youtube fund_beginer fund_search fund_look

ファンドニュース

UBSアセットの気候変動関連ファンド「クールアース」、約款変更で世界の変革を広く捉える運用方針に

2021/05/26 16:42

 UBSアセット・マネジメントの「UBS 気候変動関連グローバル成長株式ファンド(年4回決算・予想分配金提示型)愛称:クールアース」が5月21日に設定され、順調なスタートになった。「UBS 気候変動関連グローバル成長株式ファンド 愛称:クールアース」は2007年8月31日に設定され約14年の運用実績があるが、昨今の「2050年カーボン・ニュートラル(脱炭素)」に向けた世界的な取り組みの強化を受け、運用の基本方針の一部を刷新し、投資対象範囲も見直す約款変更を行って再スタートした。再スタートに合わせて、従来の年1回決算型に合わせて年4回決算型をラインナップに加えた。「新しいファンドと言っていいほどに生まれ変わった」(UBSアセット)というほど、ファンドの内容を改めた同ファンドの狙いや社会環境の変化の大きさに注目したい。

 運用方針の変更は、従来は、低炭素社会への「適応」を実現する製品・サービスを提供する「ソリューション・プロバイダー企業」に特化していたところ、今回の約款変更により、本業の事業特性が排出削減に大きく貢献している企業、サプライチェーン全体で排出削減を推し進めている企業、資本提供の側面から低炭素社会への移行を後押しする金融企業など事業活動を通じて脱炭素社会を実現する「リーディング企業」をもユニバースに加え、地球市民全員参加型という近年の環境問題への取り組みをより反映したものにしたという。投資対象範囲が大きく広がったことによって、「2050年カーボン・ニュートラル」をめざす、世界的な大きな運動全体を捉えることが可能になった。

 約款変更による変化は、運用ポートフォリオにも明確に表れている。「クールアース」の新しい約款と同等の運用戦略であるUBSグループの「アクティブ・クライメート・アウェア株式戦略」の2021年3月末の組入上位銘柄は、その筆頭に、新しく投資対象になった「リーディング企業」である米国の「マイクロソフト」が入り、同じくリーディング企業である「ユニリーバ」(米)、「ボヤ・フィナンシャル」(米)、日本の「武田薬品」といった4銘柄が上位10銘柄に入る。その他は、「ソリューション・プロバイダー企業」である「スペクトリス」(英)、「NEC」(日)、「ダナハー」(米)、「ローパー・テクノロジーズ」(米)や水処理関連の「エコラボ」(米)、「アメリカン・ウォーター・ワークス」(米)になる。従来は、後者の銘柄群だけを投資対象としていたところへ、前者の「リーディング企業」を組み合わせたポートフォリオになった。「アクティブ・クライメート・アウェア株式戦略」は2020年6月の設定以来、世界株式の代表的なインデックスであるMSCIオールカントリー・ワールド・インデックスをアウトパフォームする運用実績を残している。

 現在、世界的な広まりを見せているESG(環境・社会・企業統治)投資の意向を反映して、環境や社会にポジティブな影響を与える企業への選別投資が強まっている。たとえば、同じエネルギーセクターでも、水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギーを電源とした企業の株価は過去3年間に株価が2倍〜3倍になるほど大幅に値上がりしているものの、火力や原子力を電源とする企業の株価は50%減、73%減など大きく値下がりしている。

 また、株価指数でも、先進国株式を代表する「MSCIワールド」に対し、気候変動問題に積極的に取り組む企業で構成された「MSCIワールド・クライメート・チェンジESGセレクト指数」はパフォーマンスで上回り、年々パフォーマンスの差が開いていく傾向にある。さらに、モーニングスターが分類する低炭素を投資判断で考慮する世界の株式ファンド「Worldwide Open End,Fund Low Carbon Designation」に分類されるファンドの残高は、過去10年間で約3倍になるほど、投資資金も「低炭素」を選好している。

 このような投資選好が起こる背景にあるのは、世界各国で進む気候変動問題の解決に向けた取り組みの強化だ。日本、米国、EUは、2050年までのカーボン・ニュートラルを目指すと明言し、中国も「2060年カーボン・ニュートラル」を表明している。2017年現在で世界の二酸化炭素排出量割合で28%を占めてトップだった中国と、同15%で第2位だった米国が足並みを揃えるようにカーボン・ニュートラルをめざすと宣言した効果は、世界の環境関連ビジネスの拡大に弾みをつけるものと期待される。

 「クールアース」が当初設定された2007年当時は、太陽光発電や風力発電などクリーンエネルギーへの注目が高まっていた。当時も、化石燃料を使った発電による環境破壊が問題視され、国連が2006年に発表した「国連責任投資原則(PRI)」への関心も高まりつつあった。その後、2015年に国連では「持続可能な開発目標(SDGs)」を設定し、国際的な温暖化対策の枠組みである「パリ協定」も策定されて「産業革命前から今世紀末までの気温上昇を1.5度以下に抑える」という具体的な目標が決まったことで、国際的な気候変動対策が加速した。2020年末から21年年初に出てきた日米の「2050年カーボン・ニュートラル宣言」は、政策投資が上乗せされることで、これまでの動きを一段と後押しするものになると期待される。「クールアース」の約款変更は、2007年当時と現在との社会環境の変化を反映したものといえる。

 2007年8月に設定された「クールアース」は、その後、2008年のリーマンショックの株価急落の影響等もあって、一時は、基準価額が3000円台に低迷したが、この4月末にちょうど10000円台を回復したところでの再スタートとなった。5月25日現在の基準価額は、年1回決算の「クールアース」が1万134円、新規設定の「クールアース(年4回・予想分配型)」が1万91円になっている。新約款のもと、世界の変革の動きを映して、どのようなパフォーマンスをみせるのか注目したい。(グラフは、「クールアース」の類似ファンドのパフォーマンスの推移)