fund_beginer fund_search fund_look



アナリストの視点(ファンド)

堅調な金関連投資ファンド、分散投資の一助になるか

2019-09-27

 米中貿易摩擦による世界経済の減速懸念などを背景に、NY金先物価格は堅調に推移している。リスクオフ相場においては金が買われる傾向があり、この理由には、発行体の信用力によって価値が下落もしくはゼロになる可能性がある株式や債券に比べ、その価値がゼロになることはない安全資産とされている点などが挙げられるだろう。2019年8月末時点では、国内公募追加型株式投信の中で、モーニングスターカテゴリー「コモディティ」に属し、かつ金関連へ投資するものは12本となっている(図表1)。これらをみると過去1年間ではすべてが20%程度のリターンを獲得している点では共通しているもののどのような違いがあるのか。

図表1:金関連投資ファンド一覧

ファンド名 運用会社 トータルリターン
(1年)
信託報酬等
(税抜)
購入時手数料
(税抜)
モーニングスター
レーティング
備考
SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジあり) 三井住友TAM 22.20% 0.25% 3.00%  
SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし) 三井住友TAM 19.96% 0.25% 3.00%  
One ETF 国内金先物 アセマネOne 21.15% 0.45% 0.00% ★★★★★ ETF
金価格連動型上場投資信託 野村 21.23% 0.50% 0.00% ★★★★★ ETF
iシェアーズゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジあり) ブラックロック 21.20% 0.47% 0.00%  
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし) ブラックロック 20.91% 0.47% 0.00% ★★★★★  
ゴールド・ファンド 為替ヘッジあり(SMA専用) 日興 22.08% 0.24% 0.00% ラップ口座専用
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり) 日興 21.75% 0.37% 2.00%  
ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし) 日興 20.88% 0.37% 2.00%  
ピクテ・ゴールド ピクテ 23.18% 0.69% 2.00% ★★★★  
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり) ステート・S 21.82% 0.82% 2.00% ★★★★  
三菱UFJ 純金ファンド 三菱UFJ国際 20.04% 0.90% 1.00% ★★★★  

※国内公募追加型株式投信の中で、モーニングスターカテゴリー「コモディティ」に属し、かつ金関連へ投資するもの(通貨選択型、ブルベア型除く)
※購入時手数料は目論見書記載の最大値
※2019年8月末時点
出所:モーニングスター作成

金価格上昇時は円高傾向で為替ヘッジはある方が有利?

 まず、金関連投資ファンドを選ぶ際に確認したいのが為替ヘッジの有無だ。過去のドル円レートと金先物価格の推移を見ると、ドルが弱いとき(円高・ドル安)には金価格が上昇し、反対にドルが強いとき(円安・ドル高)には金価格が下落する傾向がある(図表2)。したがって、為替ヘッジがなければ円ベースでは金価格の上昇分をドルの下落で相殺する可能性があり、為替ヘッジありの方が有利と考えられている。

図表2:NY金先物価格とドル円レート

図表2:NY金先物価格とドル円レート

※期間:2014年8月末から2019年9月20日(日次)
出所:モーニングスター作成

 しかし、組入ETFのベンチマークが同一の「ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)」と「iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)」の1年トータルリターンの推移(ローリングリターン)を比較すると、2019年8月末までの過去60カ月のうち、ヘッジありが上回ったのは17カ月にとどまった(図表3)。過去60カ月の為替の局面を大きく(1)円高、(2)円安、(3)ボックスの3つに分けてみると、(1)では想定通りヘッジあり、(2)はヘッジなしが優位となったが、(3)ではヘッジありが劣後している。為替ヘッジがあるファンドは、円安局面では為替差益を享受できないため金価格の下落幅を縮小できないことや、円高局面でもヘッジコスト(為替ヘッジを行う通貨の金利と円の金利の差)がかかるデメリットがある。米国が2015年12月に利上げを決定して以降ヘッジコストが急激に上昇してきたことで、為替ヘッジなしの為替差益以上にヘッジコストが大きくなっていることが一因として考えられる。

図表3:ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)とiシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)の1年トータルリターン差とドル円レート

図表3:ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)とiシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)の1年トータルリターン差とドル円レート

※期間:2014年9月から2019年8月(月次)
※1年トータルリターン差=ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)―iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)
出所:モーニングスター作成

パッシブファンドの信託報酬平均0.42%を下回るのは「SMT ゴールドインデックス・オープン」と「ゴールド・ファンド」

 金関連投資ファンドのうち為替ヘッジがないファンドで、国内公募追加型株式投信のパッシブファンドの信託報酬平均0.42%を下回るファンドは、一般的な投資家が投資可能なものとしては、「SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)」の0.25%と、「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」の0.37%の2本となっている。これらは購入手数料が2%〜3%かかるが、あくまで最大値となるため、ネット証券などではかからないケースもある。また、対面でも購入時手数料のかからないものではシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)が0.47%などとなっている。

金関連投資ファンドは脇役として分散投資の運用を

 金は株式や債券などの主要資産と価格の動きが異なる傾向があり、価格変動の関連性が相対的に低く、主要資産に金を併せもつことで分散投資を図ることが期待できることがメリットだ。景気の先行きが不透明の中、今後も金関連投資ファンドが上昇する可能性はあるだろう。ただし、金は株式や債券と違い実物資産であり債券の利息や株式の配当金が発生しないため、キャピタルゲイン狙いの投資となる。もし、金関連投資ファンドへの投資を検討している場合は、あくまで脇役としてポートフォリオに組み入れ、リスク回避を目的とした運用をおススメしたい。

(兵頭 優一)

「アナリストの視点」よく読まれている記事(過去1週間)

アナリストの視点はRSSでも配信しています

バックナンバー