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ファンドニュース

投信は元本保証がないものの実際に損する人の確率は?=資産形成ことはじめ(2)

2021/04/13 17:12

 「投信(投資信託)は元本保証がないので買いたくない」というのが、投信を購入しない人の大きな理由になっています。投信について少し調べた人は、「投信は元本の保証がない上に、購入にあたって手数料も取られる。購入するだけで損が出る」というかもしれません。これらの理由は、全く正しいのですが、一方で、投信には大きなリターンのチャンスもあります。そのチャンスは、投信を購入しなければ得られません。では、実際には、投信を購入して損をする確率は何%あるのでしょうか? 過去5年間にわたって全株式投信の損益比率を調べたところ、投資信託を10年間保有した場合の損失割合は20%を下回りました。さて、この確率は、投資をしないことの理由になるでしょうか?

 2021年3月末現在で国内公募株式投信の全5465本を対象として、過去1年間の損益比率を調べると、全体の93.81%にあたる4926本がプラスのリターンになりました。ちょうど1年前の2020年3月末は、いわゆる「コロナショック」で世界の株価が急落し、誰もが将来に不安を感じていた時期です。その先行きが見通せない真っ暗闇の中で、前向きに投資ができた人のほとんどが「儲かった」という結果を手にしました。

 もちろん、100%プラスではないので、コロナショックの大底で投資をした場合でもマイナスの結果になった投信もあります。「日本株3.8倍ベア」「国内REITダブル・ベア」「日経ダブルインバース」など、コロナショックで下落した株価が、そこからさらに下落するという見通しで投資した商品は、最大で88.32%のマイナスリターンとなりました。反対に最もリターンが大きかったのは「日本株4.3倍ブル」など投資元本を何倍にも膨らませて日本株指数に投資する投信で、最大で5倍超のリターンを得ています。

 2020年3月はコロナショックという歴史的な急落場面でしたので、このタイミングだけを見ては判断を誤るといえるでしょう。2021年3月末を起点にして、過去3年、過去5年、過去10年について、全ファンドの損益比率を調べました。加えて、同様に2017年3月末まで過去5年間の投資期間別での損益比率を調べてみました。

 その結果、2020年3月末を起点とした損益比率のみは、他と比較して異常な値となっています。たとえば、20年3月末起点では過去1年間でプラスになった投信は、わずか9.76%の510本でした。全5224本のうち4714本はマイナスのリターンですから、20年3月の時点では「過去1年間に何を買っていても損をしている」という状況でした。プラスのリターンになっていたのは「ダブル・ベア」など値下がりで大きなリターンが得られるファンドと「ゴールド・ファンド」など純金を投資対象にした投信くらいでした。

 ただ、20年3月末であっても、過去10年間保有している場合は91.99%のファンドがプラスのリターンを維持していました。それまでに積み上げていたリターンの大半を吐き出してしまったでしょうが、それでも投資元本を割らずに維持していた投信が9割を超えていたのです。

 過去5年間の運用成績を振り返っても過去1年間の投資成果だけをみれば、21年3月末の93.81%のプラスリターンは極端ですが、19年3月末は56.63%、2017年3月末は79.01%などとまちまちの成績になっています。ところが、5年以上保有していると、プラスのリターンになる比率は、概ね80%を超える水準になります。2020年3月期の成績をイレギュラーだからと切り捨てるわけにもいきませんが、20年3月末基準でも10年ではプラスの比率が90%を超えます。

 10年間にわたって保有すると80%以上のファンドで損益がプラスになっているという結果は、投信を購入する際のひとつの安心材料になるのではないでしょうか。損益のプラス比率が50%程度であれば、コイントスの裏表で勝敗が決まる賭け事のようですが、80%を超える勝率は、「賭け事」とは一線を画しているように感じられますがいかがでしょう? 

 さらに、詳しく見ていけば、1年間のマイナス比率が大きかった20年3月末でマイナスの成績になった4714本のうち44%に相当する2082本の損失率は10%未満でした。1年間に半額以下になってしまう下落は「レバレッジ型」など40本しかありません。「投信は元本保証がない」は事実ですが、2017年3月末から21年3月末までの5年間のデータを実際に調べると、10年以上にわたって保有していれば、80%以上の投信がプラスリターンをあげています。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ということわざがありますが、怖い怖いと思うから怖いのであって、実際には恐怖するほど、損失が出てしまうようなことは少ないといえるのではないでしょうか。

 ただ、この検証の結果は、投信の運用コストである信託報酬は控除していますが、分配金は非課税で再投資していますので、毎月分配型など分配金を払い出している方の投資成績とは異なります。また、投信口座(特定口座・源泉あり)では、「分配金再投資コース」を選択していても、分配金からは約20%が税金として差し引かれた額が再投資に回されます。今回の検証結果は、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの非課税口座を使って分配金を再投資した際の運用成績に相当します。

 また、購入時手数料は考慮していません。たとえば、購入時に2%の手数料がかかる場合は、10万円投資すると、スタート時の正味の投資金額は9万8000円になります。その場合は、1年間でたとえ1%のリターンが出ても、購入時の手数料は取り戻せていないため、実質的にはマイナスのリターンですので注意が必要です。しかし、購入時手数料は購入時だけにかかりますので、保有期間が1年を超えて長期になると、その負担は徐々に小さくなっていきます。近年は、購入時手数料が無料の投信も増え、また、ネット専業証券や銀行等のオンライン口座では投信の販売において購入時手数料は取らないというところもあります。可能であれば、購入時手数料が不要の窓口で投信を購入することを検討してください。(グラフは、過去5年間の全ての公募株式投資信託の投資期間別プラス収益の比率の推移)