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アナリストの視点(ファンド)

設定日残高20年ぶり高水準の話題ファンドも、新規設定相次ぐ国内ESG関連ファンドの現在地

2020-08-13

 ESG(環境・社会・企業統治)関連ファンドの設定が相次いでいる。20年7月は国内公募追加型株式投信の新規設定ファンド29本(限定追加型を除く)のうち、4シリーズ7本と約4本に1本をESG関連ファンドが占めた。中でも、アセットマネジメントOneが20日に設定した「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界(ESG))」は設定日の純資産残高が3,833億円を記録。設定日の純資産残高としては2000年2月に設定された「ノムラ 日本株戦略ファンド」の7,898億円以来、約20年ぶりの高水準となり、投資家のESG関連ファンドに対する関心の高さを浮き彫りにした。8月も21日に「いちよしSDGs中小型株ファンド」、24日に「野村ブラックロック循環経済関連株投信」と関連ファンドの設定が続く。日本のESG関連ファンドの現在地を確認したい。

5年前比で本数は3倍、純資産残高は4.7倍

 20年7月末時点の国内公募追加型株式投信のうち、ESG関連ファンドの本数は118本、純資産残高の合計は9,047億円。5年前(15年7月末時点)と比べて、本数は約3倍、純資産残高は4.7倍に拡大した。純資産残高については、すでに触れた「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」により20年7月に急増したこともあるが、基本的に、本数、残高ともに18年からの増加基調が続いている。新規設定本数は17年の3本に対して、18年25本、19年27本、そして20年は7月末までで19本となっている。

図表1:国内ESG関連ファンドの本数と純資産額の推移(15年8月〜20年7月)

図表1:国内ESG関連ファンドの本数と純資産額の推移(15年8月〜20年7月)

※モーニングスターが「Religious Focus」「Environmental Focus」「ESG Focus」「Shariah Focus」として分類する国内公募追加型株式投信が対象
出所:モーニングスター作成

長期パフォーマンスには優位性見られず、コロナ禍の直近1年は好転

 では、パフォーマンスはどうか。20年7月末時点の国内ESG関連ファンド118本のうち約9割の104本を株式に投資するタイプのファンドが占める。そこで、株式型ESG関連ファンドについて、国内の全株式型ファンドの平均(国際株式型ファンドと国内株式型ファンドの平均)と比較した。株式型ESG関連ファンドのうち同月末時点で過去10年間のトータルリターン(年率)がある32本の平均リターンは7.50%と全株式型ファンド平均の8.09%を下回った。3年間、5年間で見ても劣後しており、中長期的なリターンに関して、株式型ESG関連ファンドには優位性が見られない。

 一方で、過去1年間のリターンは、株式型ESG関連ファンド平均が5.72%と全株式型ファンド平均の0.40%を大きく上回っている。また、コロナショックに見舞われた過去6カ月のリターンで見ても、株式型ESG関連ファンド平均は全株式型ファンド平均を上回っている。

 2010年以降の世界の株式市場は概ね上昇基調にあるが、18年以降は貿易問題を始めとした米中の緊張関係により上昇ピッチが鈍化しており、20年に入ってからはコロナショックの直撃を受けた。株式型ESG関連ファンドの直近のパフォーマンスの好転を見ると、株式市場の先行き不透明感が強まる中で、ESGの観点からの銘柄選択が奏功したと見ることもできる。全世界的に新型コロナウイルスの感染が再拡大している。ESG関連ファンドの良好なパフォーマンスが一過性に留まるのか、それとも継続するか注目される。

図表2:株式型ESG関連ファンドのリターン(20年7月末時点)

図表2:株式型ESG関連ファンドのリターン(20年7月末時点)

※株式型ESG関連ファンド平均:国内ESG関連ファンドのうちモーニングスター大分類で国内株式型、国際株式型に属するファンドの平均
※全株式型ファンド平均:モーニングスターインデックス 「国内株式型(単純)」、「国際株式型(単純)」の平均
出所:モーニングスター作成

 国内ESG関連ファンドのうち、20年7月末時点における純資産額上位5ファンドを見ると、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」のほか、「野村 ACI先進医療インパクト投資」シリーズの3本(「Aコース 為替ヘッジあり 資産成長型」、「Bコース 為替ヘッジなし 資産成長型」、「Dコース 為替ヘッジなし 予想分配金提示型」)、「結い2101」、という顔ぶれとなった。今後、新規設定ファンドも含めてESG関連ファンドへの関心が高まるとみられ、注目度が増す可能性がありそうだ。

図表3:国内ESG関連ファンドの純資産残高上位5ファンド

ファンド名 運用会社名 カテゴリー名 純資産残高
(億円)
グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし) アセマネOne 国際株式・グローバル・含む日本(F) 3,926
野村 ACI先進医療インパクト投資 Bコース 為替ヘッジなし 資産成長型 野村 国際株式・北米(F) 730
野村 ACI先進医療インパクト投資 Dコース 為替ヘッジなし 予想分配金提示型 野村 国際株式・北米(F) 479
結い2101 鎌倉 国内小型グロース 412
野村 ACI先進医療インパクト投資 Aコース 為替ヘッジあり 資産成長型 野村 国際株式・北米(F) 401

※(F)は為替ヘッジなし
※2020年7月末時点
出所:モーニングスター作成

(武石 謙作)

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