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アナリストの視点(ファンド)

改めて確認したいコスト、先進国株式ファンドではいかに?

2021-11-11

 モーニングスター推計値に基づいて、21年10月のモーニングスターフィーレベル別の資金フローを見ると、「安い」が2,500億円の純資金流入となり、全体の純資金流入額5,030億円の約半分(49.7%)を占めた。フィーレベルとは、ファンドの信託報酬率を見える化した指標のことで、具体的には、資産別とアクティブ・パッシブ別から独自のカテゴリーを設け、ファンドの信託報酬がその属するカテゴリー内でどの水準にあるかを、最も低コスト水準の「安い」から順に、「平均より安い」、「平均的」、「平均より高い」、「高い」で示したものである。21年10月では、「安い」に「平均より安い」を加えた純資金流入額は4,475億円となり、全体の純資金流入額に占める割合は89.0%に達した。8月は83.7%、9月は95.0%と高水準が続いており、投資家のファンド選択における低コスト志向を見て取ることができる。ただ、アクティブ、パッシブ別に見ると、様相は異なる。

アクティブでは相対的に高コストのファンドにも一定割合の資金が流入

 パッシブファンドについて、21年10月のフィーレベル別の資金フローを見ると、「安い」が1,796億円の純資金流入となり、パッシブ全体の純資金流入額2,670億円の67.3%を占めた。「安い」の純資金流入額がパッシブ全体の純資金流入額に占める割合は、8月が82.5%、9月は173.0%。9月は「安い」の純資金流入額が1,767億円と全体の1,021億円を上回り、「高い」などの純資金流出を補った。パッシブについては、低コスト志向が鮮明である。指数への連動を目指すパッシブでは、ベンチマークが同じ場合には、値動きは原則同じとなる。コスト水準が運用成績を左右するため、低コストファンドを選択するのは当然と言える。

 一方、アクティブファンドについて21年10月のフィーレベル別の資金フローを見ると、「安い」は705億円の純資金流入となり、アクティブ全体の純資金流入額2,361億円に占める割合は29.8%となった。8月は20.1%、9月は31.7%であり、パッシブと比べると水準は低い。とはいえ、「安い」と「平均より安い」を合計した純資金流入額のアクティブ全体の純資金流入額に対する割合を見ると、8月は79.9%、9月は77.6%となり、10月は101.9%と、「安い」と「平均より安い」が「平均的」からの資金流出を補った。アクティブにおいても、パッシブほどではないものの、低コスト志向を確認できる。

 ただし、21年10月には「高い」も251億円、「平均より高い」も477億円の純資金流入となり、両者を合わせた純資金流入額のアクティブ全体に対する割合は30.8%となった。図表1を見ると、アクティブでは、昨年の後半から相対的にコストの高いファンドへも資金が流入していることが分かる。「平均より高い」は21年10月まで11カ月連続で純資金流入となっている。アクティブにおいては、コストが高くとも市場平均を大幅に上回るリターンの獲得が期待されるファンドに一定の割合で資金が流入していると言える。

図表1:アクティブファンドのフィーレベル別純資金流出入額

図表1:アクティブファンドのフィーレベル別純資金流出入額

※期間:2017年7月〜2021年10月(2021年10月はモーニングスター推計値)
出所:モーニングスター作成

アクティブにおけるコストとリターンの関係

 アクティブファンドは、銘柄の分析・調査などポートフォリオ構築に手間がかかるため、パッシブファンドに比べてコストが高くなる。リターンが伴っていれば問題はないのだが、実際はどうなのだろうか。旺盛な資金流入が続く先進国株式を例にとって確認した。

