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ファンドニュース

再び1兆円目指して人気が再燃する「グロイン」! 15年たっても衰えぬ人気の理由

2019/12/05 20:20

 「グロイン」の愛称で親しまれている「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」への資金流入額が今年に入って激増している。月間資金流出入は、2017年10月に流入超に転じ、毎月数十億円の資金流入が続いていたが、19年1月以降は100億円を超える流入額となり、10月の流入額は545億円、11月は655億円と資金流入に弾みがついている(11月はモーニングスターの推計)。再び純資産残高1兆円に迫る同ファンドの再人気化の背景等について、同ファンドに商品企画から携わっているピクテ投信投資顧問の代表取締役社長の萩野琢英氏(写真)に聞いた。

 リーマンショック前には約2兆8000億円の純資産残高を記録した「グロイン」は、2012年には残高が一時的に5000億円を割り込んだ。2015年に1兆円の大台を回復するも、2017年には月間100億円を超える資金流出もあって残高は5000億円そこそこに減少した。そして、17年10月から19年11月まで26カ月連続の資金流入に転じ、19年12月4日残高は9204億円まで拡大している。2005年2月28日の設定から、まもなく15周年を迎える長寿ファンドで、未だに全公募投信(ETF除く)で純資産残高トップを維持している稀有な存在だ。

 萩野氏は、「グロイン」の15年の歴史を振り返り、「世界の公益株式に分散投資し、通貨分散も図って安定的な収益を提供するという商品性が支持していただけた」と商品設計の妙が一番大きいという。そして、近年の再人気化は、「私たちが全国を巡ってセミナーをしてきたことで、ピクテという会社がお客様に誠実に向き合い信頼に足る会社だということに対するお客様の理解が進んだことも力になっている」と語る。全国で3カ月に1度はセミナーが開催される「ピクテ・スペシャル・ジャパン・ツアー」(参加費無料)が始まったのは2017年。この活動を本格的に開始した時期と、「グロイン」の残高が拡大し始めた時期が重なっているのは無縁ではないという。

 3カ月間を1クールとして全国の会場を回り、テーマを変えて1年間に4回のセッションを繰り返す「ピクテ・スペシャル・ジャパン・ツアー」の講師には、社長の萩野氏も登壇。商品説明会ではなく、定期的に開催される資産運用セミナーという位置づけだ。同社のストラテジストや商品本部のスペシャリストが、プロの視点で金融市場の動向を解説し、資産運用の考え方を分かりやすく伝えている。「ジャパン・ツアーで目指しているのは、ピクテという会社のお客様に向き合う誠実な姿勢を知っていただくこと。金融市場について語る時にも、運用業務に携わるプロが語る言葉と、聞きかじりを話している人の話は全く違うことを、お客様は厳しく選別されると思う。ピクテは本物の運用の話が聞けるということに徹底的にこだわってセミナーを展開している」という。

 そして、「グロイン」の商品性は、設定当時に国際投信(現三菱UFJ国際投信)の「グロソブ」(グローバル・ソブリン・オープン)が5兆6000億円の残高に向かって急拡大しているさ中だったこともあり、「グロソブの人気を引き込める商品」をめざしたという。萩野氏は、「日本人が心地よいと感じるリスク・リターンのプロファイルは、リスクが10〜15%程度で、安定収益を狙える資産だと分析し、それを株式ファンドで実現するために、EPS(1株当たり利益)の変動が小さな公益株に国際分散投資し、それによる通貨の分散を同時に図れる商品を設計した」という。電力・ガスや水道事業などの公益セクターは、業績が安定していることに加え、国や地域によって規制や電源等のインフラが異なり、国際分散投資の効果がある事業セクターとして注目したという。

 「もともと、公益株への投資は、世界の株式市場のパフォーマンスの中心が、成長株と資産株(公益株)の間で10年間前後で主役が入れ替わるという現象がある。2004年当時は資産株(公益株)がリードする市場環境だった。その後、リーマンショックを経て、その回復期である株価上昇局面では、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)を中心とした成長株投資が市場をけん引していた。それが、2018年を境に成長株の上昇にピークアウト感が出てきた。成長株に替わって資産株(公益株)の時代がやってきたと感じられることも近年『グロイン』への注目を高めるきっかけになっている」(萩野氏)という見方もできる。

 そして、通貨の分散効果については、リーマンショック時には「最強の通貨=日本円」として、あらゆる通貨に対して円高となって分散効果が効かなかったものが、近年では「日本円が最強通貨ではなくなってきて、通貨の分散効果も当初の期待に近い効果が得られるようになり、その結果としてファンドのリスク水準が下がってきていることが『グロイン』の再評価の流れを後押ししている要因になっている」(萩野氏)と解説する。

 実際に、「グロイン」のシャープレシオは、過去5年(年率)0.36、過去3年(年率)1.05、過去1年では1.40と近年になるほど、リスク当たりのリターンが高まっている。投資効率が高まっていることは明らかで、この商品性の良質化が「グロイン」の人気が近年高まっていることの背景としては大きいとみられる。

 萩野氏は、「リーマンショックによる株価下落で世界公益株の配当利回りが上昇し、その後の株価上昇で徐々に配当利回りが低下しているものの、それと同等に世界国債利回りの低下があって世界公益株の配当利回りと世界国債利回りの利回り格差は維持された状態が続いている」として、当面は超低金利を追い風とした「グロイン」の人気は継続するとみている。

 ただ、「公益株式は配当利回りが上昇する局面では弱い。その弱点を補うという意図では、金(ゴールド)との組み合わせは有効。また、公益株は業績等が安定しているために、成長期待は相対的に小さい。50代以上の方々が65歳の定年を意識して10年間程度の運用を安定して行いたいと考えられるには、『グロイン』は有効な手段だと思うが、20代、30代の方が、積立投資で長期にわたって資産形成をしていこうと考えられるのであれば、公益株に限定せずに、世界の株式に投資する方が良いのではないだろうか。当社では『iTrust世界株式』などのファンドがある。投資先の特徴に合わせた商品選択を考えていただきたい」とアドバイスしている。

 商品選択という点では「グロイン」(毎月分配型)は、シリーズとして分配金を払い出さない「1年決算型」がある。「毎月分配型」は毎月40円の分配金だが、「1年決算型」と1対1で併せ持つと、毎月20円分の分配というポートフォリオができる。また、為替ヘッジを行って運用する「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型/1年決算型)円コース」(グロイン・マイルド)もある。さらに、マザーファンドの組み入れ比率を調整することによって基準価額の変動を一段と抑えることをめざす「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型/1年決算型)フレックス」(グロイン・フレックス)もある。それぞれの商品特性を考えて、「グロイン」の組み合わせ投資も可能になっている。このような商品性を補完するシリーズを投入してきたことも、15年にわたって人気を保ち続けられる要因になっているのだろう。