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アナリストの視点(ファンド)

過去1年間のトータルリターンは中国株ファンドがトップ、組入銘柄の特徴は

2020-09-10

 新型コロナウイルスの震源地であり、米国との対立状態も長引くと見られている中国。中国株に投資しているファンドに対して、下落するという見方をしている人も多いだろう。しかし実際に中国株ファンドのパフォーマンスを見てみると、2020年8月末までのモーニングスターカテゴリー別過去1年間のトータルリターンは、「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」が36.73%となった。全73カテゴリー(ブル・ベア型除く)の中でトップの運用成績であり、第3位以降の国内グロース株式ファンドなどとは大きく差をつけた。より長期的な運用成績を見ても、過去3年間のトータルリターン(年率)は8.15%、過去5年間のトータルリターン(年率)は9.42%と、いずれも73カテゴリーの中で上位3位に入る好成績だ(図表1参照)。

図表1:モーニングスターカテゴリー別トータルリターンの上位10カテゴリー

順位 モーニングスターカテゴリー 1年トータル
リターン
3年トータル
リターン
5年トータル
リターン
1 国際株式・中国(為替ヘッジなし) 36.73% 8.15% 9.42%
2 国際株式・中国(為替ヘッジあり) 24.74% 3.24% 8.07%
3 国内小型グロース 18.94% 5.89% 12.02%
4 国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし) 17.26% 6.59% 6.10%
5 国内中型グロース 17.20% 4.33% 5.66%
6 国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジあり) 16.65% 9.11% 8.88%
7 国内大型グロース 16.23% 6.23% 5.48%
8 国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジあり) 15.73% 0.67% 5.57%
9 国際株式・北米(為替ヘッジあり) 14.49% 7.89% 7.13%
10 国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり) 12.82% 6.55% 6.56%

※2020年8月末時点
※カテゴリー平均はモーニングスターインデックスに基づく
※順位は過去1年間のトータルリターン降順、ブル・ベア型除く
出所:モーニングスター作成

組入銘柄の特徴は?

 モーニングスターカテゴリー「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」に属する42本のアクティブファンドの組入上位10銘柄を調べてみると、日本でも知られる企業が多く組み入れられていた。例えば、42本中32本で中国屈指の保険会社である『中国平安保険』が高い比率で組み入れられている。29本で中国を代表するIT企業の一社である『テンセント』への投資比率が高く、27本で同じく中国IT企業の代表格である『アリババ』に高い比率で投資している。24本で中国の国酒の生産者として知られる白酒(パイチョウ)製造業大手の『貴州茅台酒』を高い比率で組み入れている。17本でIT企業として存在感を高めてきている『美団点評』に多く投資しており、8本で中国第2位のECサイトを運営している『京東商城(ジンドンしょうじょう、JD.com)』が高い比率で組み入れられている。これらの銘柄はいずれも市場価値が高く、中国の個人投資家の間でも人気を博しており、また情報技術、金融、酒類製造業とそれぞれ業種が異なるため、複数組み入れることである程度のリスク分散はできている。

図表2:中国人気銘柄を上位に組み入れているファンドの数

図表2:中国人気銘柄を上位に組み入れているファンドの数

※2020年7末時点
出所:各ファンドの月報に基づきモーニングスター作成

 一方、設定から1年以上経つファンドの中で、上記で挙げた銘柄を上位に組み入れていないファンドは、「ダイワ/バリュー・パートナーズ・チャイナ・イノベーター・ファンド」、「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」の2本のみ。両ファンドは主に深センA株市場にフォーカスし、テクノロジーイノベーションに関わる情報技術、ヘルスケアなど各分野の先を行く企業を主要投資対象としている。この投資コンセプトが功を奏し、「ダイワ/バリュー・パートナーズ・チャイナ・イノベーター・ファンド」の2020年8月末時点の過去1年間のトータルリターンは80.22%、「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」は同76.05%と、いずれもカテゴリー内でも驚異的に高い運用成績だ(図表3参照)。ただ、組入銘柄がイノベーション企業に集中しているため、リスクが高くなるのも必然であり、過去1年間のリスク(標準偏差)を見てみると、「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」はカテゴリー内で標準偏差が高いほうから第1位、「ダイワ/バリュー・パートナーズ・チャイナ・イノベーター・ファンド」は第3位となっている。

 両ファンドの高いリターンの背景には、深セン市にテクノロジーイノベーションに関わる企業が多いことが挙げられる。そのため、深センA株市場は上海A株市場に比べ、テクノロジー企業が多く上場している。また、2019年の中国の研究開発投資は対GDP比2.23%となっており、2020年までに2.50%まで拡充することもすでに発表している。今後もテクノロジー上場企業は、その恩恵を多く受けるとみられる。

図表3:モーニングスターカテゴリー別トータルリターンの上位10カテゴリー

ファンド名 設定日 1年トータル
リターン
1年標準偏差
ダイワ/バリュー・パートナーズ・チャイナ・イノベーター・ファンド 2018/11/16 80.22% 25.33%
深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型) 2017/11/30 76.05% 31.39%
iFreeActive チャイナX 2018/3/30 67.41% 28.43%
チャイナ・イノベーション・オープン 2018/10/9 62.87% 22.35%
ダイワ・チャイナ・ファンド 2001/12/14 61.04% 22.43%
JPM チャイナ・アクティブ・オープン 2004/1/16 58.86% 22.23%
JPM グレーター・チャイナ・オープン 1997/4/25 55.16% 22.11%
三井住友・A株メインランド・チャイナ・オープン 2007/4/27 50.76% 20.37%
中国A株オープン 2012/11/30 48.75% 21.72%
三井住友・中国A株・香港株オープン 2007/4/10 46.41% 21.65%

※2020年8月末時点
※順位は過去1年間のトータルリターン降順、ETF除く
※国内公募追加型株式投信(確定拠出年金及びファンドラップ専用含む、ETF除く)のうち、モーニングスターカテゴリー「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」に属するファンド
出所:モーニングスター作成

中国株に投資するメリットとは?投資の注意点

 リーマンショック以降、今後の経済成長を見込んで新興国に投資するBRICsブームが巻き起こったものの、その後個人投資家の新興国離れが加速した中で、今の中国は魅力的な投資先と言えるか。パフォーマンスから読み取れるのは、過去5年間において、中国株への投資で得られるリターンは極めて高いということ、またコロナ禍や米中の対立状況が続く中でも、依然高いリターンを保つことができる強さを持っていることだ。長期投資の観点から、今後持続的な経済成長を中国が果たせた場合、中国株への投資はかなり魅力的と言えるだろう。

 留意すべきはリスクだ。「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」の過去5年間のリスク(標準偏差)(年率)は19.85%と、単一国に投資している新興国株式型の7カテゴリーの中で第5位と比較的に低いが、同期間中では「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」の18.70%、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」の17.90%をいずれも上回っており、先進国株式型ファンドよりはリスクが高い。そのため、低リスク資産と中国株ファンドにうまく分散投資をし、今後の中国の成長力に期待してもらいたい。

(姜 悦辰)

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