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新興国ニュース



<新興国eye>JCR、トルコの発行体格付けをクレジット・モニター指定から解除―リラ回復で

2018/11/29 11:25

 日本の信用格付け大手JCR(日本格付研究所)は27日、トルコの外貨建てと自国通貨建ての長期発行体格付けについて、将来のイベントリスク(予期できない出来事で金融商品の価値が大きく下げられるリスク)に備え、随時、格付けの見直しが必要と判断される「クレジット・モニター」の指定対象から除外し、その上で、いずれも格付けを「BBB−」、格付けに対する見通し(アウトルック)も将来引き下げ方向で見直すことになる「ネガティブ」に据え置いたことを明らかにした。
 
 JCRは18年8月10日に米国人牧師の身柄拘束問題を巡る米・トルコ間の緊張の高まりから自国通貨リラが急落したことを受け、同14日に同国の長期発行体格付けと債券格付けをクレジット・モニターの対象に指定し、「ネガティブ」の見直し方向を付記していた。しかし、その後、トルコの経済・財政状況が改善し、リラ相場も落ち着いてきたことからモニターの解除に踏み切ったもの。
 
 JCRはモニター解除の理由について、声明文で、「リラ急落の経済・財政への影響を精査してきた。モニターに指定後、政策金利引き上げや対米関係の改善により、リラは幾分戻してきている。景気は足元減速しているが、輸入減少を主因に経常収支が単月で黒字化するなど対外バランスは改善がみられる。また、政府債務残高は、リラ急落や利払負担増などの影響を受けるものの、18年末もGDP対比で35%未満の低位に留まるとみられる」と述べている。
 
 リラの対ドルレートは11月26日、一時、1ドル=5.22リラと4カ月ぶり高値を付けた。これは最近の原油価格の急落で石油輸入度が高いトルコ経済にプラスに作用したことが好感されたもの。最近では、トルコのベラト・アルバイラク財務相が11月20日の第22回国際ビジネスフォーラム(IBF)で、「10月現在でリラの相場は正常化のプロセスに入った」と述べ、危機を脱しつつあるとの認識も示した。
 
 また、JCRはトルコ経済の今後の見通しについて、「17年と18年上期(1−6月期)は政府による景気刺激策で実質GDP成長率は潜在成長率(5%程度)を大幅に上回った。しかし、リラ急落に伴う輸入物価上昇や国内金利上昇による国内需要の縮小、経常収支の単月での黒字化など、同不均衡の調整が進行しており、19年前半にかけマイナス成長となる可能性が高い」との見方を示す一方、「CPI(消費者物価指数)の上昇率はリラ急落を受け18年後半から加速したが、リラが現状程度に留まれば19年でピークアウトするとみられ、その後の経済は緩やかに回復していく」と明るい見通しを示している。
 
 一方、トルコの財政赤字(政府債務)の見通しについては、「今後景気減速に伴う税収伸び悩みや国内金利上昇に伴う利払負担増により財政赤字が拡大するものの、政府債務GDP比は向こう3年で30%台半ばに留まり、引き続き一定の財政余力を有する」としている。
 
<関連銘柄>
iS新興国<1362.T>、上場MSエマ<1681.T>
 
(イメージ写真提供:123RF)

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