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ファンドニュース

女性に強い「私のお金は私のもの」意識、女性特有の長生きリスクに投信業界は回答を用意できるか?

2021/03/23 19:39

 男性と女性の間にある平均寿命の差は6.04歳(出所:厚生労働省「令和元年簡易生命表」)。平成17年には6.96歳まで開いていた差が、近年は、徐々に縮小する傾向にある。平均寿命は男女ともに緩やかに伸びているものの、男性の寿命が伸びるスピードの方が、女性よりもやや速いためだ。ただ、依然として女性の方が圧倒的に長生きであることに変わりはない。この「女性の方が長生きをする」という現実が、男女の間の「お金に関する意識」にも色濃く反映されているようだ。フィデリティ投信が今年1月に行った「女性とお金に関する調査」で、女性は男性に比べて「貯蓄、投資、年金は自分のもの」と考える傾向が強いことが明らかになった。

 フィデリティ投信の調査は、日本の18歳以上の男女合わせて約2000名(女性1040人、男性963人)を対象に、2021年1月7日〜13日にインターネットで実施した。3月8日の国際女性デーにちなんだ調査で「女性とお金(Woman&Money)」をテーマに調査した。調査参加者の平均所得は女性が約209万円、男性が約503万円。

 調査では、まず、新型コロナの生活への影響を聞いているが、30%の女性が「個人の所得が減少した」と回答し、既婚女性では37%が「世帯所得が減少した」と回答した。収入が減少したことによって貯蓄へも影響が及び、女性の29%が収入の減少を理由に貯蓄を取り崩し、また、19%が貯蓄額を減らしていた。この貯蓄額については、金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上世帯調査)(調査時期:2020年8月7日〜9月15日、回答数3222)では、金融資産の保有額は平均値が1436万円(中央値は650万円)と前年の同1139万円(同419万円)から297万円増額したという結果になっている。コロナ禍で消費支出を切り詰めて貯蓄を増額したと解説されていたが、女性の家計収支は世論調査よりも厳しい結果になった。

 一方、フィデリティ投信の調査では、既婚者に対して家計管理について聞いている。「家計を全て管理している」と回答した割合は、女性が51%で男性の22%の2倍以上になっている。また、お金の所有者について聞いたところ、既婚女性では、貯蓄で64%、投資で62%、年金で67%が「自分のもの」と考えていることがわかった。男性は、女性と比べると、「自分と配偶者」、あるいは、「家族のもの」と考える傾向が強い。

 この女性と男性のお金に対する意識の違いは、平均寿命の違いからくるのではないだろうか。たとえば、男性60歳、女性55歳の夫婦がいるとして、ともに平均寿命まで生きたとすると、男性が82歳で亡くなった時に女性の年齢は77歳で、そこから平均寿命の87歳まで10年以上が残っている。この10年間を女性は、男性のサポートなく生活していく必要がある。女性が貯蓄や年金に頼って生活をしていく期間は、男性と女性の平均寿命の差である6歳に加えて、男性が年上である場合は夫婦の年齢差が加わる計算になる。自ずから、女性の方が、「貯蓄」や「年金」について「わが物」として抱え込んでいたいという気持ちになるだろう。

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2020年になって、「元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品の保有」について、「積極的に保有しようと思っている」(2019年→20年で2.2%→4.4%)、「一部は保有しようと思っている」(同17.4%→26.4%)と大きく関心が高まったことが確認されている。いよいよ、「貯蓄から資産形成へ」の時代が動き始めていることを感じさせるような結果だ。

 そして、2022年には国内では団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)といわれる大きな人口の塊が75歳以上の「後期高齢期」を迎え、2025年頃に後期高齢者人口が激増する。日本の医療、介護などの社会保障制度が、現状の対策で問題なく耐えられるかが試されることになる。そんな時に、東日本大震災や今回のコロナ・パンデミックのような危機が重なることも考えられ、誰もが安穏とはしていられない。

 近年の投信業界は、「貯蓄から資産形成へ」の流れを後押しし、「ノーロード・低コストのインデックスファンド」に代表される「資産形成型商品」の開発が主流だった。「ロボテック」「AI」などのテーマ型投信の投入は、高い産業の成長性に期待して、より高い資産の成長への投資機会を提供するもので、「資産形成型商品」の範疇に入るだろう。「人生100年時代」を迎え、後期高齢時代が延伸している現実を考えれば、「若いうちから、老後生活資金をコツコツと積み立てる」という資産形成が重要視されることは意義がある。

 しかし、もうひとつの動きとして、激増するリタイヤメント層の資金の寿命を伸ばすための受け皿としての商品開発がある。預貯金では金利が付かない今、退職金などでまとまって入ってきた現金を、どのように老後の生活に活用していくかということもまた、大きな課題になっている。投信業界では、いわゆる「リスクコントロール型」といわれる商品が台頭し、リスク管理を第一の重点要素とした「資産活用世代向け商品」の開発も続いている。昨今の人気商品には、アセットマネジメントOneの「投資のソムリエ」があり、2018年〜19年には東京海上アセットマネジメントの「円奏会」などが支持を集めた。国内金利がゼロ%台という中にあって、いかに安定的な収益を確保していくかということについては、これという絶対的な解はなく、各社が工夫を凝らしている。

 さらに、フィデリティ投信の調査は、「女性の老後」という切り口を浮かび上がらせたように感じられる。女性が持つ「最後の10年間」に対する不安に向き合い、安心を提供する手段は、「老後を豊かに暮らす」というコンセプトである「資産活用世代向け商品」とも異なるニーズではないだろうか。もちろん、このようなことは今に始まったことではない。ただ、団塊の世代が大量に後期高齢者になる「2025年問題」が5年以内に数えられるようになって、いよいよ「ソリューション」が形あるものとして結実してほしいところだ。運用会社の知恵が求められているといえよう。(図版は、フィデリティ投信の「女性とお金に関する調査」の調査結果の一部)