youtube fund_beginer fund_search fund_look

ファンドニュース



信託報酬0.078%の海外株ETF設定へ、三菱UFJ国際「MAXIS」は投信ブロガーも後押し

2019/12/23 19:50

 三菱UFJ国際投信は12月23日、「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」<2558>、「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」<2559>を2020年1月8日に新規設定し、1月9日に東京証券取引所に上場すると発表した。両ETFは、信託報酬を年0.0858%(税抜き0.078%)とし、既存の海外株ETFの中で最も低い水準に設定した。三菱UFJ国際投信の常務取締役・商品マーケティング部門長の代田秀雄氏は、「ETF『MAXIS』シリーズは、低コストインデックファンド『eMAXIS』シリーズの1年前に設定している。投信ブロガーとのミーティングを通じて低コストETFにも一定のニーズがあることが実感できた。ETFについても低コスト海外株ETFを提供し、この分野での存在感を高めたい」と語った。

 国内ETF市場は2010年12月以降に日銀による買い入れが始まったこともあり、年々市場規模を拡大し、19年11月現在には約43兆円の市場規模に拡大した。しかし、市場はTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価に連動する国内株式ETFに偏り、海外株式ETFの残高はわずかに約1100億円とETF市場全体の0.3%にとどまっている。これは、国内の公募投信に占める海外株式投信の比率(バランス型を除く)が約29%を占める現状と比較すると、余りにも小さい。

 三菱UFJ国際では、19年12月9日に、「MAXIS海外株式(MSCIコクサイ)上場投信」<1550>の信託報酬を年0.25%以内(税抜き)から年0.15%以内に引き下げた。これは、2017年12月の制度改定によって、従来はファンドオブファンズ形式でしかできなかったETFが、みなし配当を使うことによってファミリーファンド形式で設定可能になったためによるコストカットを投資家に還元するものだった。

 新たに設定する2つのETFは、既存のETFの信託報酬率水準から一段階低い水準を実現した。「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」<2558>は、既存のETFで残高が大きく売買の中心になっている「上場S&P500米国株」<1547>(日興アセットマネジメント)と「iシェアーズS&P500米国株ETF」<1655>(ブラックロック・ジャパン)がともに信託報酬率が0.15%(税抜き)に対し、信託報酬率が約2分の1の水準となる。S&P500に連動するETFの中で最も信託報酬が低い「SPDR S&P500 ETF」<1557>の0.0945%(同)より一段と低い水準で設定する。

 ETFの運用コストは、上場費用(年0.0075%)や対象指数についての商標使用料(上限が年0.05%)等が必要になるため、実質的な負担額は年0.14%(税抜き)程度になる。これに、証券会社の売買委託手数料等があるため、公募投信でノーロードで販売されている「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の信託報酬年0.088%(税抜き)の方が、よほど手数料の面では割安といえるかもしれない。ただ、ETFには時価で好きな時に売買できるメリットがある。そして、ネット証券の中にはETFの売買委託手数料を無料化する動きもあり、ETFが話題に上る中でのタイムリーな発表になった。

 もっとも、海外のETFには、「Vanguard S&P500」など管理報酬が0.03%で提供されているファンドもある。海外ETFは取引には為替手数料が必要になり、リアルタイムでの取引時間が夜の遅い時間になるというデメリットもあるが、実質的な負担額では低廉になるケースがある。これら海外ETFとのコスト比較について投資家がどのような評価をするのかが注目される。

 また、「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信」<2559>は、既存のETF「上場MSCI世界株」<1554>(日興アセットマネジメント)の信託報酬0.24%を大幅に下回った。海外ETFでも「iShares MSCI ACWI」が0.31%の水準なので、「ベンチマークをMSCIオール・カントリー・ワールドインデックスに置いているETFでは、世界的にも最も低い水準の信託報酬率を実現した」(代田氏)という。ただ、上場費用(年0.0075%)や対象指数の商標(上限0.05%)などの費用がかかるため、公募投信「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の0.104%にはやや及ばない手数料率になっている。

 信託報酬率を含めたファンドの保有期間中にかかる費用だけで比較すると、公募投信「eMAXIS Slim」シリーズの方が優位にある。公募投信には販売会社によっては、積立投資は最低100円〜などで購入できる仕組みもあり、利便性の上でもメリットがあると感じる投資家が少なくないようにも思える。公募投信では複数の運用会社が低コストのインデックスファンドシリーズを投入し、信託報酬率の引き下げ競争があった。

 それでもETFで低コスト商品を投入する狙いについて代田氏は、「ETFの主要な取り扱い窓口となるネット証券で話を聞くと、投資信託のアクセス件数は全体の20%程度にとどまり、圧倒的に株式でアクセスされる投資家の方が多い。ETFは株式の1つのカテゴリーとして認識されているので、ETFを通じて従来の投信ユーザーとは異なる投資家層の方々にアクセスできる。また、ETFのトータルエクスペンスレシオ(保有期間中にかかる費用)は、ETFの流動性も重要な指標になる。今後、ETF市場そのものが注目されるようになってほしい」と語っていた。(図版は、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の過去1年間のパフォーマンス比較)