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アナリストの視点(ファンド)

見落としがちな信託期間の傾向とは

2019-09-12

 国内ファンドの設定日(運用が始まった日)から償還日(運用が終了する日)までを信託期間と呼び、償還日はファンドごとにあらかじめ設定されているものと、設定されていない無期限のものがある。償還日が設定されているファンドが期限通りに償還を迎えることは「定時償還」と呼ぶ。ただし、運用会社は必ずしも定められた償還日に償還させるのではなく、償還日を変更することで信託期間を延長することもできる。一方、償還日が定められていても、無期限であっても、純資産総額の減少などが要因となり信託期間を短縮して償還を迎える「繰り上げ償還」がある。なお、繰り上げ償還を行うには運用会社は投資家に賛否を問う必要があるが、ファンドが一定の目的を達した(定められた基準価額を超過等)場合には投資家からの承諾は不要となる。さて、今回はこの信託期間について焦点をあて、国内ファンドの傾向を見ていきたい。

信託期間が定められているファンドが6割超え、アクティブも同様の傾向に

 2019年8月末時点の国内ファンド(※)の信託期間別本数比率では、無期限のファンドが37.1%、有期限のファンドのうち信託期間が2019年8月末から5年未満のファンド(5年未満で償還を迎える可能性があるファンド)が34.1%、5年以上10年未満が26.8%、10年以上が2.0%となった(図表1参照)。6割超のファンドに償還日が定められており、信託期間がより短いファンドの比率が高くなっていた。

※国内公募追加型株式投信(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF等除く)

図表1:信託期間別本数比率

図表1:信託期間別本数比率

※2019年8月末時点
出所:モーニングスター作成

 また、アクティブ・パッシブに分けて信託期間別本数比率を見ていくと、アクティブは国内ファンド全体と同様の傾向にあり、有期限のファンドが67.7%と6割を超え、中でも信託期間が5年未満のファンドが37.1%と最も高くなった。一方、パッシブは無期限のファンドが79.6%と最も高くなった。特に2017年以降に設定されたパッシブの多くが無期限となっている背景には、つみたてNISAの非課税期間が最長20年であることが挙げられるだろう。有期限のファンドでは、5年以上10年未満が11.5%と、5年未満の7.4%を上回っており、国内ファンド全体やアクティブよりも信託期間が長いファンドの比率が高くなるという違いがみられた。

信託期間が5年未満のファンドの半数が毎月決算型かつ通貨選択型ファンド

 では、無期限及び有期限のファンドにはどのような特徴があるのか。信託期間ごとに決算別本数比率を見てみると、無期限や5年以上10年未満、10年以上の信託期間を有するファンドでは年1回決算型の比率がそれぞれ54.6%、36.3%、70.0%と最も高くなる一方で、5年未満は毎月決算型が42.7%と最も高くなった(図表2参照)。信託期間が5年未満かつ毎月分配型の詳細を見ていくと、656本中334本と半数が通貨選択型ファンドであった点も特徴的である。通貨選択型ファンドは、2009年以降に人気を博し、2014年11月末には純資産総額が12.6兆円と最高に達し、2015年6月末には本数が842本とピークを迎えたものの、その後は純資産総額・本数ともに減少が続いている。信託期間を延長するファンドもあるが、年初来(8月まで)ですでに42本もの通貨選択型ファンドが償還していることを踏まえると、投資家にとっては留意が必要である。

図表2:信託期間ごとの決算別本数比率

図表2:信託期間ごとの決算別本数比率

※2019年8月末時点
出所:モーニングスター作成

相対的に信託期間が短いファンドは高コスト、一方の最小値はパッシブの低コスト化から差はなし

 最後に、信託期間と信託報酬等(税込)について見ていこう。信託期間ごとの平均値を見ていくと、5年未満のファンドが1.63%、5年以上10年未満が1.56%、10年以上が1.21%、無期限が1.19%となり、相対的には信託期間が短いファンドのほうが高コスト、信託期間が長いファンドのほうが低コストとなっている。つまり、信託期間が長いファンドから投資先を選ぶことは、長期投資の理にかなっていると言えるだろう。また、この信託期間とコストの傾向は最大値においても同様であるが、最小値については近年パッシブの低コスト化が際立つことから、どの信託期間においても0.11%〜0.27%と大きな差はなかった(図表3参照)。

 ファンドごとに信託期間は延長することができるため、現時点での信託期間が短いことは一概に問題があるとは言えないものの、長期投資に注目が集まる昨今、投資資産やコストだけに目を向けるのではなく、信託期間にも目を向けてもらいたい。

図表3:信託期間ごとの信託報酬等(税込)の最大・平均・最小値

図表3:信託期間ごとの信託報酬等(税込)の最大・平均・最小値

※2019年8月末時点
出所:モーニングスター作成

(平井 綾香)

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