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ファンドニュース

世界経済は回復から拡大局面へ、「ミッション・トランジション」で分散投資戦略の転換も=HSBCの21年下期展望

2021/07/09 18:51

 HSBC投信は7月9日、2021年後半のグローバル経済および金融市場の見通しについてオンラインセミナーを開催した。HSBCアセットマネジメントのグローバル・チーフ・ストラテジストであるジョー・リトル氏は、「現在は、経済サイクルが変わるポイントにある。世界経済は回復局面から拡大局面にシフトしようとしている。また、中期的には、『ミッション・エコノミー』への移行(ミッション・トランジション)という、政府の役割が大きくなる経済への移行が進むと考えられ、その下では国債の有効性が減滅し、国債などに代わる分散投資の手段を考える必要がある」と今後を展望した。

 リトル氏は、世界経済の現在のポジションを、「回復局面から拡大局面への移行期」と捉えているが、国や地域によってそのステージは異なることに注意が必要だと語った。たとえば、中国は既に経済拡大期に入っており、経済拡大期に特徴的な金融の正常化へ向けた金融引き締めも検討される段階にある。このような先陣グループには、米国やオーストラリアも含まれるとした。日本や英国などは、これに次ぐステージで回復局面の最終局面の近辺にいる。ASEANやインドなどの南アジアや新興国、フロンティア地域などは、依然として回復ステージにいるとした。

 この「回復」から「拡大」への変化を促す要素は、5つのポイントで考えられ、「経済サイクルのキャッチアップ余地」「コロナ感染状況」「ワクチン接種の進展」「金融政策」「財政政策」を複合的に見て判断する必要があるとした。たとえば、米国は経済サイクルのキャッチアップの余地は限定的で、コロナ感染はコントロール下にあり、ワクチン接種も進んでいるが、日本は経済キャッチアップも限定的でコロナのコントロールはできているものの、ワクチン接種については米英に後れを取っている。新興国やフロンティア諸国は、経済サイクルのキャッチアップ余地は大きいものの、コロナ感染の管理やワクチン接種で問題があり、にもかかわらず、政策の余地が小さいなど、回復から拡大への移行には時間がかかるとした。

 そして、経済拡大局面では、回復局面では企業利益は政策支援にも後押しされて大幅に、かつ、急速に回復するものの、経済拡大局面に入ると、企業業績の伸び率も鈍化する傾向があるとして「株式は現実的な成長期待に、将来の期待リターンを修正する必要がある」とした。HSBCアセットマネジメントの下期展望レポートでは、株式市場については、「バリュー株投資が引き続き合理的と考えられ、また、アジア株式がリスクとリターンの関係からみて魅力がある」と展望している。

 一方、米国など先進国で懸念されているインフレ(物価高)の度合いの高まりについては、「一時的なもので第4四半期以降にインフレ率は落ち着き、アメリカでは23年〜24年頃には年率2%〜3%程度に収まることが予想される。インフレ率が2%以下から2%を超えることへの変化は大きいものの、米国の長期金利が2%を超えて上がり続けることを予想することは難しい。基本的に低金利状況が続くだろう」(リトル氏)と見通していた。

 さらに、中期的な展望として、世界経済は、温暖化対策や包摂的経済成長という考え方に基づいて、国が経済運営に積極的に関わっていく「ミッション・エコノミー」への転換が予測されるとした。このような経済環境になると、企業利益の成長は期待しにくく、また、「伝統的な株式と債券のバランス運用で、国債等のリスクヘッジ効果が期待しにくくなる。オルタナティブ(代替)資産を組み入れた新たなアセットアロケーションを考える必要がある」と語った。

 この代替資産として注目できるのは、「インフラデット(魅力的な利回りがあり、クレジットの質が高い)」、「自然資本などのコモディティ」、「人民元建て債券やアジア・ハイ・イールドなどアジア債券」などを紹介していた。この自然資本については、森林などの土地などがあり、「土地は希少な資源であるとともに、カーボンオフセットにも有効」と語っていた。(写真は、オルタナティブ投資のイメージ。イメージ写真提供:123RF)