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アナリストの視点(ファンド)

アクティブファンドの信託報酬等に注目!低コストの優位性とは

2020-10-09

 近年、インデックスファンドは人気を博しており、コスト競争による信託報酬等の低下も人気の理由の一つとして挙げられる。その余波を受け、アクティブファンドの信託報酬等(税込)も2015年8月時点の平均1.55%から2020年8月末時点の平均1.47%まで低下している。そこであえてアクティブファンドの信託報酬等に注目してみる。

 モーニングスター大分類「国内株式型」に属する国内投信(※)のうち、2020年8月末までの過去60カ月間モーニングスターレーティングが算出されているアクティブファンド263本に対して集計を行った結果、信託報酬等(税込)が最も低いのは0.76%、最も高いのは2.18%となっている。また、集計対象である263ファンドの平均信託報酬等(税込)は1.56%となった。

※国内投信=国内公募追加型株式投信(DC、SMA、ETF、通貨選択型等除く)(以下、本文、図表同様)

 信託報酬等(税込)をA:1.00%以下、B:1.00%以上1.25%未満、C:1.25%以上1.50%未満、D:1.50%以上1.75%未満、E:1.75%以上2.00%未満、F:2.00%以上の6つの階層に分類し、各階層に属するファンドの本数を見てみた(図表1参照)。本数が最も多いのは、D階層に属するファンドで計116本と、集計対象となるファンドの4割以上を占めている。続いて多い順から、E階層が58本、B階層が42本、C階層が21本、A階層が16本、F階層が10本と、信託報酬等が比較的に高いファンドが多く設定されている。

図表1:国内株式型アクティブファンドの信託報酬等(税込)別本数

図表1:国内株式型アクティブファンドの信託報酬等(税込)別本数

※ 2020年8月末時点
※ モーニングスター大分類「国内株式型」に属する国内投信のうち、過去60カ月間モーニングスターレーティングが算出されているアクティブファンド(263本)を対象に集計
出所:モーニングスター作成

信託報酬等は投資家の収益にどのような影響があるのか

 信託報酬等は購入した投資信託を保有し続けている間、継続的に発生するコストであるため、長期保有の場合、どのような影響があるのかが気になるところだ。

 そこで、信託報酬等と投資家の収益の関係性について、TOPIX(配当込み)を使用し、2000年8月末から2020年8月末までの20年間、毎月月末に3万円を積立投資したと仮定し、投資成果を試算してみた(図表2参照)。なお、信託報酬等(税込)は(1)0.76%の場合、(2)1.56%の場合、(3)2.18%の場合の3パターンで試算を行っている。

図表2:信託報酬等(税込)の投資家収益に対する影響

図表2:信託報酬等(税込)の投資家収益に対する影響

※ 期間:2000年8月〜2020年8月(月次)
※ 信託報酬等(税込)以外の手数料は考慮しない
出所:モーニングスター作成

 この試算によると、2020年8月末時点での投資成果は、(1)は1,141万円、(2)は1,049万円、(3)は984万円となり、積立投資額723万円に対しては全て上回った。一方、(1)と(3)では158万円の差が生じた。そのため、長期保有の場合、信託報酬等は低いほうが望ましいのは一目瞭然だろう。

信託報酬等と運用成績に関係性は?

 では、信託報酬等でファンドを選べばいいのだろうか。そこで、モーニングスター大分類「国内株式型」に属する国内投信のうち、2020年8月末までの過去60カ月間にモーニングスターレーティングが算出されているアクティブファンド(263本)の信託報酬等別の運用成績を見てみる。なお、運用成績への評価は、2020年8月末までの過去60カ月間の平均モーニングスターレーティングを使用し、1.0以上2.0未満、2.0以上3.0未満、3.0以上4.0未満、4.0以上の4段階で集計している。

図表3:信託報酬等(税込)別の運用成績

図表3:信託報酬等(税込)別の運用成績

※ 2020年8月末時点
※ モーニングスター大分類「国内株式型」に属する国内投信のうち、過去60カ月間モーニングスターレーティングが算出されているアクティブファンド(263本)が対象
出所:モーニングスター作成

 まず、2020年8月末までの過去60カ月間の平均モーニングスターレーティングが4.0以上のファンドの割合は、信託報酬等(税込)別で、A:1.00%未満に属するファンドでは50.0%と最も高く、B:1.00%以上1.25%未満に属するファンドでは33.3%、C:1.25%以上1.50%未満に属するファンドでは14.3%、D:1.50%以上1.75%未満に属するファンドでは12.9%、E:1.75%以上2.00%未満に属するファンドでは15.5%、F:2.00%以上に属するファンドでは20.0%となっている。同期間の平均レーティングが1.0以上2.0未満のファンドの割合を見ると、信託報酬等別でAに属するファンドでは6.3%と最も低く、Bに属するファンドでは7.1%、Cに属するファンドでは9.5%、Dに属するファンドでは12.1%、Eに属するファンドでは17.2%、Fに属するファンドでは10.0%という結果だ。信託報酬が低いほど運用成績が優位になる傾向となっている(図表3参照)。

 総じて、信託報酬等が低いアクティブファンドは、投資成果と運用成績の両方において、かなりの優位性を示していると言える。そのため、現状でのアクティブファンド選びにおいて、信託報酬等の重要度は言わずもがなだろう。

(姜 悦辰)

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