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ファンドニュース

外国債券ファンドを持っていますか? 内外4資産別の運用成績に見る外国債券の魅力

2021/08/19 18:45

 投資信託の新設ファンドについて取材を進めると、ESG(環境・社会・企業統治)投資、または、脱炭素をテーマにしたファンドが増えている他、「米国ハイテク株ファンド一辺倒からの脱却」をテーマにしたファンド企画も目立っている。ただ、より大きな視点で過去のパフォーマンスを振り返ると、「外国債券」のパフォーマンスの良さが際立っていることがわかる。余りにも集中した米国ハイテク企業への投資の反省から、改めて分散投資の必要性が強調されるようになっているが、株式のポートフォリオの見直しだけにとどまらず、資産全体を見直してみると「債券」への投資比率が極端に小さくなってはいないだろうか?

 国内公募投信のパフォーマンスを表すモーニングスターインデックスを使って、「国内株式型」「国際株式型」「国内債券型」「国際債券型」の4つのカテゴリーの2000年1月以来のパフォーマンスを調べると、「国際債券型」の安定した上昇が際立っている。2021年7月末まで過去21年間の結果だけをみれば、「国際株式型」に投資していた方が、より良い結果になったのだが、「国際株式型」は2000年代前半のITバブルの崩壊や2008年のリーマンショックなどの際に元本を大きく割り込む場面があった。それと比較すると、終始一貫して上昇している「国際債券型」の安定感が心強い。

 トータルリターンでは、「国際債券型」は2000年1月から21年7月まで2.51倍であり、「国際株式型」の3.73倍には負けているものの、「国内株式型」の1.72倍を大きく上回っている。年率換算利回りは、「国際株式型」の6.69%、「国内株式型」の3.71%に対して、「国際債券型」は4.37%だった。しかも、「国際株式型」のパフォーマンスは、2020年3月のコロナショック以降の短期間な上昇による効果が極めて大きい。2018年1月までは、「国際債券型」は「国際株式型」を上回るパフォーマンスであり、2020年2月末までは「国際株式型」にそん色がない成績だった。21年間にわたって1度も元本を割り込まなかったという安心感を加味すれば、「国際債券型」がいかに魅力的な投資対象であるかがわかる。

 まして、過去1年余りにわたって急速に上昇した「国際株式型」に「買われ過ぎ(急速に値上がりし過ぎ、実力以上に値段が高いなど)」の見方が台頭している時だけに、「国際債券型」の安定ぶりが好もしく見える。

 ただ、世界的に超低金利の環境で、今後は米国がテーパリング(量的緩和の縮小)から、利上げを模索するタイミングになっている。米国が金融正常化を進めれば、欧州や日本も追随することをめざすだろう。この「金融正常化」は、イコールで「金利上昇」を意味する。金利の上昇は、債券価格の下落を意味し、債券運用にとっては逆風の投資環境といえる。2020年のコロナショックで世界各国が一斉に緊急利下げに動いて以来、「債券ファンド」への関心が急速に薄れたのは、「下げ切った金利は上がるしかない」という債券の投資環境悪化を映した当たり前の行動だった。

 しかし、金利上昇は債券ファンドにとって悪いことばかりではない。金利が上昇すれば、新発債の利率が上がるので、より金利収入の良い債券を購入していくことができる。また、金利上昇は全ての債券で一斉に進むわけではないので、アクティブマネージャーは市場の歪みを捉えて投資チャンスにすることもできる。実際に過去21年間を振り返っても、基本的には金利が低下していく流れだったが、リーマンショクで緊急利下げをした後や2015年以降に利上げを続けたアメリカなど金利上場局面はあった。それらを乗り越えて上昇を続けてきた「国際債券型」の運用力を評価したい。

 具体的な銘柄をみると、過去10年(年率)のトータルリターンが高いファンドは、「野村 グローバルCB投信(アジア通貨)毎月」(野村アセットマネジメント)や「MHAM USインカム毎月コース(H無)」(アセットマネジメントOne)などが成績上位にある。10年(年率)は10.21%と9.96%だ。残高が約5000億円もある「フィデリティ・USハイ・イールドファンド」(フィデリティ投信)も10年(年率)で9.06%の利回りがある。トータルリターンの上位ファンドは、国債などに投資するファンドではなく、転換社債やハイ・イールド債など、債券の中でも株式に性格が近い債券を主要な投資対象にしている。

 資産形成は、大きな価格下落を経験することなく安定した成長を実現したものの方が、結果的に高いリターンを残すものだ。一時的なパフォーマンスに目を奪われて値動きの良い商品ばかりを見ていると「山高ければ谷深し」といわれる長い低迷期に付き合わされることにもなりかねない。ここ数年間のアメリカ中心のIT株式ファンドの大きな成長によって、「保有しているファンドを見直してみるとハイテク株ファンドばかりになっている」という人もいるのではないだろうか。米国が金融政策をいよいよ見直し始め、金融政策の転換期を迎えており、運用ポートフォリオを見直すタイミングともいえる。株式一辺倒になってしまっている場合は、債券も含めたバランスを考えてみたい。(グラフは、モーニングスターインデックス「国内株式型」「国際株式型」「国内債券型」「国際債券型」の2000年1月以来のパフォーマンス推移)