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ファンドニュース

バンガードの20年展望、期待リターンが低下する不確実性の時代は分散・長期投資を徹底

2020/01/16 19:55

 インデックスファンドの生みの親である米バンガードの創業者ジャック・ボーグル氏の命日にあたる1月16日、バンガード・インベストメンツ・ジャパンは東京で「2020年の経済および市場見通しセミナー」を開催した。同社代表取締役社長の小林賢氏は、セミナーの開催にあたって「2020年は将来に振り返って転換点だったといわれるかもしれない。ジャック・ボーグルが遺した『顧客のための経営』を愚直に推し進め、投信業界の変革をリードする役割を担っていきたい」と語り、インデックス投信やETFに流れる資金の受け皿として、引き続き良質な商品を提供し続けると語った。

◆米国株式の長期リターンは年3.5〜5.5%に低下

 「2020年の経済および市場見通し」をテーマに講演したインベストメント・ストラテジー・グループAPACチーフ・エコノミストのチェン・ワン氏は、これからの10年間について「新たな不確実性の時代」と総括し、「多国籍主義のアプローチが崩壊し、2国間主義、1国主義が台頭する不確実で複雑な時代になった。アメリカでさえ明確な見通しを持っていないようにみえる政策の不確実な時代には、世界の成長率は年3%程度とトレンド以下の水準に減速するだろう。投資による高いリターンを期待しづらく、ダウンサイドリスクへの備えを常に意識する必要がある」と見通した。

 世界の経済成長率の予測は、19年の3.3%から、2.9%に減速という見通し。特に、「これまで例外的に良い状況だったアメリカは1〜1.5%成長に減速する見通しである。ドル建ての株式投資リターンは、向こう10年間で年3.5〜5.5%程度のリターンに低下する見通し。米国を除くグローバル株式のリターンは6.5〜8.5%程度が期待され、米国以外の株式への分散投資が望ましい」とした。また、日本株式は年2.5〜4.5%程度のリターンが見込まれるものの、リターンを向上させるためには「日本の投資家は日本株式以外、米国株式以外への分散投資が重要」と語っていた。

 また、債券については「金利低下によってリターンがさらに下がる」という基本的な見通し。ドル建ての債券投資のリターンは年1.5〜2.5%、円建てでは同0〜1.0%になるとした。ただ、株式市場が大幅に下落する際には、主要資産の中で長期国債が最も高いリターンをあげており、「債券はグローバルな株価下落に対する緩衝材としての役目を引き続き果たす」と語った。

 そして、株式も債券も期待リターンの低下が見込まれる中、「債券であれば、社債やハイ・イールド債券、株式では新興国株式など、より高いリターンを求めて動くことも考えられるが、不確実性が高まっているだけにリスクを取りすぎるような行動は避けたい。分散して長期に投資することが重要だ」と語った。

◆過去3年にわたって資金流入が続くESG関連ETF

 一方、「グローバル・インベストメント・トレンド〜投資家と業界の視点から〜」をテーマに講演したETF戦略部長の渡邊雅史氏は、「世界のETF市場は株式ETFを中心に残高を拡大し6兆ドルの市場に成長した。株式ETFは米国株式への資金流入が拡大しているものの、近年は債券ETFの残高拡大が市場で注目されている」とETF市場の現状を紹介。資金フローが大きかった米国株式ETFの中では、セクター別にみると「金融」から「公益」への資金シフトが目立つほか、ファクターとしては「高配当」や「低ボラティリティ」への人気が続いているとした。

 また、債券ETFでは投資適格社債ETF市場で「超短期社債」から「中期社債」への資金シフトが顕著となったほか、ハイ・イールド社債など高いインカムが得られるETFへの資金流入が続いているとした。このように、株式や債券のETFの資金フローに変化がみられる中にあって「過去3年間にわたって継続的に資金が流入しているのがESG(環境・社会・ガバナンス)関連ETF」として、米国、欧州、日本など地域を問わず世界的にESGへの資金流入が続いていると語った。

 そして、近年の傾向として、米国で「経費率(信託報酬)ゼロの投資信託」が登場し、ETFでも期間限定で経費率ゼロ、さらには、マイナスのものも登場するなど、「リテールビジネスで手数料が消えている」ことを取り上げた。「アメリカではアドバイザーαといわれる、アドバイザーによる投資助言で得られる付加価値が注目されるようになっている。ジャック・ボーグルも、市場全体が入っているポートフォリオを永遠に持っていることは、シンプルで洗練された投資哲学だが、『この規律を守ることは簡単ではない』と語っている。長期でポートフォリオ運用するという投資行動をコーチングするアドバイザーの役割は、これからますます重要になってくるだろう」と見通していた。(写真はバンガード・インベストメンツ・ジャパンのセミナーで。左から、小林賢氏、チェン・ワン氏、渡邊雅史氏)