アナリストの視点

バランス型ファンドの資金流入が伸び悩み、株式下落への警戒から再浮上も

2020-11-12

 国際株式型ファンドへの資金流入が続いている。モーニングスターの独自推計に基づいて、20年10月の国内公募追加型株式投信(ETF除く)への純資金流出入額をモーニングスターの大分類別(全10分類)に見ると、国際株式型が3,031億円の純資金流入と、純資金流入額が4カ月連続でトップとなった。20年1〜10月の累計では2兆7,166億円の純資金流入と純資金流入額は大分類別でトップであり、1,094億円の純資金流出であった前年と対照的な状況となっている(図表1参照)。

バランス型への資金流入は前年の半分以下の水準

 一方、バランス型への資金流入には伸び悩みが見られる。10月は129億円の純資金流出と2カ月ぶりの流出超過。20年1〜10月の累計では6,828億円の純資金流入と純資金流入額は大分類別で第2位となっているが、1兆5,323億円の純資金流入で純資金流入額トップとなった前年比では45%と半分以下の水準に留まる。17年1月から20年7月まで43カ月連続で純資金流入となり、中でも19年5月から20年2月まで10カ月連続で1,000億円超の純資金流入であったことと比べると、減速感が感じられる。

 背景にあるのは、コロナショック後の株価回復局面における米国を中心としたテクノロジー関連株の人気化だ。コロナショックを受けて世界的に金融緩和が強まったことから資金が株式市場に向かい、中でも非接触型関連などポストコロナ関連といわれる分野に集中。ハイテク株比率の高い米ナスダックを始め、S&P500種株価指数、NYダウいずれも上昇し、足元でもワクチン実用化への期待感が加わって過去最高値水準にある。この流れを受けて、国内投信市場においても世界のポストコロナ関連株に投資するファンドに資金が向かい、その勢いはESG(環境・社会・企業統治)関連も含めた新設ファンドにも波及。7月設定の「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド」(愛称:ゼロ・コンタクト)、「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」(愛称:未来の世界(ESG))、10月設定の「野村 環境リーダーズ戦略ファンド」(AコースBコース)などに旺盛な資金が向かっている。

バランス型では相対的にリスクの高い「成長」から資金流出

 バランス型ではリスクを選好するタイプから資金が流出している。モーニングスターでは、バランス型ファンドを、リスク資産とされる「株・REIT」の組入比率の低い順に「安定」(25%未満)、「安定成長」(25%以上50%未満)、「バランス」(50%以上75%未満)、「成長」(75%以上)の4段階に分類している。バランス型ファンドは分散投資によってリスクを抑制しながらリターンの獲得を目指すが、中でも「安定」はよりリスク抑制タイプ、「成長」はリスク選好タイプと言える。バランス型の中でも「安定成長」が20年10月までの7カ月連続、「安定」が6カ月連続で純資金流入となる一方で、「バランス」は20年10月に2カ月ぶりに純資金流出となったほか、「成長」は5カ月連続で純資金流出となっている(図表2)。コロナショックからの回復局面においてリスク選好スタンスの資金がポストコロナ関連株ファンドに向かう一方で、リスク選好タイプとはいえバランス型である「成長」からは資金が流出したとみられる。リスク抑制に重点を置く資金は変わらずに「安定」、「安定成長」に向かった。

国際株式型の1年間の最大下落率は▲57.24%、バランス型は▲33.12%

 ただ、足元の株高局面がいつまでも継続することはない。ワクチンへの期待感がある一方で、感染再拡大による経済への悪影響が改めて意識されている。高値警戒感も指摘されている。国内投信のリターンを指数化したモーニングスターインデックスに基づき、データの集計が可能な2001年1月〜2020年10月における国内外株式・債券型及びバランス型の1年間の最大下落率を見ると、国際株式型が▲57.24%となり、▲33.12%のバランス型など他の資産を上回った(図表3)。いずれの資産もリーマンショック時の08年後半から09年前半にかけて記録した下落率であるが、今後同程度の下げが生じるリスクはあり、中でも国際株式型は相対的に下落リスクが高い。

資産分散で株式下落局面への備えを

 長期的な運用を考えるのならば、株高の今こそ資産の分散など株式下落局面への備えを意識すべきだろう。国際株式型ファンドと併せて債券型ファンドも購入するなど資産分散が求められる。また、「成長」カテゴリーを含めて、購入するだけで資産分散してくれるバランス型が改めて着目されよう。以下の図表4では、バランス型アクティブファンド(確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、ETF除く)を対象に、「安定」、「安定成長」、「バランス」、「成長」の各カテゴリー内で20年10月末時点の過去10年間のシャープレシオが上位となったファンドを2本ずつ取り上げた。シャープレシオは、リターンのブレであるリスク(標準偏差)を考慮した指標で、「(トータルリターン−安全資産利子率)÷標準偏差」の式で計算される。分母のリスクが低く、分子の超過リターン(安全利子率を上回ったリターン)が高いほど高い数値となり、少ないブレで効率的に収益を獲得していることになる。

(武石 謙作)

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