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ファンドニュース

eMAXISシリーズ残高1兆円突破、ツールとしてインデックスファンドの利便性追求

2021/01/07 17:51

 2009年10月に設定されたノーロードインデックスファンド「eMAXIS」シリーズの純資産残高が1月7日に1兆円に到達した。同シリーズの5000億円到達が2019年12月であったことから、約1年で残高が倍増したことになる。近年は、「業界最低水準の手数料率を維持する」ことをめざす「eMAXIS Slim」シリーズが、個人投資家の広い支持を集めて残高を増やしている他、革新的なテーマに投資する「eMAXIS Neo」シリーズの「自動運転」もずば抜けた運用成績を背景に残高が急増し、シリーズ全体の残高増に寄与した。オンライン中心に販売されている「eMAXIS」が、シリーズ60本の合計とはいえ1兆円の残高に達したことは、資産運用の時代到来を感じさせるエポックメイキングな出来事といえる。

 「eMAXIS」シリーズは、低コストのインデックスファンドが少なかった2009年10月に「日経225インデックス」「TOPIXインデックス」「国内債券インデックス」「国内リートインデックス」「先進国株式インデックス」「先進国債券インデックス」「先進国リートインデックス」「新興国株式インデックス」の8ファンドでスタートした。ファンドの信託報酬率について年1.0%を大きく下回る水準に設定し、しかも、販売手数料は無料という商品性で登場した。2008年に立ち上げられた三井住友トラスト・アセットマネジメントのノーロードインデックスファンド「SMTシリーズ」に続くファンド群だった。

 その後、「eMAXIS」シリーズはファンド数を増やした。「ブロガー・ミーティングなどを通じてお客さまの声を聞きながら、様々なアセットクラスのファンドを追加することで、お客さまの投資機会を広げることができた」(三菱UFJ国際投信デジタル・マーケティング部アシスタントマネジャー藤代竣介氏)という。インターネットで購入できる資産運用のベーシックツールというポジションの強みを活かして、主要なユーザーの一群であるブロガーとの交流を深めて直接運用ニーズを聞き取り、商品開発に活かしてきた。

 2016年には、「資産運用に手間をかける時間がとれない」という声に応える形で「eMAXIS最適化バランス」を設定した。簡単な5つの質問に答えることでリスク許容度をはかり最適なファンドを提案するロボアドバイザーサービス「ポートスター」を活用したバランスファンドのシリーズだ。最も保守的な「マイ ゴールキーパー」から、高い運用成績をめざす「マイ ストライカー」まで5ファンドで構成している。当時は、2010年にスタートした野村アセットマネジメントの「Funds−i」シリーズ、2013年にスタートしたニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズ、ブラックロックの「iシェアーズ」シリーズ、2015年にスタートしたアセットマネジメントOneの「たわらノーロード」シリーズ、2016年には大和アセットマネジメントの「iFree」シリーズも登場して一層競合が激しくなり、シリーズの特徴を際立たせる必要もあった。

 そして、ブロガー・ミーティングなどを重ねて顧客の声を聞く商品開発を突き詰めた結果生まれたといえるのが2017年2月に投入した「eMAXIS Slim」シリーズだ。「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」というコンセプトを打ち出すことで、長期にわたり安心して保有したいというニーズに応えて大ヒット商品になっていく。今では毎年の「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」で上位を席巻する常連シリーズになっている。

 インデックスファンドは、ファンドの大きな差別化要因である運用会社の運用力で差別化ができない商品群だ。このため、商品競争は運用コストである信託報酬の引下げ競争という形で表れた。基本的に新シリーズは信託報酬を低くして投資家を取り込もうとするため、既存のファンドシリーズは新ファンドの登場に対抗する形で信託報酬率を引き下げる算段に追われていた。

 「eMAXIS Slim」は、実際にシリーズ登場から2021年1月6日までに33回の信託報酬率の引き下げを実施。「業界最低水準をめざす」というコンセプトが看板倒れでないことを証明し、その人気を確立していった。「eMAXIS Slim」シリーズを代表する「米国株式(S&P500)」は当初設定では年0.16%(税抜き)だった信託報酬を0.15%に下げ、さらに、0.088%にまで引き下げている。この結果、同ファンドは2018年7月の新規設定から、他のインデックスファンドを引き離す人気となり、現在では残高2346億円(1月6日現在)と、シリーズ最大のファンドになった。

 今後の商品拡充については、「お客さまのニーズに応えながらファンド数を増やし、加えて、お取扱いただける販売会社も広がり、お客さまの利便性も高めてまいりました。引き続き、世の中の情勢やお客さまの声に耳を傾けながら様々な可能性を検討していきたいと思います」(藤代氏)としている。

 一方、オンライン販売に対応して、投資家自身が自ら考えてファンドを活用するためのツールの提供や情報提供にもシリーズとして積極的に取り組んできた。ファンドの月報やスペシャルレポートの他の情報発信の手段として、eMAXISシリーズのLINE公式アカウントを2020年2月にスタートさせている。資産運用に関する役立ちコンテンツやマーケット変動時といった不安を感じるタイミングにレポート等をタイムリーに配信することに加え、各種イベントやセミナー情報といったニュースもいち早くLINEで発信している。

 また、昨年には「三菱UFJ国際投信 ON AIR」をYouTubeに開局し、運用会社独自の情報をタイムリーかつコンパクトに動画で提供し、更なるコミュニケーション向上に努めている。同社では、「今後も更にお客さまの資産運用をサポートできるよう、様々なチャネルを用いながら取り組みを進めていきたいと考えています」(藤代氏)とするとともに、「当社から情報提供するのみならず、お客さまと双方向で意見交換できる場を設けていきたいと考えています」(同)とオンラインセミナーやイベントを企画している。

 ノーロードインデックスファンドは、2018年1月にスタートした「つみたてNISA」によって、資産形成には欠かせないツールとして定着した。「eMAXIS」シリーズからは25ファンドが「つみたてNISA対象ファンド」になっている。20代、30代という若い世代が、自らの意思で長期の資産形成をめざす「つみたてNISA」の利用拡大も、「eMAXIS」の残高増に寄与していることは間違いない。残高1兆円を通過点として、さらなる残高増に向けて、「eMAXIS」シリーズは顧客ニーズを吸収し続けている。今後の展開にも注目していきたい。(グラフは、eMAXISシリーズの純資産残高の推移)