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アナリストの視点(ファンド)

コロナショック時のファンドのリターン、先進国株式型で「ニューノーマル関連」が優勢

2020-06-18

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界の株式市場は20年2月中旬から3月下旬にかけて急落し、その後回復基調にある。記録的な乱高下はファンドの対応力をチェックする機会にもなる。今月11日にNYダウが過去4番目の下げ幅となる1,861ドル安を記録するなど、コロナ禍からの経済回復期待と感染再拡大に対する警戒感がせめぎ合い、株式市場の先行き不透明感は強い。主要資産である先進国株式ファンドを対象に、コロナショック時にパフォーマンスが良好であったファンドを探った。

先進国株式ファンド6〜7本に1本がコロナ禍の上昇・下落両局面に対応

 日本を含む先進国の株式に投資するモーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属するアクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)を対象に、コロナショック時のリターンを調べた。20年1月以前に設定された238本を対象とした。

 日本を含む先進国の株価動向を表す「MSCI ワールドインデックス(米ドルベース)」が高値を付けた2月12日から安値を付けた3月23日までの「下落局面」、及び3月23日から直近の戻り高値を付けた6月8日までを「上昇局面」とし、それぞれの期間においてリターンがカテゴリー平均(モーニングスターインデックス『国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)(単純)』)を上回ったファンドを調べた。

 「下落局面」におけるカテゴリー平均リターン▲29.74%を上回ったファンドは126本。対象ファンド全体に占める割合は52.94%となり、約半数のファンドが下げ幅を平均以内に収めた。下落局面で最も優位であったのは「東京海上・グローバルM&A戦略ファンド(為替ヘッジなし)」でリターンは▲7.57%とカテゴリー平均を22.17%上回った。

 一方、「上昇局面」におけるカテゴリー平均リターン36.30%を上回ったファンドは99本あり、対象ファンド全体に占める割合は41.60%。最も優位であったのは「世界インフラ関連好配当株式通貨選択型ファンド(豪ドルコース)」でリターンは69.32%とカテゴリー平均を33.02%上回った。

 上昇・下落の両局面でカテゴリー平均を上回ったファンドは38本。対象ファンド全体に占める割合は15.97%で6〜7本に1本の割合となった(図表1参照)。

図表1:上昇・下落各局面でリターンがカテゴリー平均を上回ったファンド数と割合

図表1:上昇・下落各局面でリターンがカテゴリー平均を上回ったファンド数と割合

※下落局面:20年2月12日〜3月13日、上昇局面:同年3月13日〜6月8日
※モーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属するアクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)のうち、20年1月以前設定の238本が対象
出所:モーニングスター作成

上昇・下落両局面対応ファンド残高上位で目立つ「ニューノーマル関連」

 上昇・下落の両局面でカテゴリー平均を上回った38本のうち5月末時点の純資産残高上位10ファンドを見ると、「ロボット」、「IoT(モノのインターネット)」、「eコマース(電子商取引)」関連ファンドなど、ポストコロナ社会での「ニューノーマル(新常態)」関連とされるファンドが目立った。ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保などが求められる中で、自動化やテレワーク、eコマース(電子商取引)関連企業への注目度が高まり、これら「ニューノーマル」において需要拡大が見込まれる分野への投資比率が高いファンドのパフォーマンスが相対的に良好であった(図表2参照)。

 「ロボット・テクノロジー関連株ファンド−ロボテック−」や「ダイワ・グローバルIoT関連株ファンド−AI新時代−(為替ヘッジなし)」では、生産現場の自動化関連銘柄などの堅調推移がリターンを支えた。「世界eコマース関連株式オープン」では米国の『アマゾン・ドット・コム』や中南米最大のeコマース企業『メルカドリブレ』などが寄与した。その他の「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド」シリーズの「為替ヘッジなし」、「年2回決算型・為替ヘッジなし」、「限定為替ヘッジ」や「ティー・ロウ・プライス 世界厳選成長株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし)」なども米国の情報技術関連銘柄の組入比率が高く、「ニューノーマル(新常態)」関連がリターンを支えたとみられる。

図表2:上昇・下落両局面でリターンが優位となった主なファンド

ファンド名 下落局面
リターン(%)
上昇局面
リターン(%)
下落局面対
カテゴリー
平均差(%)
上昇局面対
カテゴリー
平均差(%)
純資産残高
(億円)
グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) -24.04 38.52 5.70 2.22 4,628
ロボット・テクノロジー関連株ファンド-ロボテック- -28.72 46.78 1.02 10.48 2,345
グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(年2回決算型)(為替ヘッジなし) -23.98 38.47 5.76 2.17 1,658
先進国ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) -24.47 39.45 5.27 3.16 1,251
ティー・ロウ・プライス 世界厳選成長株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし) -28.61 43.17 1.13 6.88 982
グローバル全生物ゲノム株式ファンド(1年決算型) -20.36 44.53 9.38 8.24 940
ダイワ・グローバルIoT関連株ファンド-AI新時代-(為替ヘッジなし) -26.56 42.78 3.18 6.48 771
グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(限定為替ヘッジ) -23.62 38.05 6.12 1.75 758
グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし) -29.50 44.36 0.24 8.06 568
世界eコマース関連株式オープン -24.16 50.32 5.58 14.02 544

※下落局面:20年2月12日〜3月13日、上昇局面:同年3月13日〜6月8日
※モーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属するアクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)のうち、20年1月以前設定の238本が対象
※20年5月末時点の純資産残高上位10ファンド
出所:モーニングスター作成

コロナショック時のパフォーマンスは一過性?中長期的な運用成績の確認も重要

 コロナショック時のパフォーマンスは良好であったが、一過性に留まる可能性もある。中長期なパフォーマンスを確認することが重要である。

 上記10ファンドのうち、20年5月末時点でモーニングスターレーティングが付与されているのは5ファンドあり、うち「ロボット・テクノロジー関連株ファンド−ロボテック−」、「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド」の「限定為替ヘッジ」と「為替ヘッジなし」、及び「ダイワ・グローバルIoT関連株ファンド−AI新時代−(為替ヘッジなし)」の4ファンドは5ツ星、残る「グローバル自動運転関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は3ツ星となっている。モーニングスターレーティングは、運用期間3年以上のファンドを対象に、リスク調整後リターンがその属するカテゴリー内でどの水準にあるかを1ツ星から5ツ星の5段階で示したもので、5ツ星が最上位となる。レーティングが付与されている5ファンドの中期的な運用成績は概ね良好と言えよう。残りの5ファンドについては、20年5月末時点の過去1年間のリターンがいずれもカテゴリー内で上位20%内となっている。

 「ニューノーマル関連」ファンドにはいわゆるテーマ型ファンドが多い。ポストコロナ社会において注目度が継続し、中長期的に良好なパフォーマンスを上げられるか注目される。

(武石 謙作)

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