youtube fund_beginer fund_search fund_look

ファンドニュース

インデックスファンドの3倍に相当するアクティブファンドのコストは正当か?=投資信託のコストとベネフィット(2)

2021/05/18 19:00

 「インデックス投資家」という言葉がある。「投資信託を使った資産形成は、インデックスファンドを使って行うべし」と主張する人たちのことだ。投信ブロガーとして著名な人たちと重なることも多い。つまり、投資信託について調べ、かつ、活用していくと、「インデックスファンドを使った運用で十分に資産形成はできる。しかも、負担するコストは低く合理的だ」という意見に傾いていくようだ。実際に、既存の投信のパフォーマンスとコストを調べていくと、平均値を見る限りにおいて、インデックス投資家の主張は正しいように感じられる。ただ、アクティブファンドには、平均値では測れない魅力があることも事実だ。投資信託のコストとベネフィットの関係を、コストとパフォーマンスとの関係で検証してみる。

 国内外の株式や債券という代表的な投資資産と代表的なインデックスを用いて、アクティブファンドとパッシブファンド(インデックスファンド)について2021年4月末現在で、コスト(平均信託報酬率)とパフォーマンス(平均トータルリターン)の関係を調べた。一見して明らかなのは、パッシブとアクティブの間での平均信託報酬率の差だ。国内株式の場合、パッシブの平均が年0.40%(税込み)に対して、アクティブは同1.41%であり、信託報酬率には3倍以上の開きがある。ほぼ同様のことが、先進国株式や先進国債券を対象としたファンド群にもいえる。もっとも運用コストの差が小さいのは国内債券だが、それでも6割以上の開きがある。

 さらに、各カテゴリーの平均トータルリターンを調べると、概ねアクティブファンドよりもパッシブファンドの方が優秀なことがわかる。たとえば、国内株式で「日経225連動型」と同じカテゴリーの「国内大型グロース」に属するアクティブファンドの平均トータルリターンは、10年(年率)で11.92%で、パッシブファンドの12.87%を下回る。5年(年率)でも1年でもインデックスファンドに投資していた方が投資成績は良かったということになる。この傾向は、先進国株式や先進国債券といったアクティブファンドの信託報酬率が高いファンド群に共通している。1年、5年(年率)、10年(年率)の全ての期間でアクティブファンドのパフォーマンスがインデックスを上回ったのは国内債券だけだ。トータルリターンは、「コスト控除後」のリターンである。

 もっとも、このパフォーマンスについては、インデックスファンドは、平均トータルリターンが概ね全てのファンドのリターンに相当するが、アクティブファンドの場合は、平均値を挟んで様々な成績がある。たとえば、「国内大型グロース」のアクティブファンドの場合、10年(年率)は、19.91%から9.07%の間で散らばっている。トップの運用成績はパッシブの平均である12.87%よりもはるかに高いリターンだ。最悪の成績である9.07%はパッシブと比較すると相当見劣りする。このように、アクティブファンドはパッシブファンドでは到底得ることができない高いリターンが得られる可能性がある。

 「信託報酬」というコストは、運用を委託することの対価になる。投信を保有する期間は、ずっとかかり続けるコストになる。このコストに対するベネフィットは、パッシブ、アクティブを問わずにいえることは、ファンドにすることによって、1万円程度の少額から分散投資ができることだ。「日経225連動型」のインデックスファンドは、組入筆頭銘柄のファーストリテイリングに、株式として投資しようとすると、800万円以上の資金が必要になる。このフォーストリテイリングを含めた225銘柄にパッケージで投資することと同等の効果を1万円から実行できる(より小さい単位で投資できる場合もある)。そして、運用の経過について、定期的にレポートを出してくれる。

 これに加えて、アクティブファンドの場合は、それぞれのファンドを設定している運用会社が運用チームを作って、企業の経営状況を調べ、また、投資タイミングを測って運用している。結果的に、運用成績がインデックスを下回ることもあるが、調査・分析して運用の指図をするということは実行されている。アクティブファンドの信託報酬がインデックスを上回るのは、この運用の手間がかかるということが大きな理由だ。したがって、アクティブファンドに投資する場合は、どのファンドマネージャー(運用チーム)のどのような運用方針を選ぶかという投資家の判断が非常に重要になる。運用コストはパッシブに対して高いが、そのコストに見合う努力は、ファンドマネージャーは全力で行っているのだ。投資したアクティブファンドのパフォーマンスがインデックスファンドを下回った場合、そのファンドを選んだ投資家の「見る目がなかった」というしかない。

 もっとも、アクティブファンドは、「インデックスを上回るパフォーマンスをめざす」ということが目的の1つであるため、インデックスに負ける成績しか残せないファンドは、自ずと投資家からの信頼を失い、ファンドを維持することができなくなってしまうだろう。投資家が長期投資を考えていても、投資家の期待を裏切り続けるアクティブファンドは、長期に存続することが難しくなってしまう。この途中償還リスクも、アクティブファンドを選択した投資家が負うコストの1つだ。

 ファンドの運用コストはパフォーマンスには紐づいていない。パフォーマンスを決定するのは、投資家の判断だ。過去10年間の投資環境は、「国内株式」「先進国株式」「国内REIT」に投資するファンド群がそろって年率2ケタのトータルリターンをあげることができた、リスク資産にとって強い追い風の10年間だったといえる。この間は、投信を選ばずに「預貯金等を継続していた」ことが間違った判断だったといえるだろう。リスク資産のパフォーマンスは決して一定しない。一方で、投資のコストは概ね一定している。投資家は、その投資コストに見合うリターンが得られるかどうかをしっかり判断し、良く選んで投資をするようにしたい。(表は、投信のカテゴリー別のパッシブファンドとアクティブファンドの信託報酬とパフォーマンスの比較。2021年4月末時点)