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ファンドニュース

勝ち残る国内株式ファンドの条件、厳選型アクティブファンドに米国株式を凌駕する力

2021/08/24 18:39

 米中が対立し、それぞれが自国製品を優先して使うブロック経済化を進めつつある中、最もマイナスの影響を受けるのは日本ではないかという見方がある。実際に、ここ数年の日米中3カ国の株価の動きを振り返ると、「日本株は株価上昇時には米国株の上昇率に及ばず、中国株の下落時には連動するように下落する」という動きに見える。米中対立は、株価の面では、これまでは米国の圧勝になっているが、日本の株価は、ほとんど中国株と変わらない水準になっている。ただし、日本株のアクティブファンドでは、米国株に負けないパフォーマンスを残しているファンドも存在する。米中摩擦が激化した過去3年間の株価のパフォーマンスを振り返って、「勝ち残る国内株式ファンドの条件」を考えてみた。
 
 米中貿易摩擦が目に見える形で先鋭化したのは、2018年7月に米国が産業機械など中国からの輸入品約340億ドルに対して25%の関税を上乗せしたことに始まる。この米国の措置に中国がすぐさま反応し、米国から輸入する大豆や自動車など約340億ドル分に25%の関税上乗せを発表し、その後、2019年9月まで4回にわたって、互いに関税の引き上げ合戦を繰り広げた。結果的に、米国は中国からの輸入額の7割近くに相当する合計3600億ドル分に上乗せ関税をかけるに至った。

 この上乗せ関税合戦開始前の18年6月末を起点とすると、2021年7月末までに「MSCI北米(配当込み、円ベース)」は72.17%上昇したが、同時期に「MSCI中国(配当込み、円ベース)」は19.72%しか上昇していない。この間には、コロナショックによる株価の大幅安とその後の急上昇というV字回復もはさんでいる。20年3月の下落からの株価回復局面では、21年2月末までは北米が48.39%の上昇に対し、中国は57.59%の上昇と中国が米国を上回った。しかし、21年2月以降に米国株価が一段高に進んだことと比べ、中国は大手IT企業への規制強化などの影響で株価がマイナスに転じてしまっている。ちなみに、18年6月末から21年7月末までの「MSCI日本(配当込み、円ベース)」の上昇率は23.62%で、IT大手の規制強化で株価が大幅に下落した中国株とほとんど変わらない。

 なぜ、これほど日本株のパフォーマンスが良くないのかという理由は、様々に考えられるが、ここでは日本株全体ではなく、個々のファンドで優れたパフォーマンスを挙げているファンドの共通点を調べた。優れたパフォーマンスの手掛かりにしたのは、過去1年間のトータルリターンが高いファンドの中で、モーニングスターレーティングの5ツ星を連続して獲得していること。モーニングスターレーティングは、3年以上の運用実績を5段階で評価している。5ツ星は、5段階で最高の評価であり、それを連続して獲得しているのは、高いパフォーマンスを継続する運用力があることを示している。

 1年トータルリターンの上位から、モーニングスターレーティングで5ツ星を連続して獲得しているファンドを調べると、「IPOリサーチ・オープン(愛称:リターン・エース)」(三菱UFJ国際投信)、「情報エレクトロニクスファンド」(野村アセットマネジメント)、「フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(愛称:Jテック+)」(フィデリティ投信)がピックアップされた。3ファンドともに、18年6月末から21年7月末までのトータルリターンは65%を超え、「MSCI北米(配当込み、円ベース)」に匹敵し、「TOPIX(配当込み)」の18%を大きく上回っている。ファンドの残高は、「情報エレクトロニクスファンド」と「フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド」は着実な資金流入が続いているものの、「IPOリサーチ・オープン」は資金流出基調となっている。

 3ファンドに共通しているのは、「厳選」と「情報・通信」だ。コロナ禍によって人との接触を減らし、IT技術を使ったリモートワークやEコマースなどの事業が大きく成長していることを背景に、直近1年間のトータルリターンの上位にはIT関連企業が多い。18年6月末からのトータルリターンが84%と「MSCI北米(配当込み、円ベース)」を超えた「情報エレクトロニクスファンド」は、電気機器や情報・通信業を主な投資業種として、21年7月末現在の組入れ銘柄数は36銘柄と、非常に厳選して投資している。同じく、テクノロジー関連企業に投資対象を絞った「フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド」も21年6月末時点での組入れ銘柄数は43銘柄である。

 一方、「IPOリサーチ・オープン」は、株式を公開して5年以内の株式を投資対象にしている。組入上位業種(21年7月末)は情報・通信業が36.6%でトップだが、サービス業(27.2%)、小売業(8.7%)、不動産業(6.7%)など投資対象業種は広く、かつ、組入銘柄数も87銘柄と上記の2ファンドと比較すると多い。これは、上場後間もないこともあってビジネスモデル等が発展途上ともいえ、不確実性があることを前提に投資対象を比較的広く取っているものと考えられる。

 このように成績上位の3ファンドは、投資対象を比較的狭い範囲に絞り込み、さらに企業内容が良い銘柄を選別投資するというアプローチをとっている。銘柄を絞り込む能力については、個々のファンドを運用する運用会社の調査力、そして、担当するファンドマネジャーの能力にかかってくる。運用能力の点では、「情報エレクトロニクスファンド」は1984年2月の設定から37年以上の運用実績があり、かつ、モーニングスターレーティングは直近25カ月連続で5ツ星を重ねている。「フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド」は、1999年11月の設定で、モーニングスターレーティングは20年6月から12カ月連続4ツ星で、21年6月以降は2カ月連続の5ツ星。「IPOリサーチ・オープン」は、設定が2018年4月と比較的新しいが、モーニングスターレーティングが付与され始めた21年4月から4カ月連続で5ツ星に格付けされている。

 国内株式ファンドは、身近な投資対象であり、投資環境の変化も日々の生活の中で感じ取れる投資対象であるが、日本は少子高齢化によって人口減少の経済を迎えており、今後の高い成長率は望めなくなっている。好成績を収めている情報通信はこれからの時代を切り拓く新しい産業であり、エレクトロニクス産業は国外で活躍できる企業が多い。また、IPOを実現した企業も、新しい成長分野を開拓していく企業群という特徴がある。成熟経済を迎えた日本にあっても、依然として高い成長が期待できる企業を厳選して投資するアクティブファンドであれば、米国株式ファンドに負けないパフォーマンスを挙げることも可能だ。過去の運用実績等をしっかりと確認したうえで、投資するファンドを選びたい。(グラフは、過去3年にわたって優れた成績を残している国内株式型3ファンドのパフォーマンス推移)