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アナリストの視点(ファンド)

純資産総額はピーク時から半減、バンクローンファンドの現状は?

2019-10-29

 2019年10月24日に日銀は、国内の金融機関によるCLO(Collateralized Loan Obligation、ローン担保証券)への投資に関する分析結果を公表した。日銀の公表内容では、世界的な低金利の環境下で、相対的にリスクが高いものの利回りも高いCLOへの投資が国内の金融機関の間で増加しているとした。投資対象とするCLOは、2008年に起きたリーマンショックのような経済・市場の急変があった場合でも、ローンによる利息収入がCLOの利払いを上回り頑健性が高いとする一方で、価格下落のリスクに注意する必要があると指摘している。

バンクローンファンドの本数は過去最多だが、中心は2013年〜2015年に新規設定

 CLOの代表格である「バンクローン」は、個人投資家もファンドを通じて投資が可能だ。改めてバンクローンについて説明すると、銀行などの金融機関が事業拡大などのために資金を必要とする企業に対して行う融資(ローン)のことを指し、変動金利であるため固定金利の金融商品よりも金利の上昇(下落)局面では価格の下落(上昇)幅が小さくなる傾向にあるが、融資対象企業はBa格やBB格以下の投機的水準と言われる格付けが付与されており、信用リスクが高い点に注意が必要である。

 2019年9月末時点でファンド名に「バンクローン」を含む国内ファンド(※)(以下、バンクローンファンド)の純資産総額は1,514億円となっており、2015年7月にピークを迎えた3,333億円から半減した。一方、同月末時点の本数は51本と過去最多だが、そのうち45本が2013年7月〜2015年2月に新規設定されており、さらに選択した通貨で為替取引を行うことでプレミアム(金利差相当分の収益)を得るというより複雑化かつ高リスクの仕組みとなる通貨選択型のバンクローンファンド24本は全てこの期間に設定された。為替取引の対象となる通貨は、米ドル、日本円が各5本ずつと多いが、ブラジルレアル、トルコリラ、メキシコペソなどの高金利をうたう通貨も含まれる(図表1参照)。

※国内ファンド=国内公募追加型株式投信(ファンドラップ専用含む)

図表1:通貨選択型と通貨選択型以外のバンクローンファンドの本数

図表1:通貨選択型と通貨選択型以外のバンクローンファンドの本数

※2019年9月末時点
出所:モーニングスター作成

直近27か月連続の流出超過、良好なリターンを背景に利益確定の売りが影響

 次にバンクローンファンドの新規設定が相次いだ2013年7月以降の純資金流出入額を見ていこう(図表2参照)。当初、高分配を求める投資家の需要に合致したこともあり、通貨選択型のバンクローンファンドに2013年10月から7カ月連続で累計878億円もの資金が流入したことで人気に火が付いた後、2014年5月以降は通貨選択型以外のバンクローンファンドにも人気が波及した。しかし、2017年7月以降は通貨選択型と通貨選択型以外の区別なく毎月流出超過となり、全体では27カ月連続の流出超過で、累計の純資金流出額は1,176億円にのぼった。各モーニングスターカテゴリー内で同期間(各月末時点)の過去1年間のトータルリターンリターンが平均以上となったバンクローンファンドが7割以上を占めた月は27カ月中14カ月あり、利益確定のための解約があったことも個人投資家のバンクローンファンド離れを後押しした。

図表2:バンクローンファンドの純資金流出入額推移

図表2:バンクローンファンドの純資金流出入額推移

※期間:2013年7月〜2019年9月(月次)
出所:モーニングスター作成

特殊運用を除く全てのファンドが平均以上のリスク

 ここ数年の間に日本やドイツはマイナス金利になり、米国では利上げから利下げに方針転換をした。たびたび世界の金融政策が変更される中で、変動金利の商品は魅力的に見えるだろう。一方、価格変動のリスクが相対的に低いという本来のバンクローンの性質が損なわれる場合がある点には注意が必要だ。2019年9月末時点で5年間の運用実績があるバンクローンファンドのうち、モーニングスターカテゴリー「国際債券・北米(為替ヘッジなし)」に属するファンド25本のリスク(標準偏差)を見ると、平均よりもリスクが高いファンドは23本あった(図表3参照)。そのうちの15本が通貨選択型であり、為替取引の対象となる通貨が米ドル以外のファンドは全て下位20%以下に入っている。なお、同月末時点の過去5年間のリスクが上位13%となった「三菱UFJ 米国バンクローンファンド 米ドル円プレミアム(毎月分配型)」と、上位14%となった同シリーズの「(年2回分配型)」はカバードコール型のファンドである。カバードコール型のような特殊な運用を行うファンドを除くと、軒並みリスクが高くなっている点に留意してもらいたい。

図表3:過去5年間のリスクが平均より高いバンクローンファンド一覧

ファンド名 運用会社名 5年リスク
%ランク
通貨選択型 備考
バンクローン・オープン(為替ヘッジなし) 三井住友TAM 63%  
USバンクローンファンド・為替ヘッジなし(毎月分配型) 野村 64%  
バンクローン・オープン(米ドルコース)(SMA専用) 三井住友TAM 66% 米ドル ファンドラップ専用
USバンクローンファンド・為替ヘッジなし(年2回決算型) 野村 67%  
米国バンクローンファンド〈為替ヘッジなし〉(毎月分配型) 三菱UFJ国際 68%  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈米ドルコース〉(毎月分配型) 三菱UFJ国際 69% 米ドル  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈米ドルコース〉(年2回分配型) 三菱UFJ国際 70% 米ドル  
米国バンクローン・オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型) 三菱UFJ国際 71%  
米国バンクローン・オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型) 三菱UFJ国際 73%  
バンクローン・ファンド(ヘッジなし) アセマネOne 78%  
バンクローン・ファンド(ヘッジなし/年1回決算型) アセマネOne 80%  
バンクローン・オープン(ユーロコース)(SMA専用) 三井住友TAM 83% ユーロ ファンドラップ専用
バンクローン・オープン(豪ドルコース)(SMA専用) 三井住友TAM 87% 豪ドル ファンドラップ専用
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈豪ドルコース〉(毎月分配型) 三菱UFJ国際 88% 豪ドル  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈豪ドルコース〉(年2回分配型) 三菱UFJ国際 89% 豪ドル  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈メキシコペソコース〉(毎月分配型) 三菱UFJ国際 91% メキシコペソ  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈メキシコペソコース〉(年2回分配型) 三菱UFJ国際 92% メキシコペソ  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈ブラジルレアルコース〉(毎月分配型) 三菱UFJ国際 94% ブラジルレアル  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈ブラジルレアルコース〉(年2回分配型) 三菱UFJ国際 95% ブラジルレアル  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈トルコリラコース〉(毎月分配型) 三菱UFJ国際 96% トルコリラ  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈トルコリラコース〉(年2回分配型) 三菱UFJ国際 97% トルコリラ  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈ロシアルーブルコース〉(毎月分配型) 三菱UFJ国際 98% ロシアルーブル  
三菱UFJ 米国バンクローンファンド通貨選択シリーズ〈ロシアルーブルコース〉(年2回分配型) 三菱UFJ国際 99% ロシアルーブル  

※2019年9月末時点
※バンクローンファンドのうち、モーニングスターカテゴリー「国際債券・北米(為替ヘッジなし)」に属するファンドから抜粋
出所:モーニングスター作成

(平井 綾香)

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