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アナリストの視点(ファンド)

年1回決算型比率は18年ぶりの4割台、「シナリオ」重視の短期勝負には危うさも

2020-10-22

7月には17年ぶりに毎月決算型と1年決算型の比率が逆転し、差はさらに拡大中

 年1回決算型と毎月決算型の比率が約17年ぶりに逆転し、その後も差が拡大している。具体的には、モーニングスターが集計対象としている一般投資家が購入可能なファンド(※1)の純資産総額は、2003年9月末時点では13.7兆円、決算回数別シェアでは毎月決算型、年1回決算型、その他が概ね3分の1ずつとなっていたものの、純資産総額が40兆円から50兆円へと拡大する中で毎月決算型への極端な資金の集中が続き、ピーク時の2012年10月末時点における毎月決算型の比率は76.4%まで上昇した(図表1参照)。その後は、純資産総額は概ね40〜50兆円の範囲内で推移しているものの、毎月決算型の比率が大きく低下する一方で、一時は13%前後まで低下していた年1回決算型の比率は逆にほぼ一貫して上昇したこともあり、2020年7月末時点では年1回決算型の比率が毎月決算型を約17年ぶりに上回った。直近の9月の月間純資金流出入額(※2)では、毎月決算型が79億円の流入超過にとどまったのに対し、年1回決算型は3,388億円の大幅な流入超過となったこともあり、同月末時点の年1回決算型のシェアは40.6%と、2002年12月末時点以来、約18年ぶりに40%の大台を回復している。

(※1)国内公募追加型株式投信(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF等除く)
(※2)純資金流出入額=設定額―解約額、文章内では設定額が解約額を上回った場合を流入超過、逆に設定額が下回った場合を流出超過と表現、※1・2は以下文章、図表内同一基準

図表1:決算回数別純資産額シェアの推移

図表1:決算回数別純資産額シェアの推移

※ 期間:2000年1月末〜2020年9月末(月次)
出所:モーニングスター作成

年1回決算は運用期間3年未満、償還まで5年超10年内に資金が集中

 2020年9月末までの過去3年間の純資金流出入額でみても、毎月決算型が3.6兆円の流出超過となる一方で、年1回決算型は5.2兆円の流入超過となっており、年1回決算型への資金シフトは鮮明だ。ただし、その内訳をみると、(1)運用実績の乏しいファンドで、(2)短期勝負の傾向が強まっているという2つの特徴がある。実際に、年1回決算型について過去3年間の純資金流出入額を(1)運用実績(期間)でみると、1年以上3年未満が3.2兆円、1年未満が1.7兆円のいずれも大幅な流入超過となっており、10年以上の運用実績を有するファンドが小幅ながらも流出超過となったのとは対照的だ。本数ベースでは、1年未満の127本、1年以上3年未満の328本に対し、10年以上は705本と、より多くの選択肢があるにも関わらずだ。さらに、過去3年間の純資金流出入額をアクティブ・パッシブ別でみると、パッシブは10年以上が小幅に流出超過となっている以外は大きな偏りはないものの、アクティブは3年未満が4.4兆円の流入超過、3年以上は流出超過と、極端な偏りがみられる(図表2参照)。ここ数年の短期の傾向や話題となったテーマが、これからも長期にわたって続くという「シナリオ」を重視しすぎている可能性がある。

図表2:年1回決算型の運用期間別純資金流出入額

図表2:年1回決算型の運用期間別純資金流出入額

※ 2020年9月末までの過去3年間の累計額
出所:モーニングスター作成

 もう一つの(2)短期勝負の傾向は、償還までの期限の短いファンドへの資金動向にあらわれていると考える。過去3年間の純資金流出入額について改めて償還期限別でみると、パッシブは1.4兆円の流入超過となった無期限にほぼ集中しているのに対し、アクティブは5年超10年以内が2.8兆円と、無期限の1.3兆円を大きく上回る(図表3参照)。なお、5年以内に償還期限を向かえるアクティブは5千億円弱の流出超過となっているが、個別ファンドでの流入超過は上位10本中4本がブル・ベア、2本が「自動運転関連」となっている一方で、流出超過は「ロボティクス関連」を含めて上位10本中5本が2015年以降に設定されたファンドで占められており、資金の出入りは逃げ足の速そうなファンドが中心となっている。現在は人気を集めている5年超10年以内に償還を迎えるファンドも、今後償還期限が近付くにつれ同様の傾向を示す可能性がある。

図表3:年1回決算型の償還期限別純資金流出入額

図表3:年1回決算型の償還期限別純資金流出入額

※ 2020年9月末までの過去3年間の累計額
出所:モーニングスター作成

3年前の人気上位ファンドは流出超過とリターンの低迷が目立つ

 運用実績や償還期限などに関係なく、今思い描ける「シナリオ」どおりの高いリターンを享受できれば問題ないのであろうが、実際は異なる可能性がある。例えば、3年前の2017年9月末までの過去3年間の純資金流入額で流入超過額上位10本のうち、その後の3年間でも流入超過が継続したのは3本となり、人気が離散したファンドが目立つ(図表4参照)。また、3年後の2020年9月末時点における過去3年間のトータルリターンがプラスとなったのは10本中わずか2本にとどまり、カテゴリー内の相対比較でも4本が下位25%内にとどまった。

図表4:2017年9月までの過去3年間の流入超過額トップ10

順位 ファンド名 運用会社 決算 過去3年間の純資金
流出入額(億円)
トータルリターン
3年(年率)
カテゴリー内
%ランク
2017年
9月末時点
2020年
9月末時点
2020年9月末時点
1 フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし) フィデリティ 毎月 8,933 -4,136 -0.88% 43%
2 LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型) L・メイソン 毎月 5,974 -1,899 -7.43% 79%
3 ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし) 大和 毎月 4,108 1,233 0.32% 25%
4 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型) 三井住友DS 毎月 3,797 263 -16.09% 100%
5 野村テンプルトン・トータル・リターンDコース 野村 毎月 3,696 -1,449 -5.28% 93%
6 野村 インド株投資 野村 年1回 3,512 -1,476 -3.97% 47%
7 東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) 東京海上 毎月 3,509 3,652 -0.32% 75%
8 ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型) 日興 毎月 3,452 -3,121 -3.01% 52%
9 新光 US-REITオープン アセマネOne 毎月 3,397 -3,740 -0.91% 44%
10 グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型) 日興 年1回 2,839 -1,995 9.21% 16%

出所:モーニングスター作成

 ちなみに、2020年9月末までの過去3年間のトータルリターンの上位をみると、第1位と第2位はいずれも国内小型グロースに属するファンドで、トップ10のうち、同カテゴリーに属するファンドが4本を占めており、多くの投資家にとって当時思い描いた「シナリオ」とは異なる結果となったのではなかろうか。

(吉田 誠)

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