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アナリストの視点(ファンド)

バランス型ファンドからの資金流出が継続、リスク選好一服後は受け皿となるか

2021-03-11

 バランス型ファンドからの資金流出が続いている。モーニングスター推計によると、2021年2月は、国内公募追加型株式投信全体(ETF除く)が4,356億円の純資金流入と3カ月連続の流入超過となる中で、モーニングスター大分類に基づくバランス型ファンドは596億円の純資金流出と5カ月連続の流出超過となった。

コロナショックを機に資金流入のけん引役が交代

 バランス型はNISA(少額投資非課税制度)やつみたてNISAなど個人の資産形成を支える制度が整備される流れを受けて、一本で手軽に分散投資ができる点が投資家の人気を集め、国内ファンドへの資金流入のけん引役となってきた。2017年1月から2020年9月まで45カ月連続で純資金流入となり、直近2年間をみると、2019年3月から2020年1月まで11カ月連続で純資金流入額が大分類別でトップとなった。

 変化が生じたのはコロナショック時だ。2020年2月に国際株式型が大分類別の純資金流入額トップに躍り出て以降、同年6月にバランス型が1カ月だけトップに返り咲いたものの、他は全て国際株式型がトップ。国際株式型は2021年1月に6,862億円の純資金流入、同2月は7,908億円の純資金流入と、直近10年間において全大分類でみた月次純資金流入額の最高額を2カ月連続で更新した(図表1)。

図表1:バランス型と国際株式型の純資金流出入額の推移(直近2年間)

図表1:バランス型と国際株式型の純資金流出入額の推移(直近2年間)

※期間:2019年3月〜2021年2月(2021年2月はモーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成

 コロナショック後に、米国企業を中心としてポストコロナ関連としてテクノロジー関連企業に対する関心が高まる中、新設ファンドを含めてテクノロジー関連株に投資する国際株式型ファンドの人気が高まったことが主役交代の背景にある。加えて、2020年秋以降はコロナワクチンの開発を背景に景気回復期待が高まり、投資家のリスク選好が強まったことから、景気敏感株に投資する株式ファンドへの資金流入が加速する一方、バランス型の中でも相対的にリスクの高いカテゴリーからは資金流出傾向が強まった。

バランス型の中でも強弱、「安定」は純資金流入を維持

 モーニングスターではバランス型ファンドについて、リスク資産(株式・REIT)の組入比率に応じて、組入比率の低い順(低リスク順)に「安定」、「安定成長」、「バランス」、「成長」の4つカテゴリーに分類している。2021年2月までの直近1年間のバランス型ファンドの純資金流出入をカテゴリー別にみると、「成長」が2020年5月以降9カ月連続、「バランス」が同年11月以降4カ月連続の純資金流出となり、「安定成長」も2021年1〜2月と純資金流出となった。一方、4カテゴリーの中で最も低リスクの「安定」は、12カ月のうち2020年4月を除く11カ月で純資金流入となっている。投資家のリスク選好が強まる中でも、安定を志向する投資家のニーズが向かったとみられる(図表2)。

図表2:バランス型カテゴリー別純資金流出入額の推移(直近1年間)

図表2:バランス型カテゴリー別純資金流出入額の推移(直近1年間)

※期間:2020年3月〜2021年2月(2021年2月はモーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成

一部ファンドに人気偏り、リスク選好一服で幅広いファンドが受け皿となるか

 純資金流入が続く「安定」であるが、細かくみるとアセットマネジメントOneの「投資のソムリエ」の人気によるところが大きい。同ファンドは2021年2月に313億円の純資金流入と22カ月連続の流入超過となり、同月の流入超過額は国内ファンド全体で第8位となった。また、全体では純資金流出となった「安定成長」では、ピクテ投信投資顧問の「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」(愛称:クアトロ)が158億円の純資金流入で国内ファンド全体の上位25位内に入った。バランス型の中で同月の純資金流入額が50億円超となったのはこの2ファンドしかなく、一部のファンドに人気が偏り、全体としては低調な状態にあると言える。とはいえ、日米株式が米国の長期金利の動向にらみに不安定さを増す中、投資家のリスク選好の流れが一服する可能性もある。その際に、かつて国内ファンドの資金流入をけん引したバランス型ファンドが再び広く受け皿になるか注目される。

図表3:バランス型ファンドの21年2月の純資金流入額上位5ファンド

ファンド カテゴリー 純資金流入額(億円)
投資のソムリエ 安定 313
ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド 安定成長 158
グローバルESGバランスファンド(為替ヘッジなし)年2回決算型 安定成長 36
PIMCO ダイナミック・マルチアセット戦略ファンド(資産成長型) 安定成長 22
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) バランス 20

※モーニングスター推計値
出所:モーニングスター作成

(武石 謙作)

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