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ファンドニュース

史上最高値を更新するインド株はバブルか? 国内主要ファンドに見る今後の見通し

2021/09/02 19:48

 インド株式市場はSENSEX指数など代表的な株価指数が史上最高値を更新して好調を持続している。現在、世界で最も上昇の勢いが強いといわれるインド株式の今後はどうなるのだろうか? 一部には、8月末現在でインド小型株が大型株を大きくアウトパフォームしていることに対し、「個人投資家の過剰な楽観論があるのではないか」という「バブル」の指摘がある。HSBC投信は9月2日に発表したレポートで「収益性の面で小型株と中型株の双方がここ数カ月、大型株を上回っていることがわかる」と小型株優位の展開を「合理的」と解説し、「インド株バブル」の見方を否定し、中長期的にインド株に対する強気の見方を示している。

 インド政府が8月31日に発表した2021年4月〜6月期の国内総生産(GDP)は、前年同期比20%増となり、当日のSENSEX指数は前日比1.16%上昇して57552ポイントとなり、前日に引き続いて史上最高値を更新した。インドでは新型コロナウイルス感染第2波で今年5月初旬には1日40万人以上が感染するなど深刻な感染爆発の時期があったが、その後、感染者数が急速に減少し、既に1日平均4万人台の感染者数に落ち着いている。感染拡大期には大規模なロックダウン(都市封鎖)も実施されたが、感染の落ち着きとともに、経済の再開から景気回復への期待が高まり、その見通しが株価を押し上げるエネルギーになっているようだ。

 コロナショックといわれる2020年3月の株価下落は、インドでは米国や日本などと比較して大きな落ち込みになった。「MSCIインド(配当込み、円ベース)」は、19年12月末と比較して20年3月末はマイナス34.86%となり、マイナス19.10%の「MSCI米国(配当込み、円ベース)」、マイナス15.28%の「MSCI日本(配当込み、円ベース)」、マイナス12.76%の「MSCI中国(配当込み、円ベース)」などより一段階大きな下落を経験している。しかし、落ち込みが大きかっただけに、その後の回復にも勢いがある。20年3月末を100とすると21年8月末には、「MSCIインド(配当込み、円ベース)」は219となり、182の「MSCI米国(配当込み、円ベース)」を超え、139の「MSCI中国(配当込み、円ベース)」、127の「MSCI日本(配当込み、円ベース)」を大きく引き離している。

 このインド株上昇のけん引役になったのが、インドで個人投資家に人気のある小型株の上昇だった。このため、インドの市場関係者の間では「株高の相当部分が個人投資家の買い支えによるものであり、いずれ市場の流れが逆転する」という警戒感も根強いという。実際に、インド・ナショナル証券取引所がまとめた2020年度(20年4月〜21年3月)の株式売買高の投資部門別比率では、個人投資家が前年度比6ポイント増の45%になるなど、個人投資家の市場参加が進展している。

 そこで、HSBC投信では、株価の推移を2020年から5年遡って調べ、「小型株の(大型株に対する)PERプレミアムは現在、5年平均の21%を下回る17%となっている。大型株と比較して小型株が買われ過ぎているという裏付けはない」と結論している。そして、企業の収益状況を調べた上で、「資本(自己資本+有利子負債)利益率(ROC)は、小型株と中型株の双方がここ数カ月、大型株を上回っていることがわかる。これは小型株のアウトパフォーマンスが合理的であることを示すさらなる証と言えよう」と、現在の株高を肯定している。

 その上で、HSBC投信は、「中長期的にインド株式市場に対する強気の見方を維持している。インド経済の成長ポテンシャルは高く、構造改革の進展から、長期的に成長率は高まると見られている。与党インド人民党(BJP)が安定した政治基盤のもとで高成長・構造改革路線を継続すると見込まれることも、株式市場にとり強力なサポート要因となる」と見通している。

 現在、インド株式を主たる投資対象とした公募投信(確定拠出年金・ファンドラップ専用除く、ETF除く)は30本で合計8723億円の残高がある。残高トップは2826億円を運用している「野村 インド株投信」(野村アセットマネジメント)で、「イーストスプリング・インド株式オープン」(イーストスプリング・インベストメンツ)(残高:807億円)、そして、「HSBC インドオープン」(HSBC投信)(同667億円)が続く。この3ファンドは設定が2004年〜05年で16年以上の運用実績があるファンドだ。ファンドのトータルリターンを期間別に比較すると、トータルリターン10年(年率)が「野村 インド株投信」が9.60%、「イーストスプリング・インド株式オープン」が8.23%、「HSBC インドオープン」が5.98%となっているが、過去1年では、順番に42.60%、53.74%、54.85%となる(21年7月末時点)。総じて高い運用収益を挙げていることは評価されるところだ。

 各ファンドの市場見通しを簡単に紹介すると、「野村 インド株投信」の8月の月報では「株式市場のバリュエーション(投資価値評価)は、MSCIインド指数で見た実績PBR(株価純資産倍率)が7月末時点で約3.6倍と、過去5年平均を上回る水準にありますが、インド企業の一株当たり利益成長率は2021年には+47.1%(市場予想ベース、7月末時点)と大幅な改善が予想されています。足元のインフレ動向には注視が必要ですが、ワクチン接種の加速や金融緩和策の効果などによる景気回復が追い風となると見ています」と強気。「イーストスプリング・インド株式オープン」の月報では、「インド経済については強気の長期見通しを維持しています。新型コロナウイルスの影響による景気減速は予想を大きく上回っているものの、新規感染者数はピークを打ったとみられ、2021年下半期は経済活動が回復すると期待されています。さらに米中の地政学的な緊張の高まりからインド経済は中期的に恩恵を受ける可能性があると見ています」と見通している。

 各ファンドの見通しでは、コロナの感染拡大が再発しないか、インフレ(物価高)が一段と進まないかなど、注意すべき点があることに注意喚起しているものの、中長期的な見通しは明るいという点は一致しているようだ。中長期に有望な市場としてインド株式への投資を検討したい。ただし、アメリカ株式同様に史上最高値を更新している株価には、何かのきっかけで急落するリスクはある。十分に余裕のある資金で長期投資を考えた投資を行う、あるいは、毎月一定額を積み立て投資するなど、慎重な態度で投資に取り組むことが肝心だ。(グラフは、MSCIの国別インデックスの推移)