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アナリストの視点(ファンド)

コロナショックで「長期・積立」意識高まる、2−4月のつみたてNISAファンドへの流入額は過去最高に迫る

2020-05-07

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、20年2月下旬以降、世界の株式市場が不安定な動きとなる中、つみたてNISA対象ファンドへの安定した資金流入が続いている。20年4月は4カ月連続で純資金流入を記録。3カ月間の合計では、過去最大となった制度開始直後の数値に迫った。

つみたてNISA対象ファンドが国内ファンドの資金フローをけん引

 つみたてNISA対象ファンドは制度が始まった18年1月以降数度にわたり追加されてきたが、便宜的に最新の対象ファンド174本(20年4月1日時点)を対象として、18年1月以降の純資金流出入額を集計した。なお、集計に当たっては、つみたてNISA口座以外の一般口座を通じた資金流出入も含まれている点をお断りしておく。

 モーニングスターの推計によると、20年4月のつみたてNISA対象ファンド全体への純資金流出入は795億円の流入超過と、4カ月連続の流入超過となった(図表1参照)。1,469億円の純資金流入と制度開始以来最大の純資金流入となった前月との比較では45.87%の減少となったが、国内公募追加型株式投信(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用含む、ETF除く)全体の純資金流入額が前月比65.13%減の986億円となったことと比べると、減少幅は小さい。つみたてNISA対象ファンド全体の20年4月の純資金流入額は制度開始来の28カ月で6番目であり、高水準の資金流入が継続したと言える。また、国内公募追加型株式投信全体の純資金流入額に対する割合は80.65%と前月比28.69ポイント上昇しており、つみたてNISA対象ファンドは、国内公募追加型株式投信全体の資金フローのけん引役となっている。

図表1:つみたてNISA対象ファンドの純資金流出入額推移(月次)

図表1:つみたてNISA対象ファンドの純資金流出入額推移(月次)

※期間:2018年1月〜2020年4月(2020年4月はモーニングスタ―推計値)
出所:モーニングスター作成

20年2−4月の純資金流入額は過去最高に迫る2,951億円

 次に、2月下旬からコロナウイルスの感染拡大を受けた世界的な株式市場の乱高下が続いていることを踏まえ、20年2−4月の3カ月間の純資金流出入を見ると、2,951億円の純資金流入となり、過去最高となった制度開始直後の18年1−3月の3,022億円に迫った(図表2参照)。コロナショック下において、長期投資の観点から、相場環境に関わらず一定額を購入することで平均購入単価を抑制し、時間の分散によるリスク軽減効果も見込まれる積立投資に対する関心が高まったことが伺える。

図表2:つみたてNISA対象ファンドの純資金流出入額推移(3カ月間合計)

図表2:つみたてNISA対象ファンドの純資金流出入額推移(3カ月間合計)

※期間:2018年3月−2020年4月(2020年4月はモーニングスタ―推計値)
※各月における3カ月間の合計値の推移。2020年4月は同年2−4月の合計値を表す。
出所:モーニングスター作成

純資産残高は5割近い増加、国内ファンド全体と対照的

 純資産残高の推移を見ると、20年4月末時点のつみたてNISA対象ファンド全体は前月末比9.69%増の2兆9,725億円。20年1月に過去最高となる2兆9,905億円まで拡大した後、株式市場の急落を受けて2、3月と減少したが、資金流入基調の継続と4月の株式市場の反発(日経平均株価は前月比6.75%上昇、NYダウは同11.08%上昇)を背景に増加に転じた。制度開始月の18年1月末比では45.91%増加しており、12.07%減少した国内公募追加型株式投信全体と対照的な結果となった。コロナショックによる一時的な減少はあったものの、つみたてNISA対象ファンドは、資金流入基調を支えに残高拡大基調を維持している(図表3参照)。

図表3:つみたてNISA対象ファンドの純資金残高の推移(月次)

図表3:つみたてNISA対象ファンドの純資金残高の推移(月次)

※期間:2018年1月〜2020年4月
出所:モーニングスター作成

個別上位は低コストパッシブが中心

 20年4月のつみたてNISA対象ファンドの純資金流入額上位10ファンドを見ると、パッシブファンドが9本、アクティブが1本となった。対象ファンド全174本中156本がパッシブファンドであるため、パッシブの優位が目立つ。トップは「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」で111億円の純資金流入。「<購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド」と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」がともに61億円の純資金流入で続いた。パッシブファンドの中でも、低コスト競争が繰り広げられている米国株式及び先進国株式に投資するファンドが上位を占めた。アクティブファンドでは「セゾン 資産形成の達人ファンド」が25億円の純資金流入で唯一ランクインした(図表4参照)。

図表4:つみたてNISA対象ファンドの純資金流入額上位10ファンド

ファンド名 運用会社 純資金流入額(億円)
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 三菱UFJ国際 111
<購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド ニッセイ 61
楽天・全米株式インデックス・ファンド 楽天 61
eMAXIS Slim先進国株式インデックス 三菱UFJ国際 58
SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド SBIアセット 45
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 三菱UFJ国際 36
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 三菱UFJ国際 29
たわらノーロード先進国株式 アセマネOne 26
セゾン 資産形成の達人ファンド セゾン 25
楽天・全世界株式インデックス・ファンド 楽天 21

※2020年4月(モーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成

 なお、集計には、つみたてNISA口座以外の一般口座を通じた資金流出入も含まれている。参考として、SBI証券、マネックス証券の20年3、4月のつみたてNISAの月間積立設定件数を確認すると、図表4中のファンドのうち「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ 外国株式インデックスファンド」、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」の3ファンドがともに上位5位内にランクインした。つみたてNISA対象ファンドの中でも、これらのファンドへの関心が高いことが伺える。

 新型コロナウイルスについては、発生源となった中国を始め、欧米でも感染拡大のピークを越えたといわれ、経済活動の再開に向けて動き出している。とはいえ、各国の経済への悪影響は拭えず、第2波、第3波に対する警戒感も根強い。世界の株式市場は当面、不安定な動きを余儀なくされると予想され、「長期・積立・分散」の考え方から、上記で言及した投資家の関心の高いファンドを中心に、つみたてNISA対象ファンドへの注目度が一段と高まると見られる。

(武石 謙作)

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