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ファンドニュース

ESG株式とグリーンボンドで「脱炭素」を捉える、「みらいEarth」はカテゴリー最上位の運用成績

2021/06/10 16:42

 「脱炭素」をめざして世界各国で政府主導の大型投資計画が策定され、11月に開催されるCOP26(気候変動枠組み条約第26回締約国会議)が、各国の政策発表の舞台になると目されている。巨額なグリーン投資を動かす資金調達手段としてのグリーンボンドやサステナビリティボンドの発行は一段と拡大する見通しだ。そして、環境関連技術開発や事業に取り組む企業のビジネスチャンスも拡大する。このような、投資と技術開発が同時に進む環境は、「株式」と「債券」を組み合わせたバランスファンドに活躍の期待が高まるのではないだろうか。大和アセットマネジメントが運用する「クリーンテック株式&グリーンボンド(予想分配金)『愛称:みらいEarth分配型』」は5月末時点で「バランス・安定成長」カテゴリーでトータルリターン第2位の好成績になった。広がるESG投資の新しいスタイルとしてバランスファンドにも注目していきたい。

 脱炭素をめざした投資としては、欧州では既に10年間で総額1兆ユーロ(約120兆円)の「グリーンディール投資計画」を発表している。また、米国でもバイデン大統領が4年間で2兆ドル(約220兆円)の投資を公約に掲げた。日本では、2兆円規模の基金を設立して環境技術開発を後押しする構想が出ているが、今後、各国で「兆円単位」の大規模な投資計画が発表されるものと考えられる。

 このような世界各国の環境投資を背景に、調達資金の使途をグリーンプロジェクト(再生可能エネルギー、エネルギーの効率化、汚染防止など)に限定するグリーンボンド、また、調達資金の全てをグリーンプロジェクトやソーシャルプロジェクト(基本的インフラ整備、低価格住宅、飲料水、衛生設備など)に限定するサステナビリティボンドなどの発行が急増している。世界のグリーンボンド発行額は、環境省が運営するグリーンファイナンスポータルによると、2018年の1719億ドル(18.82兆円)から、19年に2675億ドル(前年比55.61%増)に急増し、コロナショックで世界の経済が分断された中でも20年には2699億ドル(同0.90%増)と前年並みに発行された。サステナビリティボンドは、18年の179億ドル(約1.96兆円)が19年には410億ドルに2.3倍に急増し、20年には1392億ドル(約15.24兆円)と前年比3.4倍に拡大した。ソーシャルボンドが20年に急拡大したのは、発行の目的に「新型コロナウイルス感染拡大への対応」が加わったためだ。

 このような急拡大するESG債市場について、シュローダーグループ企業でインパクト投資のスペシャリストであるブルーオーチャードのヘッド・オブ・パブリック・デット運用のエヴァリスト・ヴェルシェア氏は、「様々な種類のESG債券が投資可能となる中で投資によるインパクトを実現していくためには、慎重に投資対象を見極める選択眼を持つことが重要」とみている。グリーンボンドやソーシャルボンドは、環境・社会問題対応へのコミットメントを謳っているが、その実質を伴わない「グリーンウォッシュ(うわべだけ環境保護に熱心にみせること)」が横行していることに警鐘を鳴らす。「これまでグリーンボンドの多くは国による発行となっており、社債で行われるような、同一基準に基づく比較や精査が行われてこなかった」ため、債券を評価する仕組みが不十分なままであるという指摘だ。

 また、投資環境が未整備な市場であるだけに、ESG債について確かな分析を行うことができれば、そこから得られる成果も期待できる。エヴァリスト・ヴェルシェア氏は、「ESG債を評価するにあたって一番重要な要素は、債券発行によって調達された資金の活用によるインパクトの大きさである」とし、「債券の枠組み、環境・社会関連目標、体系的なモニタリングについて詳細に分析を実施し、インパクトの効果を見積もることが重要」と語る。そして、「綿密なインパクト分析を実施し、分散効果の高い頑健なポートフォリオ構築を行うことで、ESG債のメリットを最大限に享受できる」としている。

 一方、現実的に、ESG項目を銘柄選定等に活用して運用しているファンドのパフォーマンスをみると、ESG債だけに投資する債券ファンドでは、パフォーマンスにやや物足りなさが感じられる。たとえば、日興アセットマネジメントの「グリーン世銀債ファンド」は、2010年6月の設定で10年以上の歴史のあるファンドだが、10年来のトータルリターンをみると、「国際債券・エマージング・複数国・為替ヘッジなし」というカテゴリー平均を下回り、10年(年率)1.43%という水準だ。

 ESG債にESG株を加えたバランス運用型のファンドになると、リターンの水準はグンと上がる。「みらいEarth分配型」は、グリーンテック関連株式とグリーンボンドを半々に組み入れたファンドで、実質的な運用はアクサ・インベストメント・マネージャーズが行っている。2020年2月18日の設定で、運用期間はさほど長くないが、5月末時点の過去1年間のトータルリターンは30.62%で、カテゴリー(バランス・安定成長)平均の14.94%を2倍超上回り、カテゴリーに属する328本の中で第2位の成績になっている。そして、運用の効率性を示すシャープレシオは4.04で第1位だ。また、同ファンドで分配金を極力払い出さない「資産成長型」は、トータルリターンでカテゴリー第3位、シャープレシオも第3位になっている。

 このファンドのように、ESG関連株式とグリーンボンド等を組み合わせてバランス運用するファンドが少しずつ増えている。たとえば、SBIアセットマネジメントの「SBIグローバルESGバランス・ファンド『愛称:グリーンインパクト』」(為替ヘッジあり)/(為替ヘッジなし)、野村アセットマネジメントの「グローバルESGバランス『愛称:ブルーアース』」(隔月分配型)(年2回決算型)/(為替ヘッジあり)(為替ヘッジなし)、三菱UFJ国際投信の「三菱UFJ DC世界ESGバランスファンド『愛称:ソーシャル・インパクト』」などが設定・運用されている。ESG投資としては、株式を主たる投資対象としたファンドが数多く設定・運用されているが、今後の社会的なニーズを考えるとグリーンボンド等の発行は一層活発になっていくと考えられ、債券にも併せて投資するというファンドにも成長が期待できる。「2020年カーボンニュートラル」に向けて大きく動き出した世界の潮流を捉える1つの手段として注目したい。

(グラフは、クリーンテック株式&グリーンボンド(予想分配金) 「愛称:みらいEarth分配型」のパフォーマンスの推移)