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アナリストの視点(ファンド)

株式市場が落ち着きを取り戻しつつあった5月の日米投資家の投資行動とは

2020-07-03

 2020年5月に、日本では緊急事態宣言が解除され、米国や欧州などの主要各国でも経済活動再開に向けた動きが見え始め、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の再開の両立に試行錯誤している。各国の株式市場は、2020年3月に月間でNYダウ(米ドルベース)が▲13.74%、日経平均株価が▲10.53%下落したものの、2020年5月には月間でNYダウ(同)が4.26%、日経平均株価は8.34%の上昇に転じており、落ち着きを取り戻しつつある。このような環境下における投信市場では、米国及び日本の投資家はどのような投資行動をとっているのか、各国の純資金流出入動向で見ていきたい。

米国では一時世界株式に資金が流れるも、債券全般に資金が流入

 米国籍ファンドの2020年5月時点の大分類別純資金流出入額は、米国株式が278億ドル、世界株式が132億ドルの流出超過となるなど株式型の流出超過が目立つ一方で、課税債券の474億ドル、地方債券の53億ドルと債券型の流入超過が顕著となっている(図表1参照)。ただし、2020年1月以降の月次純資金流出入の傾向を見ていくと、各国の株式市場が下落した2月、3月のうち、2月は株価下落の逆張りを狙ったとみられる世界株式へ128億ドルの純資金流入となり、8資産のうちで唯一100億ドルを超えたほか、3月はコモディティに次いで世界株式の流出額が抑制されるなど世界株式が注目される時期もあったが、その他の月については各月150億ドル以上もの資金が課税債券に集まり、最も純資金流入額が多くなった。

 課税債券の中では、5月の純資金流出入額で、ハイイールド債券が137億ドルと最も資金を集めており、次に中期コア債券の106億ドルのほか、超短期債や短期債にもそれぞれ79億ドルと39億ドルが流入している。FRB(米連邦準備制度理事会)が政策金利をほぼ0%まで引き下げるなど、各国が打ち出した金融政策において低金利が続くとの見方が強まったからこそ、国債などに比べて高利回りが見込めるハイイールド債へ資金が流入したのだろう。

図表1:米国籍ファンドの大分類別純資金流出入額

図表1:米国籍ファンドの大分類別純資金流出入額

※米国籍ファンド=米国籍オープンエンドファンド(ETF、MMF除く)
※大分類(USカテゴリー)に基づく
※2020年5月時点
出所:モーニングスター作成

米国とは対照的に、国内では市場環境を問わず国際株式型に集中

 国内籍ファンドの2020年5月時点の大分類別純資金流出入額では、国内株式型が472億円、国際債券型が432億円、国内債券が206億円の流出超過となり、国内株式のほか債券型の流出が多い一方で、国際株式型が1,276億円、バランス型が813億円の流入超過となっている(図表2参照)。2020年1月以降の月次純資金流出入の傾向を見ても、1月にバランス型の流入額が国際株式型を上回ったことを除くと、2月以降全ての月でそれぞれ1,000億円以上もの資金が流入した国際株式型が10資産中第1位を継続していた。

 国際株式型の中では、5月の純資金流出入額で、第1位の「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」が652億円、第4位の「同(為替ヘッジあり)」が29億円と米国株式に資金が集中していた。特に、2019年12月に設定された「ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド 愛称:アメリカン・ロイヤルロード」が206億円の純資金流入で全ファンド(5,309本)中トップとなったほか、「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」が154億円、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が97億円でトップ10にランクインしたことなどが、米国株式への資金流入をけん引したと言える。

図表2:国内籍ファンドの大分類別純資金流出入額

図表2:国内籍ファンドの大分類別純資金流出入額

※国内籍ファンド=国内公募追加型株式投信(確定拠出年金及びファンドラップ専用含む、ETF除く)
※2020年5月時点
出所:モーニングスター作成

 米国の投資家は株式市場の下落局面において、世界株式へ資金を一部振り分ける投資を行っていたものの、5月には高利回りを見込むハイイールド債券をはじめとした課税債券への投資を加速させていた。一方、日本の投資家は市場環境に関わらず、国際株式型に資金を集中させており、5月は特に米国の成長株やテクノロジー関連株を主要投資対象とするファンドに人気が集まっている。両国の投資行動には特徴的な点が見えたが、今後はどのように変化していくのか注目していきたい。

(平井 綾香)

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