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ファンドニュース

米国金利の上昇で再び脚光を浴びるか「バンクローン・ファンド」、投資先ポートフォリオの利回りは4%台に

2021/10/19 18:27

 米国の利回りがジワリと上昇している。米10年債利回りは10月18日に一時1.6%台に乗せ、この利回りの上昇に反応して為替は1ドル=114円台に乗せた。昨今の円安は景気が鈍化する中での円安と捉えられ、輸入物価の上昇によって国内景気を一段と厳しいものにすることが懸念され始めた。ただ、米国は、金融政策の正常化に向けて、年内にも量的金融緩和の縮小(テーパリング)開始が予想され、来年の年末以降には利上げへとカジを切りつつあり、金利の上昇傾向が続くと見通されている。現在の1%台半ばの長期金利が2%台に向けて徐々に上昇していく見通しにたてば、米国の変動金利商品に投資妙味が高まってくる。米国の長期金利が2%台にあった2013年〜14年当時に脚光を浴びた「バンクローン・ファンド」に再び注目が高まる環境だ。

 バンクローン・ファンドとは、銀行の融資(バンクローン)に投資するファンドだ。米国を中心に欧米では、比較的信用リスクの高い(BB格以下の投資適格未満)企業向けのバンクローンが、市場で売買されている。バンクローンは、銀行の融資として担保などがついていることが一般的で、信用格付けが低い企業が発行する社債(ハイ・イールド債券)などと比較すると弁財順位も高く、投資リスクが抑えられた債券といえる。また、クーポン(利子)は一般的に「LIBOR(ロンドン銀行間平均貸出金利)+スプレッド(%)」などと変動金利になっており、金利上昇局面で優位性のある債券に位置付けられている。ハイ・イールド債券並みの利回りが得られて、リスクは抑制されているため、金融機関などが好んで投資する債券として知られる。

 利回りの高い債券を保有することは、資産運用を安定的に行う上での重要なポイントになる。現在の日本国債のようにクーポンがゼロ%台になってしまった債券では、クーポン収入の魅力が限りなくゼロになっているため、積極的に保有するメリットは見出し難いが、年2%を超えるような利回りが確保できるのであれば、資産のコア(核)として一定水準を保有することによって、株式ファンド等の値動きが大きな資産が一時的に崩れる時にも、しっかりと資産を守る役割が期待できる。実際に、2013年当時にはバンクローンの平均利回りが年6%台に乗せていたため、非常に魅力的な投資対象として、バンクローンを投資対象とした多くのファンドが設定され、資金流入も活発になった。

 9月末現在、国内の追加型公募投信(ETF除く)の中で国際債券を投資対象とするファンドは1153本あるが、うち、ファンド名に「バンクローン」が入っているファンドは47本ある。ほとんどが米国バンクローンを投資対象としたファンドだ。この47本について、過去の資金流出入を調べると、2013年9月から2015年4月にかけて、活発な資金流入があったことが分かる。ところが、その後、米国10年債利回りが2%を下回るまで低下すると資金流出に転じた。そして、再び、10年債金利が2%を超えて上昇する2016年10月から2017年の6月にかけて、資金流入の場面を迎えている。それから後は、利回りは2018年10月の3%超の水準まで上昇を続けるが、債券よりも株式の値上がりが目立つ相場展開となったこともあって、長い資金流出の時代となった。

 そして、米10年債利回りは2020年3月のコロナ・ショックもあって、急速に低下し、2020年7月には0.53%の水準にまで低下した。そこから、徐々に上昇し、2021年3月には1.7%を超えるまでになった。ただ、10年債利回りが0.5%台から1.7%に上昇する過程では、依然として、「バンクローン・ファンド」からの資金流出は止まっていない。一つには、2020年3月を底として、株価の急速な上昇があったこと、そして、依然として利回りの水準が歴史的に低かったことなどが不人気の理由と考えられる。

 現在の「バンクローン・ファンド」の利回り水準は、残高が比較的大きな三菱UFJ国際投信の「三菱UFJ米国バンクローンファンド(愛称:スマートスター)」が実質的に投資対象としている「ピムコ バミューダ バンクローンファンド(M)」のポートフォリオの直接利回りが21年8月末時点で4.4%(最終利回り4.9%)になっている。また、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「バンクローン・オープン」が実質的に投資する「HYFI Loan Fund」の9月末現在の直接利回りは3.38%(最終利回り4.16%)になっている。年4%を超える利回りが得られることは、決して低い利回りとはいえない。

 「バンクローン・ファンド」の運用パフォーマンスは好転している。21年9月の月間トータルリターンでは、「国際債券型」の中で、アセットマネジメントOneの「バンクローン・ファンド(為替ヘッジなし)」が1カ月リターン2.5%でリターンランキング7位。三菱UFJ国際投信の「米国バンクローン・オープン(為替ヘッジなし)(毎月)」が同2.3%で第10位にランクインした。トップ20の中で7ファンドがバンクローン・ファンドだ。海外債券ファンドは、中長期の運用成績を振り返っても、安定的に高い運用成績を残している実績がある。その中でも、高い利回りが期待できる「バンクローン・ファンド」は、今後、米国の金利が一段と上がっていく中では、ますます注目度を高まるものと考えられる。分散投資の1つとして検討してみたい。(グラフは、「バンクローン・ファンド」の資金流出入と米国10年債利回りの推移)