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ファンドニュース

社会的課題の解決と投資リターンの両立、三井住友DSアセット「Better World」がめざす未来

2021/07/28 11:06

 三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)」が8月26日に運用開始から5周年を迎える。同ファンドは、特に、2020年3月のコロナ・ショックからの立ち直り局面で目覚ましいパフォーマンスを見せ、社会的にも注目度が高まった「SDGs(持続可能な開発目標)」と親和性の高い投資テーマを取り上げる代表的なファンドと意識されるようになってきた。同ファンドの特徴と魅力について三井住友DSアセットマネジメントのオンラインマーケティング室長の今井拓見氏とグローバルパートナー運用部シニアマネージャーの高橋陽平氏に聞いた。

 ――ファンドの特徴は?

今井 このファンドは2016年8月26日の設定で、今年8月でちょうど5周年を迎えます。設定した当初は「SDGs」という言葉も一般的ではなく、「インパクト投資」という考え方も、ほとんど知られていませんでした。

 販売会社もなかなか広がらなかったのですが、2018年くらいからは、「SDGs」という言葉も認知され、金融業界団体である日本証券業協会や銀行協会がSDGsに取り組むことを宣言、販売会社様の役職員の方の間でもSDGsを示すバッジをされている方が増えました。金融業界においてSDGsが浸透してきたことも追い風となり、ファンドのコンセプトとしっかりとした運用プロセスをご評価いただき、現在では金融グループの枠を超えて50社近い販売会社様にお取扱い頂いています。投資リターンの獲得も目指すESG投資の先駆けとして、代表的なインパクト投資ファンドになったと思っています。

高橋 「インパクト投資」という用語は、2007年にロックフェラー財団の主導のもとに開催された国際会議で誕生したもので、金銭的なリターンの獲得と、地球環境や社会経済システムに対するポジティブなインパクトを追求する投資行動として一般的に用いられるようになりました。それまで、ポジティブなインパクトを与えるという点では、一部の篤志家や慈善事業家によって経済的なリターンを求めない限定的な慈善投資活動が主流でしたが、2006年に国連が提唱した責任投資原則が転機となり、その後のリーマンショックの反省を経て、インパクト投資は上場株式市場や社債市場などのパブリック・マーケットに広がっていきました。そうした流れの中、当ファンドの運用戦略はSDGsが国連で採択された2015年に運用を開始し、翌2016年に国内公募投信として当ファンドが設定されました。国内におけるインパクト投資ファンドとしては相対的に長い歴史を持つファンドとなっております。

 よくESG投資とインパクト投資の違いについて質問を受けるのですが、これには明確な違いがあると考えています。インパクト投資は社会的課題の解決に貢献している企業群から投資機会を見出すというアプローチであるため、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して投資するESG投資とは明確に異なります。つまり、インパクト投資では、投資対象企業に必ずしも高いESGスコアを求めてはいません。

 例えば、グローバルに展開する某コーヒーチェーンは、コーヒー豆の採取に児童の労働力を使っていない点や、ストローをいち早く紙製に変えることで環境に配慮している点でESGスコアが高い企業として知られていますが、社会的課題を積極的に解決しているのかというと、そこには疑問符が付きます。水効率の改善によって水不足の解消に寄与したり、新しい技術によって農業や畜産にイノベーションを起こし、栄養不足の解決に貢献するなど、今までの不便や貧困など、社会が抱える様々な課題の解決にポジティブなインパクトを与える企業への投資機会を追求するのがインパクト投資です。

 当ファンドでは、こうしたインパクト投資を高い透明性をもって実践するために、解決すべき社会的課題を11個の投資テーマとして設定し、各投資テーマに関連する企業を3つの基準で選定しています。

 まず、投資テーマについては、「衣食住の確保」、「生活の質向上」、「環境問題」と大きく3つの分野に分け、分野ごとに3〜4の個別投資テーマを設けることで、合計11個の投資テーマを設定しています。

 投資ユニバースである全世界の上場株式約10,000銘柄は、この投資テーマに基づいて次の3つの基準でスクリーニングされ、最終的には500銘柄程度まで絞り込まれたインパクト投資ユニバース(投資銘柄候補)が作られます。

 基準の1番目は「中核事業基準」です。この基準は、投資対象企業にインパクト事業への高い集中度、事業比率を要求するもので、テーマに沿ったインパクト活動が事業活動の大半(50%以上)を占めることが条件となっています。

