴリーのファンドと比較しても長期的に良好な運用実績を残している。当ファンドを含め今後も「国内小型バリュー」の動向に注目していきたい。

図表5:「国内小型バリュー」ファンド

ファンド名 運用会社 10年リターン
(年率)
10年シャープ
レシオ
信託報酬等
(税込)
純資産額
(億円)
設定年月
大和住銀 日本小型株ファンド 三井住友DS 19.39% 1.15 1.64% 91 2004年6月
ノムラ ファンドマスターズ日本小型株 野村 10.14% 0.61 1.90% 33 2004年3月
野村 小型株オープン 野村 9.27% 0.61 1.73% 25 2006年1月
アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド アムンディ 8.56% 0.52 1.84% 78 2000年8月
日本低位株ファンド 野村 8.09% 0.41 0.99% 63 1993年6月
低位株オープン 日興 8.03% 0.44 0.99% 37 1993年5月
ニッポン中小型株ファンド 三井住友DS - - 1.78% 234 2014年2月
野村 日本真小型株投信 野村 - - 1.73% 57 2009年8月

※2019年6月末時点
※国内公募株式投資信託(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETFを除く)のうち、「国内小型バリュー」に属するファンドを対象に10年リターン(年率)順で記載
※運用期間が10年に満たないファンドの10年リターン(年率)および10年シャープレシオは「-」で表示
出所:モーニングスター作成

(大森 崇史)

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