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ファンドニュース



東証市場改革でTOPIXの性格も一変へ、魅力的な株価指数に生まれ変われるか?

2019/12/27 19:05

 12月26日にナスダック総合指数が11連騰し、10日連続で史上最高値を更新して初の9000ポイント台に乗せた。S&P500も今年34回目の史上最高値を更新し、年初来では29.24%高。2013年の年間上昇率29.60%を上回れば、1997年の31.01%高以来の年間上昇率の記録となるなど、米国株式市場が絶好調だ。日本の株式市場も追随して上がっているもののTOPIX(東証株価指数)の年初来上昇率は16%程度と日米の株価上昇率の違いは大きい。現在、東証の市場区分の見直しなど市場の活性化策が議論され、それに伴いTOPIXの変更も検討されている。

 12月25日に金融庁が公表した金融審議会市場ワーキンググループ市場構造専門グループ報告書によると、現在の5つの市場区分(市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQスタンダード、JASDAQグロース)について、「プライム市場」(現在の市場第一部に相当)、「スタンダード市場」(市場第二部およびJASDAQスタンダード)、「グロース市場」(マザーズおよびJASDAQグロース)の3市場に再編する案が検討されている。

 この区分の変更については、「プライム市場」への上場には時価総額基準だけでなく流動性やガバナンスといった他の基準を合わせて判断するなどの新たな規定が設けられるようだが、5つの市場の再編と区分の呼び名の変更くらいとの受け止め方が多いようだ。株式市場に与えるインパクトは、ほとんどないとみられている。報告書でも指摘している通り、市場名称の変更によって「東証一部上場企業」というブランドイメージが毀損しないかという危惧があるくらいだ。

 むしろ、投信運用者にとって影響が大きいのはインデックスである「TOPIX」の見直しだ。現在のTOPIXは東証市場第一部上場全銘柄を対象として時価総額を指数化している。ところが、今般の市場区分の変更と上場基準の見直しによって、従来の「市場第一部」という市場区分とTOPIXの対象銘柄を切り離すことが適当と提言された。具体的な対象銘柄については、「TOPIXが既に年金運用や投資信託に数多く用いられている実態を踏まえ、連続性の確保を考慮しつつ、より流動性を重視する方向で企業を選定することが適当」とされるくらいで、今のところ確定していない。

 ここでいう流動性とは、新たにプライム市場に上場する際の基準となる「流通時価総額(流通株式の数×1株あたりの株価)」を目途とする方向とされる。対象企業は主にプライム市場から選定されることが想定されるが、スタンダード市場等からも選定できるようにすることも考えられている。さらに、選定対象数に上限を設けて定期的に入れ替えを行うことや、選定にあたってガバナンスや環境などの観点から持続可能性等の質的な要素を加味してはどうかなどの意見もあり、引き続き検討が続けられる。

 また、市場区分とTOPIXの対象を切り離すことに合わせ、東京証券取引所として利益相反の懸念を排除するため、指標算出に当たって、独立性やプロセスの公平性を確保するための方策についても検討を行うことが適当と提言されている。

 もう一つの代表的な指標である「日経平均株価」が一部の値嵩株の株価変動の影響を受けやすく、価格変動率が高いというデメリットがあるため、年金運用等の機関投資家の多くは、日本株運用のベンチマークとしてTOPIXを採用しているケースが多い。ただ、現在のTOPIXは、東証一部上場全銘柄が対象となっているため、一部に上場しているというだけで、既に業績低迷が常態化している投資魅力のない銘柄も含まれ、インデックスとして魅力的とはいえないという批判が少なくない。

 S&P500などの米国株価指数が史上最高値を更新し続けることに対し、TOPIXが未だに1989年に付けた史上最高値(終値ベース)2884.80ポイントに大きく届かない。これは、日本がデフレ経済にあったこともあるが、指数の対象銘柄の範囲にも問題があるといわれてきた。株式投資への魅力を高めるようなTOPIXになることを期待して、議論の行方を見守りたい。