 2番目は、「付加的インパクト基準」です。この基準は、投資対象企業におけるインパクト事業の付加価値・参入障壁の有無を問うもので、他の手段では簡単に満たすことの出来ない社会的ニーズを満たすことに取り組む企業であることを要求しています。たとえ課題解決に寄与するとしても、公的サービスや慈善事業、競合他社に簡単に取って代わられるような事業活動は対象外となります。確固たる付加価値や参入障壁は、企業価値の向上に必要不可欠だと考えるためです。

 3番目は、「測定基準」です。この基準は、投資対象企業が与える社会的インパクトが定量的に計測可能であることを要求するものです。例として、投資対象企業のインパクト事業によるCO2の排出削減量、手ごろな価格帯の住宅提供戸数、などが挙げられます。

 こうした厳しい基準を通過した企業からなるインパクト投資ユニバースは、相対的に中小型の高成長企業が多く含まれるため、株価の変動性が高くなる傾向があります。つまり、高度なアクティブ運用能力が求められる投資ユニバースであると言えるでしょう。その後は成長性や株価上昇余地、内包するリスクなどのファンダメンタル分析を通じて、60〜70銘柄のポートフォリオが構築されます。

 ――設定から5年目を迎えていますが、直近1年間のパフォーマンスが極めて優れているのは、何か理由がありますか?

高橋 先を見据えて運用している当ファンドは、コロナ後に非常に良いパフォーマンスを出していると思います。当ファンドを設定した2016年以降の株式市場では、極めて米国の大型株が強い環境が続いていました。それが、コロナ後の環境では、世の中の流れが、それまでとは全く違うものとなりました。パンデミックがあぶり出した地域格差、あるいは、脱炭素社会への主要国のコミットメントなど、SDGsと親和性の高い投資テーマに着目するファンドだからこそ、今後のパフォーマンスにぜひ期待頂きたいと考えています。純度の高いインパクト投資にこだわってきた当ファンドが、大きく羽ばたける環境が整ってきました。

 ――ウエリントンの運用力は?

高橋 ウエリントン社はボストンを拠点とする、米国で最も歴史のある大手独立系運用会社の1社であり、現在国連PRI(責任投資原則)のボードメンバー(理事)を輩出している2社のうちの1社です。純度の高いインパクト投資の実践にあたっては、ファンダメンタルズと社会的インパクトの分析を高いレベルで両立させる必要があり、リサーチの規模と質、そして社内のコラボレーションが要求されます。同社はパフォーマンスに対する強いコミットメントはもちろんのこと、社内コラボレーションを重視する企業風土に加え、世界中に配置されているグローバル産業調査アナリストや、サスティナブル投資の専門チームを擁しており、今後の可能性が未知数であるインパクト投資への挑戦に必要な戦力を十分に備えていると言えます。

 また、ウエリントン社はパートナーシップ制を取っており、短期間での利益を求めるような株主のプレッシャーを受けず、全てのリソースを運用パフォーマンスの向上に注ぎ込んでいます。コロナ・ショック後の大幅なアウトパフォームは、同社の運用力の証左であると言えるでしょう。

 ――8月には当ファンドを中心に据えたWebセミナーを計画されているということですが?

今井 当社では「Action 2030」と題し、今年度末までにWebセミナーをシリーズで開催します。セミナーでは2030年の未来を見据え、投資家の皆様が一歩踏み出すためのヒントとなるよう様々なテーマを取り上げていく予定です。その第1弾として、今年設定5周年を迎える「Better World」を取り上げます。

 当ファンドは、時代を先取りする形で5年前に設定しましたが、設定時には想像もしていなかった新型コロナウイルスの感染拡大もあり、SDGsや脱炭素に代表されるように社会の変化が大きく加速する結果となりました。そのような環境下、インパクト投資への注目度の高まりを日々実感していることから、第1弾のテーマとさせて頂きました。

 セミナーでは、当ファンドが見据える「2030年」の世界が、どのような未来になっていくのかを著名なゲストを迎え皆様と一緒に考える内容となっています。まだ投資に一歩踏み出せていない方でも、10年先の未来、また、子どもたちの世代が中心になっている未来が、どのような世界になっているのかは、きっと興味を持っていただけると思います。このセミナーが、インパクト投資についての理解を深めるきっかけとなり、皆さまの資産形成の一助になれば幸いです。ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

 当社は、お客様のQuality of Lifeに貢献する最高の資産運用会社を目指しています。そして、その手段の1つが、アクティブ運用だと考えています。社会の変化を捉えながらサスティナビリティを重視したインパクト投資をはじめ、アクティブファンドを通じた投資機会を提供して参ります。(グラフは、「世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)」のパフォーマンス推移)