 フィーレベルカテゴリー「先進国株式・アクティブ」、「先進国株式・パッシブ」に属するファンドを対象に、それぞれフィーレベル別に、21年10月までの過去5年間のトータルリターン(年率)を見たところ、アクティブでは「平均より安い」が15.02%と「安い」の12.80%を上回ったが、概ねコストが下がるほどリターンが上昇する結果となった。パッシブでは、「安い」が17.33%と最も良好であった。アクティブ、パッシブともに、低コストの方がリターンに優れるという結果となった(図表2参照)。コストはリターンの押し下げ要因であり、期間が長くなるほど、コスト差がリターンに及ぼす影響は大きくなる。アクティブファンドの選択においては、コストが運用体制・運用プロセスなどポートフォリオ構築過程に見合ったものであるか確認することは重要ではあるが、過去の実績を踏まえると、パッシブと同様に低コストを強く意識することが求められる。

図表2:フィーレベル別5年トータルリターン
(先進国株式アクティブ・パッシブ)

図表2:フィーレベル別5年トータルリターン(先進国株式アクティブ・パッシブ)

※2021年10月末時点の過去5年間のトータルリターン(年率)
※アクティブ平均:フィーレベルカテゴリー「先進国株式・アクティブ」に属するファンドの平均
※パッシブ平均:フィーレベルカテゴリー「先進国株式・パッシブ」に属するファンドの平均
出所:モーニングスター作成

 なお、全コスト水準においてリターンはパッシブがアクティブを上回った。先進国株式においては、パッシブをコアファンドとし、低コストで運用実績に優れるアクティブで収益の押し上げを図る戦略が妥当だろう。

 最後に、先進国株式アクティブファンドの中から、低コストかつパフォーマンスの良好なファンドを探った。モーニングスターカテゴリーの中から、日本を含む先進国の株式に投資する「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」、日本を除く先進国の株式に投資する「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」、北米株式に投資する「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」の3カテゴリーに属するアクティブファンドを対象とし、21年10月末時点のフィーレベルが「安い」、モーニングスターレーティングが「★★★★★」である純資産残高10億円以上のファンドを抽出した。レーティングは、ファンドのリスク調整後のリターンが、その属するモーニングスターカテゴリー内でどの水準にあるかを5段階で示したもので、最上位の「★★★★★」は相対的な運用効率に優れていることを示す。結果は、4シリーズ7ファンドが該当した(図表3参照)。

 なお、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」と「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」は該当なしとなったが、フィーレベルを「平均より安い」とすると、「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」では「大和住銀 DC海外株式アクティブファンド」と「三菱UFJ 海外株式オープン」が、「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」では「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」、「米国NASDAQオープンBコース」など4シリーズ8ファンドが該当した。

図表3:「低コスト」「好パフォーマンス」な先進国株式アクティブファンド

ファンド名 運用会社 カテゴリー 3年リターン
(年率・%)
純資産残高
(億円)
ニッセイ SDGsグローバルセレクトファンド(資産成長型・為替ヘッジなし) ニッセイ 国際株式・グローバル・含む日本(F) 25.62 905
ニッセイ SDGsグローバルセレクトファンド(年2回決算型・為替ヘッジなし) ニッセイ 国際株式・グローバル・含む日本(F) 25.63 405
キャピタル 世界株式ファンド(DC年金つみたて専用) キャピタル 国際株式・グローバル・含む日本(F) 24.86 258
キャピタル 世界株式ファンドF キャピタル 国際株式・グローバル・含む日本(F) 25.76 114
iTrustロボ ピクテ 国際株式・グローバル・含む日本(F) 30.54 77
iFreeActive EV 大和 国際株式・グローバル・含む日本(F) 41.78 61
iFreeActive ゲーム&eスポーツ 大和 国際株式・グローバル・含む日本(F) 32.71 24

※2021年10月末時点
※モーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(F)」、「国際株式・グローバル・除く日本(F)」、「国際株式・北米(F)」に属するアクティブファンド対象。(F)=為替ヘッジなし
※フィーレベル「安い」、レーティング「★★★★★」、純資産残高10億円以上を対象
※図表は純資産残高降順
出所:モーニングスター作成

(武石 謙作)

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