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ファンドニュース

今後10年を見据えて中国の「イノベーション」「個人消費」「脱炭素」に注目=日興アセットマネジメント

2021/03/12 20:09

 日興アセットマネジメントは3月12日、機関投資家や投信の販売機関を対象とした「日興AM 商品戦略アカデミー CHINA」をオンラインで開催した。日興アセットマネジメントの東京本社と、香港の日興AMホンコンリミテッドを結び、深センの提携先である融通(ロントン)基金管理有限公司からも中国現地の市場の見方を伝えるなど、同社の中国株運用チームの紹介を兼ねて中国株式市場の見通しなどを伝えた。同社では中国株への投資を「21世紀の世界の構造変化への必要な備え」(日興AM香港リミテッド副社長の山内裕也氏)と捉え、資産運用においては米国株式ファンドを保有することと同じように、中国株式ファンドを保有することの意義は大きいとした。また、今後、中国の脱炭素社会に向けた取り組みにフォーカスした公募新ファンドを計画していることを明らかにした。

 日興アセットマネジメントは、2005年2月に業界に先んじて中国の上海証取および深セン証取に上場する株式(A株)を主要投資対象とした「日興AM 中国A株ファンド(愛称:黄河)」を設定し、その後、2010年10月29日には中国経済圏(中国、香港、台湾)に上場する株式を投資対象とした毎月分配型商品「中華圏株式ファンド(毎月分配型)(愛称:チャイワン)」を設定。そして、2017年11月30日には、中国株ファンドとして過去3年間のトータルリターンがトップの「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」を、2020年5月には中国の消費市場の拡大にフォーカスした「華流国潮イノベーション株式ファンド(1年決算型)(愛称:国潮)」を設定し、国内の運用会社の中で、中国株式に投資するファンドの純資産残高がトップになる実績をあげている。

 その運用を支えているが、2007年に株式の40%を取得して業務提携を行った深センを拠点とする融通基金管理有限公司との連携だ。中国株式の運用にあたっては、融通基金の現地情報に加え、日興AMホンコンリミテッド、および、シンガポール拠点の日興AMアジアリミテッドの3極でカバーする体制を作っている。現在、中国株式のユニバースとして約4000銘柄をフォローしているという。個人投資家が中心で短期の変動が大きな中国本土市場(上海と深セン)と機関投資家中心の香港市場、そして、米国のADRという複雑な市場を捉えるためには、「自社と現地のハイブリッドな運用体制が適している」(山内氏)とした。

 今後の中国株式市場の成長余力については、たとえば、2021年1月末時点で米国株式が5415銘柄で時価総額が約60兆ドル、GDP比で291%という巨大な市場になっていることに対し、中国株式は本土、香港、米国ADRを合わせて銘柄数こそ6865銘柄と米国株式を上回っているものの、時価総額は約16.8兆ドルと米国の3分の1以下に過ぎず、GDPに対する比率も107%と、米国に対して依然として小さな比率でしかないことから、「中国株式に成長の余地は大きい」という見方を示した。すでに、世界経済への貢献度合いでは米中は同じくらいの影響力があり、GDPの規模は2029年にも中国が米国を上回ると予測されていることから、今後、中国の株式市場が一段と成長することは間違いないとする。

 そして、今後の中国株式市場の大きな流れは、深センを中心にしたイノベーションの進展と個人消費の拡大が期待される消費関連だという。たとえば、イノベーションを支えるインフラとして中国には「次世代の決済インフラ」「5GのITインフラ」「EVや自動運転を発展させる交通インフラ」「再生エネルギー事業を支えるエネルギーインフラ」が他国以上に整っている状況にあり、新しい事業が生まれ、育ちやすい環境にあるといえる。また、世界人口の5分の1に相当する14億人の人口を抱え、沿岸部と内陸部に成長の格差があるという巨大で重層的な消費市場が高度で多様な発展を遂げるとみられている。それぞれの流れを捉えた「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」と「華流国潮イノベーション株式ファンド(1年決算型)(愛称:国潮)」は、これからの中国経済の発展によって、良好なパフォーマンスが期待できるとした。

 一方、昨年来、習近平国家主席の肝いりの政策として浮上してきた「脱炭素」が、中国の国内においても大きな成長領域になってきたとし、「チャイナ・ゼロ・カーボン株式ファンド(仮称)」の開発を企画しているとした。中国は現在、世界の二酸化炭素(CO2)排出量で29%を占める最大のCO2排出国で、今後の経済拡大にともなって一段と排出量の増加が懸念されている。これに対し、中国政府は「2030年にCO2の排出量をピークアウトさせ、先進国が目標とする2050年に10年遅れた2060年にカーボン・ニュートラルをめざす」という大目標を掲げている。太陽光発電パネルや風力発電のためのタービンでは、世界でトップクラスの生産量を持ち、かつ、電気自動車(EV)でも既に130万台が保有される先進国だ。2035年には中国のEVは2300万台と現在の20倍程度に拡大するという試算もあり、関連産業の成長は大きい。そして、巨大な国内市場に商品を供給することでコスト競争力をつけて世界の市場を席巻するようになるだろうと見通している。

 日興アセットでは、中国に対しては、政治体制の違いや香港問題や少数民族問題など、心情的に難しい思いを持つことはあるかもしれないが、「投資市場としての魅力は捨てがたい」という。「米中摩擦によって、中国では今、半導体部品などを自国生産に切り替えて、それが新たな成長産業になっている。そして、トヨタ自動車の販売先の20%は中国、ソフトバンクグループの投資先の50%も中国、ファーストリテイリングの店舗の30%弱は中国にあるなど、日本は中国と緊密につながっていて、中国を無視することはできない。資産運用としては、中国の成長の果実を上手に取り込む賢い対応をしてはどうだろう」(山内氏)と語っていた。(グラフは日興アセットマネジメントが運用する代表的な中国株ファンドのトータルリターンの推移)