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アナリストの視点(ファンド)

国内株式アクティブをレーティングなど過去データで検証、重視したいコスト

2021-09-09

 日経平均株価が9月8日、約5カ月ぶりに終値ベースで3万円を回復した。自民党総裁選後に発足する次期政権による経済政策への期待を背景に、出遅れていた日本株を見直す動きが広がっている。今後、国内株式ファンドに対する関心が高まることも考えられる。国内株式アクティブファンドを過去データに基づいて分析した。

5ツ星ファンドはその後のパフォーマンスも良好

 モーニングスターカテゴリー「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)を対象として、過去のモーニングスターレーティングとその後のパフォーマンスを検証した。具体的には、3年前(2018年8月末)のレーティングとその後の3年間のパフォーマンス(=2021年8月末時点の過去3年間のパフォーマンス)を確認した。なお、モーニングスターレーティングは、運用期間3年以上のファンドを対象に、リスク調整後のリターンがその属するカテゴリー内でどの水準にあるかを5段階で表示したものだ。5ツ星(★★★★★)が最上位で、最も運用効率が優れていることになる。

 3年前のレーティングとその後3年間のリターン(年率)を見ると、5ツ星が8.06%となり、最も高くなった。リスクに見合ったリターンを獲得できているかを確認するシャープレシオでは、5ツ星が0.50と最も高くなり、レーティングが上がるほどシャープレシオも上昇する結果となった(図表1)。5ツ星ファンドは、中長期的に運用効率に優れているとして最上位の評価を獲得している。ファンドの持つ優れた運用効率を背景に、その後も優位性を維持していると考えられる。

図表1:レーティングとその後のパフォーマンス

図表1:レーティングとその後のパフォーマンス

※モーニングスターカテゴリー「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンド対象
※確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く
※3年前(2018年8月末)のレーティングとその後3年間のパフォーマンスを比較
※パフォーマンスは2021年8月末時点
出所:モーニングスター作成

高レーティングファンドほどコストは低水準

 次に、レーティグとコストの関係を検証した。カテゴリー「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)を対象として、2021年8月末時点のレーティングと該当ファンドのコスト(信託報酬等・税込)平均を算出したところ、1ツ星の1.63%から5ツ星の1.34%にかけて、レーティングが上がるほどコストが低下する結果となった(図表2)。5ツ星ファンドは低コストも含めて運用効率が優れていると言える。コストによるリターンの押し下げ圧力の小ささが、相対的に良好なパフォーマンスを継続して獲得する一要因になっていると考えられる。

 アクティブファンドは、銘柄の調査・分析や経済情勢分析などパッシブファンドよりも運用に際しての手間がかかるため、その対価である信託報酬がパッシブファンドよりも高水準となり、コストに見合ったリターンを獲得できているのかが問われる。ただ、将来のリターンを予測することができない半面、コストは確実にリターンの下押し要因となり、投資期間が長くなるほどその影響は大きくなる。投資家の長期投資に対する意識が高まる中で、アクティブファンドにおいてもコスト重視の流れが強まろう。

図表2:レーティングとコスト平均

図表2:レーティングとコスト平均

※モーニングスターカテゴリー「国内大型ブレンド」に属するアクティブファンド対象
※確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く
※レーティング別にファンドの信託報酬等(税込)の平均値を算出
※2021年8月末時点
出所:モーニングスター作成

 最後に、国内株式アクティブファンドを対象に、モーニングスターレーティング5ツ星、モーニングスターフィーレベル「安い」、純資産残高50億円以上のファンドを抽出した(図表3)。フィーレベルとは、ファンドのコスト水準を見える化した指標のこと。ファンドを投資先資産とアクティブ・パッシブ別から設定したカテゴリーに分類し、コストがその所属するカテゴリー内でどの水準にあるかを、「安い」、「平均より安い」、「平均的」、「平均より高い」、「高い」の5段階で示したものである。「高レーティング・低コスト」ファンドは、低コストによるリターンへのプラス効果を含め、今後も優れた運用効率が見込まれる候補と言えよう。

図表3:「高レーティング・低コスト」な国内株式アクティブファンド

ファンド名 運用会社 トータルリターン
(3年・年率)
シャープレシオ
(3年)
純資産残高
(億円)
年金積立Jグロース 日興 10.31% 0.53 450
コモンズ 30ファンド コモンズ 9.64% 0.53 296
利益還元成長株オープン 日興 10.28% 0.53 281
キャピタル 日本株式ファンドF キャピタル 10.25% 0.55 245
大和住銀 DC国内株式ファンド 三井住友DS 8.59% 0.51 228
スーパートレンドオープン 野村 9.72% 0.52 91

※フィーレベルカテゴリー「国内大型株・アクティブ」に属するファンドが対象
※モーニングスターレーティング5ツ星、フィーレベル「安い」、純資産残高50億円以上のファンド
※2021年8月末時点
出所:モーニングスター作成

(武石 謙作)

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