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アナリストの視点(ファンド)

「配当除く」指数に勝っているファンド、「配当込み」指数で比較すると…

2019-08-08

 投資信託のベンチマークとは、ファンドのパフォーマンスを評価する際の比較対象となる指標のことである。例えば、1年トータルリターンが10%となったアクティブ運用のAファンドがあった場合、対象とする資産が上昇したものなのか、運用が巧くいったものなのかの判断はできないが、ベンチマークの1年トータルリターンが0%であればAファンドはベンチマークを超過する収益を獲得し、その運用は優れていたと言え、20%であれば劣っていたと言えるだろう。代表的なベンチマークとしては、国内株のファンドでは「TOPIX(東証株価指数)」、先進国株式のファンドでは「MSCI−KOKUSAIインデックス」など様々あり、さらに、ベンチマークの中には「配当込み」、「配当除く」といったものが存在する。今回はその「配当込み」、「配当除く」にどのような違いがあるのかをTOPIXを例にみてみたい。

TOPIXの配当込みと配当除くでは、10年間で40%の差に

 TOPIXとは、東京証券取引所が第一部上場全銘柄を対象として、算出・公表している株価指数のことで、算出する際に、株式の配当金を考慮するものがTOPIX(配当込み)、考慮しないものがTOPIX(配当除く)となる。まず、両指数にどれだけリターンの差があるかを確認するため、2019年7月末時点と2009年7月末時点の両指数を比べると、TOPIX(配当込み)は2.0倍上昇したのに対し、TOPIX(配当除く)は1.6倍の上昇となり、上昇率では40%の差がみられた(図表1参照)。仮に、同期間で1.8倍上昇した日本株アクティブファンドがあった場合、TOPIX(配当除く)を上回っているが、TOPIX(配当込み)を下回ることになる。本来ファンドの運用では保有する資産から配当金を受け取っているため、ベンチマークとしては「配当込み」指数の方が適していると言えるが、投資家は運用会社が設定したベンチマークである「配当除く」指数と比べてファンドの運用成績が相対的に良いと誤解する恐れがある。

図表1:TOPIX(配当込み)とTOPIX(配当除く)の過去10年間の推移

図表1:TOPIX(配当込み)とTOPIX(配当除く)の過去10年間の推移

期間:2009年7月末〜2019年7月末(月次)
出所:モーニングスター作成

TOPIX(配当込み)をベンチマークとすると、相対的に劣後するファンドが6割超え

 モーニングスターの調べでは、2019年7月末時点の国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用ファンド、ファンドラップ専用ファンド、ETF等除く)を対象としたTOPIXをベンチマークとする日本株のアクティブファンドは112本。そのうちTOPIX(配当込み)をベンチマークとするファンドは、「フィデリティ・日本成長株・ファンド」など31本(28%)、TOPIX(配当除く)をベンチマークとするファンドは「MHAM 新興成長株オープン」など81本(72%)となった。

 そこで、TOPIX(配当除く)では勝っているが、TOPIX(配当込み)と比較すると負けているファンドがどれだけあるのかを調べてみた。2019年7月末時点でTOPIX(配当除く)をベンチマークとした81本のうち5年未満の4本を除いた77本の5年トータルリターン(年率)をみてみると、いずれの指数にも勝っているファンドが16本、TOPIX(配当除く)には勝っているがTOPIX(配当込み)には負けているファンドが49本、いずれの指数にも負けているファンドが12本となった(図表2参照)。つまり、相対的に優れた運用を行っていたと思っていた49本(64%)は、実は相対的に劣後した運用を行っているというファンドだった。

図表2:TOPIX(配当除く)をベンチマークとしたファンドの5年トータルリターン(年率)

図表2:TOPIX(配当除く)をベンチマークとしたファンドの5年トータルリターン(年率)

※ 2019年7月末時点
※ 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用ファンド、ファンドラップ専用ファンド、ETF等除く)
出所:モーニングスター作成

 今回はTOPIXを例としてあげたが、他にも多くのベンチマークで「配当込み」指数と「配当除く」指数が混在している。投資家はベンチマークによる相対比較をする際には「配当込み」指数で行うべきだと理解しなければならない。そのうえで、モーニングスターのホームページから概ね「配当込み」指数と連動しているインデックスファンドのトータルリターンと比較するのも良いだろう。

(兵頭 優一)

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