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アナリストの視点(ファンド)

「ロボアド」VS「バランス型投信」コロナ危機のパフォーマンス、軍配は?

2020-06-04

 投資初心者でも手軽に運用を始められるサービスの一つとして「ロボアドバイザー」が近年注目を集めている。ウェブサイトやスマートフォンでいくつかの質問に答えるだけで自分に合ったポートフォリオが提示され、プロにお任せで運用することが可能だ。

 ロボアドを選ぶ上で参考になるのが、各社が開示しているパフォーマンスのデータだ。2017年8月にロボアドを展開する主要7社は、最低限の開示基準として、「円建ての月次リターンを月末基準で開示」、「アドバイザリーフィー、信託報酬、取引コストなど、顧客が実質的に負担するコストを控除した運用パフォーマンスを開示」などを定めており、横並びで各ロボアドのリターンをコスト控除後ベースで比較できるようになっている。

ロボアドもコロナ危機の影響免れず

 2月以降に深刻化したコロナ危機はロボアドも影響を免れなかった。そこでコロナ危機の影響を含む過去1年間のリターンを通してロボアド各社の実績を見た。最低限の開示基準に準拠する7社のうち、アドバイスだけでなく実際に運用を行ってくれる「投資一任型」のサービスを提供する「楽ラップ」「THEO」「WealthNavi」「onCOMPASS」の4つを対象として、バランス型投信のパフォーマンスと比較した(図表1参照)。

図表1:主要ロボアドの過去1年リターン比較

  楽ラップ THEO WealthNavi onCOMPASS バランス型
投信
期待リターン
最小コース
-0.87% -3.49% 1.60% 1.30% -1.97%
期待リターン
最大コース
-6.43% -13.37% -7.10% -7.50% -12.81%
全コース平均 -3.67% -7.26% -2.70% -3.36% -6.15%

※「楽ラップ」は下落ショック軽減機能(TVT機能)なしの5コース、「THEO」は全228コース、「WealthNavi」は全5コース、「onCOMPASS」は全8コースが対象。
※バランス型投信の期待リターン最小コースは、モーニングスターインデックス(単純)の「バランス・安定型」、最大コースは「成長型」を使用。全コース平均は同インデックスの「安定型」「安定成長型」「バランス型」「成長型」の平均。
※2020年4月末時点
※各ロボアドの公開データを基にモーニングスター作成

 ロボアド各社は投資家のリスク許容度に応じて期待リターンが高いコースから低いコースまで複数のコースを取り揃えている。まずは同じロボアドでもコースによってパフォーマンスが大きく異なることは理解しておきたい。例えば「THEO」は期待リターンが最小のコースと最大のコースを比べると、過去1年間で10%近くの差が開いた。過去1年間はコロナ危機で株式中心に大幅に下落する中、リスク資産の組入比率を高くする期待リターンが大きいコースのパフォーマンスが低迷している。これは「THEO」に限らず、4つのロボアドに共通だ。

 一方、各ロボアド間の比較では、「WealthNavi」と「onCOMPASS」の成績が比較的良好となっている。バランス型投信で最もリスクが低いカテゴリーである「安定型」に属するファンドのリターン平均は過去1年間で▲1.97%とマイナスに落ち込んだが、そうした中で期待リターンが最も低いコースは「WealthNavi」と「onCOMPASS」がそれぞれ1.60%、1.30%とプラスを維持した。また、全コースの平均を見ても、それぞれ▲2.70%、▲3.36%と、バランス型投信の平均▲6.15%に比べて下落を抑制している。

運用開始来のリターン、「WealthNavi」と「楽ラップ」が優位

 より長い期間でのパフォーマンスはどうか。投信と同じく、リターンはできるだけ長い期間でチェックすることが重要だ。4つのロボアドともサービススタートが2016年と、4年近くの実績がある。十分とは言えないが、株高・株安局面など様々な市場環境を経験した結果であり、相場変動を経て良好な成績を上げているか見る上で参考になるだろう。

 1年以上のデータは、開示方法がまちまちとなるため、運用開始来のパフォーマンスをバランス型投信と比較した(図表2参照)。

図表2:主要ロボアドの運用開始来リターン比較(バランス型投信に対するリターン差)

  楽ラップ
(2016年7月4日〜)
THEO
(2016年3月31日〜)
WealthNavi
(2016年1月19日〜)
onCOMPASS
(2016年6月10日〜)
期待リターン
最小コース
1.14% -3.39% 6.11% -7.12%
期待リターン
最大コース
15.45% 1.57% 15.45% 6.34%
全コース平均 7.39% -2.49% 11.50% -1.99%

※「THEO」は運用開始は2016年2月16日だが、月次リターンが開示されている2016年3月31日からが対象。
※期待リターン最小コース、最大コースからそれぞれモーニングスターインデックス「安定型」「成長型」のリターンをそれぞれ差し引いて算出。全コース平均は、各ロボアドの全コースのリターン平均からモーニングスターインデックス「安定型」「安定成長型」「バランス型」「成長型」の平均を差し引いて算出。
※2020年4月末時点
※各ロボアドの公開データを基にモーニングスター作成

 最も優位性が目立ったのが「WealthNavi」だ。運用をスタートした2016年1月19日以降の累積リターンは期待リターン最小コースが13.1%とバランス型投信(安定型)の平均(6.99%)を6.11%上回った。また、期待リターン最大コースを見ても、23.20%と、バランス型投信(積極型)の平均(7.75%)を15.45%上回っている。「楽ラップ」も相対的に良好で、バランス型投信平均との差は期待リターン最小コースが1.14%、期待リターン最大コースが15.45%それぞれ上回っている。

 資産配分と投資先の詳細が公開されているのもロボアドのメリットの一つだ。「WealthNavi」で期待リターンが最大のコースは債券の比率が5%にとどまっており、株高局面でリスクを取った運用が高いリターンにつながった可能性が高い。また、金利低下で債券の魅力が低下する中、株式など主要資産との分散効果が期待される金を7.5%と債券より高く組み入れる。ETFを活用して運用コストを抑制している点もポイントだ。

 一方、「楽ラップ」の期待リターンが最小のコースを見ると、利回り面で魅力が乏しい国内債券の比率が14.12%にとどまるのに対して、外国債券が5割超と高くそのほとんどで為替ヘッジを行っているため、利回りを高めつつ円高にも強いポートフォリオとなっている。

 コロナ危機は改めて分散投資の重要性を投資家に認識させた。情報開示に積極的で、商品選びがしやすいロボアドは注目に値するが、各社でパフォーマンスには差が出ており、コストやポートフォリオの内容も含めて選択するようにしたい。

(坂本 浩明)

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